伊丹アイホールの「次世代応援企画break a leg」に少女都市&うんなまが登場

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2018.5.29
「次世代応援企画break a leg」に参加する2団体。(左から)葭本未織(少女都市)、繁澤邦明(うんなま)。 [撮影]吉永美和子

「次世代応援企画break a leg」に参加する2団体。(左から)葭本未織(少女都市)、繁澤邦明(うんなま)。 [撮影]吉永美和子

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関西出身の気鋭の2団体、いずれも23年前の震災を意識した作品で。

兵庫県伊丹市の公立ホール[アイホール(伊丹市立演劇ホール)]による、全国の若手劇団を対象とした上演企画「次世代応援企画break a leg」。まだこの劇場を使ったことがない若手を広く公募し、その中から選り抜きの団体に場を提供するという企画だ(いまさら説明不要とは思うが“Break a leg” とは直訳すると“脚を折れ” となるが、これからパフォーマンスをする人に“幸運を祈る” “頑張れ” という意味で用いる慣用句)。過去には「劇団子供鉅人」「匿名劇壇」「FUKAIPRODUCE羽衣」などが選出されている。第7回目となる今回は、東京・兵庫のニ都市を拠点とする「少女都市」と、大阪で活動する「うんなま」の2団体が選ばれた。

少女都市『光の祭典』初演より。 [撮影]松本真依

少女都市『光の祭典』初演より。 [撮影]松本真依

女性ということを強く意識したシリアスな作風で、社会派のホープとして注目される作・演出家の葭本未織が主宰する「少女都市」は、昨年上演した『光の祭典』を再演。自らの阪神・淡路大震災の被災経験を元に、抑圧されるがゆえに様々な形の暴力に走る若者たちの、葛藤と救済を描き出した人間ドラマだ。「女性の情念や、深くて怖い狂気を描いた作品で、初演の時に男性からは『本当に怖かった』と言われました。#Me tooの流れがある今だからこそ観て欲しい作品で、特に被災体験を持つ女性に観てもらいたいです」(葭本)。

観客参加型の仕掛けを取り入れるなどの、ちょっとアバンギャルドながらも、現代社会への風刺的な目線も盛り込んだ「うんなま」は、新作『ひなんくんれん』を発表。天災に加え、テロやミサイルなどの新たな災害への危険性も増している現在に活かせる、実用的な「避難」の知識を演劇的に披露していく。「僕も阪神・淡路大震災で被災したこともあり、震災はいつか扱いたいと思ってた題材でした。“インフォメーション”と“エンターテインメント”をかけ合わせた“インフォテインメント”な演劇を目指します」(代表・繁澤邦明)

うんなま『search and destroy』より。 [撮影]小嶋謙介

うんなま『search and destroy』より。 [撮影]小嶋謙介

奇しくもそろって「阪神・淡路大震災」を意識した作品を上演するという、今年のbreak a leg。とはいえ一方は正統派のドラマ、もう一方は演劇と講義の狭間のような世界を作ると、そのアプローチがまったく異なる点が面白い。「最近の若いもの」と言って決してひとくくりにはできない、日本現代演劇の多様性を感じる良い機会にもなりそうだ。

公演情報

「次世代応援企画break a leg」

【少女都市】
少女都市第4回公演『光の祭典』
■日程:2018年6月1日(金)~3日(日)
■作・演出:葭本未織
■出演:狩野陽香、松田岳、鳩川七海、谷風作、あがぺる、岡田萌未、土井郁己、香川由依、上杉逸平、ほか
■劇団サイト:http://girlsmetropolis.com/

【うんなま】
うんなま ver.12『ひなんくんれん』
■日程:2018年6月9日(土)・10日(日)
■作・演出・出演:繁澤邦明
■出演:雀野ちゅん、秋桜天丸、和栗一
■劇団サイト:http://www.unkonamazu.com/

■会場(両公演とも):アイホール(伊丹市立演劇ホール)
■問い合わせ:072-782-2000(劇場)
■劇場サイト:http://www.aihall.com/

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