大谷凜香インタビュー 『ポケモン』から精神破壊ホラー『ミスミソウ』へ……女優デビューの現場は「異空間にいるような気分」 

2018.4.4
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大谷凜香 撮影=岩間辰徳

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『ハイスコアガール』『でろでろ』で知られる押切蓮介氏の漫画のなかでも、「精神破壊(メンチサイド)ホラー」をキャッチコピーとした過激な『ミスミソウ 完全版』を実写映画化した『ミスミソウ』が4月7日(土)に公開される。同作では、同級生から壮絶なイジメを受け、さらには家族を殺害された少女・春花(山田杏奈)が復讐を行う壮絶な物語を、『先生を流産させる会』『ライチ☆光クラブ』で知られる内藤瑛亮監督がメガホンをとり、『渇き。』の唯野未歩子氏の脚本で描き出している。

主人公・春花をいじめるグループの中心人物・小黒妙子役を務める大谷凜香は、ファッション誌『二コラ』のモデルとして活躍し、現在は情報バラエティ番組『ポケモンの家あつまる?』などにも出演。本作で女優デビューを飾る。髪を金色に染め、クールで眼光鋭い劇中の“妙子”と違い、演じる大谷は艶やかな黒髪で楽しそうによく笑う朗らかな少女だ。そんな大谷が女優デビュー作へのプレッシャーから役作り、そして同作とリンクする中高生の人間関係までをインタビューで語った。

女優デビューの撮影現場は「異空間にいるような気分」

大谷凜香 撮影=岩間辰徳

――この作品で女優デビューを飾られました。オーディションを受けられたそうですが、いかがでしたか?

最初、オーディションを受ける前に原作を読みました。そうしたら、その印象が強くて考えすぎてしまって、夢に出てくるくらいに頭の中がいっぱいでした。オーディション当日はすごく緊張してしまって……台本をいただいて何人かで演じる形式でしたが、周りの人を全然喋らせないくらいに自分のセリフを一気に喋ってオーディションが終わってしまったんです。監督からは「演技に慣れてないよね。慣れていないと思ったんだよ」と言われました(笑)。

――出演が決まってからはどうだったのでしょう?

何もかもが本当に初めてだったので、大変でした。監督が心配されて、クランクインする前から指導していただいたんです。ロケ先でも主演の山田杏奈ちゃんと同じ部屋だったので、杏奈ちゃんにも練習に付き合っていただいていました。

――台本を初めて読んだ時の感想はいかがでしたか?

原作を読んだ時には、「さすがに台本に入らないだろうな」と思うところが、何か所かありました。台本が届いて読んだら、「なんで入っているの!?」という驚きと、そのシーンを「どうやって表現するんだろう」と思いながら読みました。

大谷凜香 撮影=岩間辰徳

――実際に撮影してみていかがでしたか?

撮影が始まって現場に入ってみたら、もう本当に異空間にいるような気分になったことを覚えています。映画の中で“違う人間になっている気分”で芝居ができる、すごいところに入り込んだ感覚です。撮影自体は台本の順番ではなく、バラバラに撮影したので、後から「だからこう言っていたのか」と思うセリフもあって。もっともっと深く読み込めるようにならないと、と思いました。

――監督からはどんなアドバイスを受けられたのでしょうか?

監督には、映画の冒頭のシーンの撮影で、「ただ立っているだけではなく、見終わったときに“なるほど”と思わせる。見方が変わったときに、見た人が別の表情を感じるようにね」とおっしゃられて……すごく難しかったです。

――妙子の役作りで、苦労された点はありますか?

イケイケな子の妙ちゃんはいわゆる“ボス”で、周りの子を引き込む力があります。でも普通は越えない、ある一線を越えたから、悲惨なことになるんですよね。妙子の春花に対するいろいろな気持ちを理解するのは、すごく難しかったですし、本当に苦労しました。でも、その関係性がすごく重要なので、演じさせていただけたのはありがたかったのです。ただ、「原作のファンの方のイメージを壊してしまうかもしれない」とプレッシャーも感じました。

大谷凜香 撮影=岩間辰徳

――具体的には、どんな役作りをされたのでしょう?

まず、髪を金髪にしたんです。そこから実感がわいてきて、気持ちが変わっていったと思います。役柄が普段のわたしとは180度違うので、見た目や形から入らないとなりきれなかったと思います。周り方も、芝居の時は役に入りきられていたので、自分も恥ずかしさなくガッチリ振り切ってできました。表向きは“強い妙子”でないといけないので、ボスらしい目つきなど、感じていただけれたらいいな、と思います。

――『ポケモンの家あつまる?』などには、黒髪で出演されていますよね。金髪にして、周りの方々に驚かれたのでは?

ビックリしていたと思います。映画の撮影中に『ポケモンの家あつまる?』の収録があったので、最初は(黒の)ウィッグを着けてスタジオに入りました。その後のごはんにはウィッグをはずして行ったんですが……集合場所で誰も話しかけてこなくて。後から「凜香ちゃんだったの!」って、皆さんにすごい驚かれました(笑)。インスタグラムで金髪の写真を載せたときには、視聴者の方も一瞬誰かわからなかったようでした。

――今の大谷さんと金髪姿の妙子は雰囲気が全然違いますものね。

そうですか? 役に入り込んでいたからかな(笑)。『ニコラ』(ファッション雑誌)の時から知っている人は、「凜香ちゃんが金髪にするなんて!」って驚かれていました。映画の情報が解禁される前でしたので、言えずにいたら「グレたのかな?」って思われていたようです。

(C)押切蓮介/双葉社 (C)2017「ミスミソウ」製作委員会

――作品は非常にバイオレンスの要素がで強いが、大谷さんは暴力的な表現には免疫をお持ちで?

はい。血とかも大丈夫で、バイオレンス映画は良く見ます。ホラーの怖い系は無理なんですけれど。バイオレンスは大丈夫です(笑)。

――物理的でない怖さが苦手なんですね(笑)。陰惨なシーンが多い作品ですが、現場の雰囲気はどうだったのでしょう?

皆さん、リハーサルとかに入ると、顔が変わるタイプでした。空き時間は、撮影が始まる直前まで「ワー!」って話していて、みんなふざけていたりしたので、ワイワイした学校みたいな感じだったんです。清水(尋也)くんがすごく真剣な顔で遠くの人を睨んだり、変顔をしていたりしたのが印象的でした。

――本作の舞台も学校です。劇中では、女性同士の嫉妬や友情が生々しく描写されていたのが印象的でした。

独特ですよね。男子にはなかなか分かってもらえないかも。今の子たちは、学校とかでも周りの目を気にして友達付き合いをしていると思います。

大谷凜香 撮影=岩間辰徳

――現実の中高生にも共通するような感情が描かれていますよね。本作の登場人物と同じ年ごろの学生さんたちに、人間関係についてアドバイスできることがありますか?

中学の頃って、一番友達付き合いが難しい時期だと思います。わたしは中・高校一貫教育の学校に通っていたので、6年間友達と一緒でした。それでもやっぱり、3年間は難しいこと、理解できないことが山のようにありました。自分ひとりはやっぱり寂しいから、友達は欲しい。だから、割り切るしかないと思いますし、社会に出てからも一緒だと思います。

――最後に皆さんへのメッセージをお願いいたします。

初めての映画出演です。わたしの初めてはこの作品だけなので、個人的にも観ていただきたいですし、普通の恋愛映画や学園ドラマでもない、たくさんのメッセージがある作品になっています。「なぜこのシーンでこのセリフを言っているのか」といったことが1回ではわからないかもしれませんが、怖いものが大丈夫な方は是非!観てほしいです。

大谷凜香 撮影=岩間辰徳

インタビュー・文=Hirayama Masako 撮影=岩間辰徳 ヘアメイク=千葉智子(Rossetto)

作品情報

映画『ミスミソウ』


(2017年/日本/カラー/シネスコ/5.1ch/114分)
山田杏奈 清水尋也
大谷凜香 /大塚れな 中田青渚 紺野彩夏 櫻愛里紗 遠藤健慎 大友一生 遠藤真人
 森田亜紀 / 戸田昌宏 片岡礼子 / 寺田 農
監督:内藤瑛亮
原作:押切蓮介 『ミスミソウ 完全版』 (双葉社刊)
脚本:唯野未歩子
主題歌:タテタカコ「道程」(バップ)
制作プロダクション:レスパスフィルム
配給:ティ・ジョイ
レーティング:R-15 

公式サイト :http://misumisou-movie.com/
(C)押切蓮介/双葉社 (C)2017「ミスミソウ」製作委員会

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