10代目ピーターパンを演じる吉柳咲良に等身大のインタビュー「成長した私なりの永遠の少年『ピーターパン』を見せたい」

2018.5.26
インタビュー
舞台

吉柳咲良

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1981年以来毎年上演され、世代を超えて愛されてきたブロードウェイミュージカル『ピーターパン』。第41回ホリプロタレントスカウトキャラバンのグランプリを受賞し、10代目ピーターパンとして昨年初舞台を踏んだ吉柳咲良(きりゅう・さくら)が今年もピーターパンとして主演する。どんな気持ちで舞台に臨むのか、吉柳に話を聞いた。

家族のような温かいカンパニー。千穐楽では思わず泣いた

ーー昨年10代目のピーターパンに選ばれて、初舞台を踏んでから早くも1年が経ちます。どんな年でしたか?

今までにない経験をたくさんさせて頂いて、演じることってこんなに楽しいんだなと思いました。オーディションのあと『ピーターパン』の出演が決まって、ピーターパンを実際に演じて、ひしひしと実感しています。舞台を観に来てくれた学校の友達に「観に行ったよ、すごかったね!」とか「感動した!」とか「信じられない!」とか言ってもらいました。家族も「頑張ったね、感動したよ」と言ってくれました。

振り返ると、すごく充実していて、結構あっという間でした。「もう夏?!」みたいな感じです。

ーー初舞台の中での思い出を教えてください。

カンパニーの皆さんがとても温かかったことが印象に残っています。私が何か分からないことがあると、いつも誰かが声をかけてくれて。例えば、どうやったらフライングでもっと綺麗に飛べるかとか、いろいろアドバイスしてくださったり、私が「ここ大丈夫かな」と不安になっていると、「大丈夫だよ、頑張ろう」といつも励ましてくれました。稽古中や、本番での出来事を思い出して、千穐楽のカーテンコールでは思わず泣いてしまったのを覚えています。
家族のように優しい皆さんにたくさん助けていただきました。できないことだらけだったのですが、私が自信を持てるように、「ここ良かったよ」と毎回言ってくださったり、そういうひとつひとつが嬉しかったです。

ピーターパン役 吉柳咲良 ※前回の公演より

今の私にしかできないピーターパンを

ーー初舞台ゆえの大変さもたくさんあったと思いますが、一番苦労したのはフライングですか?

もちろんフライングも大変だったんですけど、ティンカーベルがピーターの身代わりになり死んでしまうかもしれないというシーンで、お客さんに助けを求めるシーンが実は一番難しかったかもしれません。その時のお客さんの表情や状況で、セリフの言い方が変わってしまうので……。

演出の藤田さん(※藤田俊太郎)にたくさんご指導していただいて、こんな雰囲気だったら、こういう感じでいこうと、まずイメージを固めて、いろんなパターンをいっぱい練習しました。あと、ピーターパンの先輩である、唯月ふうかさんはこんな風にやっていたなというのを思い出して、少しずつ感覚をつかんでいきました。

ーー今年はどんなピーターパンを見せてくれる予定ですか?

去年は初めての経験だったので、不安だらけだったし、まだまだ未熟なところも多かったのですが、この1年、レッスンを積み重ねて頑張ってやってきました。フライングがもっと綺麗に飛べたらいいな、セリフがもっとハキハキ言えたらいいな、こういうニュアンスで言ったらもっと伝わりやすいんじゃないかな……と、台本を読み返したり、稽古場であったことを思い出したりして、ちょっとずつピーターの感覚を思い出しています。

もうすぐ14歳になるんですが(※取材時は13歳)、初舞台を踏んだ13歳とは違う目線で作品を見られるところもあるかなと思うんです。でも一方で、ずっと覚えている13歳の頃のピーターパンもいる。変わらない少年の気持ち、周りからもらった刺激、それら全部を舞台上で出せればいいなと思っています。

ーー14歳なりのピーターパンということですね。

はい、14歳なりのピーターです。1年経って、今の私にしかできないピーターパンをまた頑張ってどんどん進化させていけたらいいなと思います。

(右から)吉柳咲良・ISSA

ーー昨年、制作発表の取材もさせていただいたのですが、吉柳さんの弟さんが役作りのいいヒントになっているそうですね。

はい。弟も中学1年生になって、ちょっと大人びたのかなと思ったら、全然変わっていないんです(笑)。未だに木登りするし、ゲームのことを熱く語るし、本当にピーターみたいなんです。この間「ずっと大人にはなりたくない」と言っていて、その言葉を聞いた時に「ピーターがいる!」と思って(笑)。身近にそういう人がいるのは刺激を受けるし、役作りの参考になります。

あと、いとこにも小学生の子たちがいるんですが、本当にザ・子供という感じなんです。生意気なところもあれば、可愛いところもあって。身近にいるいろんな人が参考になるなと思います。

ーー吉柳さんは、しっかりしていらっしゃるから、年齢よりも大人びて見えますよ

そんなことないです(笑)

家族や友達の支えがあってこそ頑張れる

ーープライベートについてお聞きします。今、どんなことにはまっているのですか?

もともとK-POPが好きだったのですが、テレビ番組でBTS(防弾少年団)を見てからはまってしまって。ダンスが格好いいなと思いますし、こんな風に踊りたいと思いつつ、レッスンを頑張っています。​

ーー学校で好きな科目などは?

私は勉強が苦手なタイプではあるんですけど、英語と国語を頑張りたいなと思っています。担任の先生が社会科の先生で「社会も頑張ってね」と言われたので、社会も頑張ろうと思いますが(笑)

一番得意なのは国語です。国語はテストの中でも一番点数が良かったんです。舞台をやるようになって、読み解く力が前よりも上がったような気もします。

ーー学校の勉強と稽古の両立は忙しいのではないですか?

両立するのは大変ですが、頑張らなければいけないと思っています。それプラス自分の夢も叶えたいから、うまく両立できるように、家族も協力してくれています。やはり、家族の支えや友達の支えがあって頑張っていけるかな。

ーーホリプロタレントスカウトキャラバンのグランプリから、ピーターパンを演じるのは初代ピーターパンの榊原郁恵さん以来だそうですね。着実にスターの道を駆け上がっていると思います。

恐れ多いです。でも、そう言ってくださる方も多くて、この『ピーターパン』という役は大切な一歩になると思うので、昨年より成長したピーターパンを演じられるよう頑張りたいです。​

ーー毎日、お客様の前で演じるのは大変ですよね。

はい。でも、私、見られることが好きなんです。私が「せーの!」と言うと、お客様が「クックーククー!」と言ってくれて、それがすごく印象に残っています……。こういうのが好きなんだなと実感しました。

ーー最後に意気込みを一言お願いします!

キャストの方が多く変わり、去年とはまた違ったメンバーでの上演になります。私自身も去年から、レッスンを重ね、歌い方や踊り方も変わってきているので、成長した私だからこそ、永遠に少年のままの『ピーターパン』をしっかり演じられればいいなと思います。

吉柳咲良 メッセージ

取材・文=五月女菜穂

公演情報

青山メインランドファンタジースペシャル
ブロードウェイミュージカル『ピーターパン』

 
■原作:ジェームズ・M・バリ
■作詞:キャロリン・リー
■作曲:ムース・チャーラップ
■翻訳/訳詞:青井陽治
■演出:藤田俊太郎
■出演:
吉柳咲良…ピーターパン
河西智美…ウェンディ
莉奈…タイガー・リリー
入絵加奈子…ダーリング夫人
久保田磨希…ライザ
  ・
ISSA…フック船長/ダーリング氏
 
 
萬谷法英 笠原竜司 章平 森山大輔 井上祐貴
小島亜莉沙 鈴木亜里紗 滝川華子 鈴木麻祐理 出口稚子
小山圭太 長嶋拓也 松本城太郎 石上龍成 
三浦莉奈   
持田唯颯 岡本拓真 山田樺音
 
【東京公演】
■日時:2017年7月21日(土)~8月1日(水)
■会場:東京国際フォーラムホール
 
料金:ドリームシート¥8,500(大人・子供同一料金)S席(大人)¥8,500 S席(子供3~12歳)¥5,500 A席(3階)(大人)¥3,500 A席(3階)(子供3~12歳)¥2,000
 
【大阪公演】
■日時:2017年8月12日(日)11:00/15:30
■会場:梅田芸術劇場メインホール

【金沢公演】
■日時:2018年8月22日(水)/8月23日(木)13:00
■会場:金沢歌劇座
 
【名古屋公演】
■日時:2018年8月25日(土)16:00/26日(日)11:00
■会場:御園座