【動画あり】ピアニスト反田恭平が語る“スタクラフェス”~『STAND UP! CLASSIC FESTIVAL 2018』<What’s “スタクラフェス”?>
反田恭平 (撮影:岩間辰徳)
<What’s “スタクラフェス”?> Artist Close-Up 反田 恭平
クラシック音楽の進化形野外フェスティバル『イープラス Presents STAND UP! CLASSIC FESTIVAL 2018』(略称 “スタクラフェス” )が2018年9月23日(日)、横浜赤レンガ倉庫の特設会場にて開催される。そこでは3つのステージ(HARBOR STAGE/GRASS STAGE/Sunday Brunch Classic Stage)が設けられ、モーツァルトなどクラシックの定番曲からオペラ、ミュージカルの名曲、そしてスタジオジブリまで、誰もが聴いたことのある音楽を聴衆に届ける音楽祭だ。空の下、潮風を感じながら音楽とともに、食べたり、飲んだり、時には寝そべりながら、朝から夜まで一日中、あるいは朝から14時までの半日間、親子も含めた全ての人々が楽しむことができる。
出演者も豪華絢爛な顔ぶれが勢揃いする本フェスにおいて、最注目アーティストの一人が、人気・実力共に当代きってのピアニスト、反田恭平だ。「反田恭平スペシャルステージ」(11:30~12:00 GRASS STAGE)、「クラシック in アニメ」(14:10~15:10 HARBOR STAGE)、「Classic Revolution! 新進気鋭の若手音楽家とオーケストラ」(18:30~20:30 HARBOR STAGE)の三演目に出演することが決まっている。そんな反田に“スタクラフェス”にかける意気込みや想いを聞いた。
──“スタクラフェス”では最初にGRASS STAGEでの「反田恭平スペシャルステージ」に出演されますね。どんなステージになるのか興味津々です。
これから色々と詰めていかなければならず、今の段階では「諸々弾きます」としか言えません(笑)。1人で弾くかも知れませんし、ひょっとしたらサプライズで芸人さんが出てきてコラボするかも知れません(笑)。
というのも僕は、1人でも多くの方にクラシックに関心を持っていただけるのであれば、手法はいっさいこだわりません。クラシック音楽に足を止めてくれたり振り向いてくれるのでしたら、その魅力に引き込む自信はあります。そして、そのきっかけが今回の“スタクラフェス”だと思っています。まずは、そういう場を提供していただけることがとてもありがたいですね。
ロシアに留学した時に一番感じたのは、クラシック音楽がごく当たり前に一般向けに大衆化していたことなんです。タクシーの運転手さんと話していても演奏家の名前がポンポン出る。それには驚いたし、やはりそこが日本との大きな差なんだろうなと思いました。だから日本にもそんな日が来て欲しいし、きっとくるだろうと思っています。
たとえば僕の父はクラシックには全く門外漢ですが、中村紘子さんや小澤征爾さんの名前は知っています。僕もそういう存在になりたいという目標があります。でもそれは、ただそうなりたいと思ってなれるものではなくて、そのために長い時間をかけて物事をこなしていき、はじめてそんな存在になれるのはないかと思います。ですから、この“スタクラフェス”も1回限りのお祭りで終わるのではなく、何十年と続くものになって欲しい。たとえば十年続けば、5歳、6歳の時に“スタクラフェス”で初めてクラシックを聴いたとか、あの人の演奏を聴いた、という話をやがて高校生がすることになりますよね? そうなることを一演奏家としては願っていますし、そのための一員になれれば光栄です。
──“スタクラフェス”には通常のコンサートホールには入れない低年齢のお子さんも参加できますから、クラシックのファースト・コンタクトとしても貴重な場になりますね。そうすると、当日の雰囲気や盛り上がり次第によっては、プログラムが変わる可能性も?
そうですね。そういうこともあるかも知れません。
──HARBOR STAGEでお昼過ぎに行われる「クラシック in アニメ」では、クラシック音楽が主役の人気アニメの登場曲が紹介される中、反田さんは『のだめカンタービレ』のパートを担当するそうですね。
僕にとって『のだめカンタービレ』はとても思い入れのある作品です。この作品を読み、登場する楽曲を勉強していったことによって、多くのクラシック曲を知りました。まさに『のだめ』からクラシックに入っていきました。
そういう僕だからこそ感じるのですが、ベートーヴェン交響曲第7番自体、もし『のだめ』がなかったら、ここまで日本で知られる交響曲になっていなかったでしょう。ベートーヴェンの交響曲と言えば、やはり「運命」「田園」「第9番合唱付き」の知名度が圧倒的でしたから。それが一般的に「この曲聞いたことがある」になったのは『のだめ』ゆえですし、そういう漫画の力によって、僕も交響曲や室内楽を勉強しました。ですから今回『のだめ』を担当することができるのは本当に幸せです。
僕は今24歳で、『のだめ』の千秋真一がチェコに行って2年目くらいの、彼が一番がむしゃらに頑張っていった時期に重なっています。僕も今国内外で僕なりに頑張っていますし、どこかでは千秋を目標にしている部分もあるので、ここで『のだめ』と関われるのは感慨深いことです。
──特に注目なのが、その「ベト7」(ベートーヴェン交響曲第七番)の指揮を反田さんが振ることです。指揮者・反田恭平としての意気込みをお聞かせください。
「交響曲7番」はいつでも振れる作品なんです。スコア全部を覚えていますから。かつて指揮者の佐渡裕さんが師であるバーンスタインに「ベートーヴェンの7番を振れ」と言われて感激し、スコアにサインをもらったという逸話があります。それに倣い、僕も佐渡さんに「サインください」と7番のスコアを持っていったら「俺が一番振りづらいと思っているところにサインしてやるよ」と言い、しかも何故か「Happy Birthday」とまで書いてくれました。全然誕生日でもないのに(笑)。
佐渡さんはもちろん、日本には素晴らしい指揮者の方々がたくさんいらっしゃいますが、それを引き継ぐ世代が我々ではないのかな、と思っているので、この機会は本当に楽しみですね。たまたまそこを通りかかったという方にも振り向いて聴いていただけるような演奏にしたいです。この「クラシックinアニメ」のステージには、松下奈緒さんが参加してくださるのも心強くて、音楽界の先輩でもあり同じ場に立てることが嬉しいです。
──そして、最後は陽が落ちた後のHARBOR STAGE「Classic Revolution! 新進気鋭の若手音楽家とオーケストラ」に出演されます。“スタクラフェス”のフィナーレですね。
まずタイトルが「Revolution!」ということで"革命"ですし、若いアーティストにフォーカスしているこの“スタクラフェス”の最後を飾る訳ですから、僕もピアノ・コンチェルトを弾きます。ピアニストに憧れている子供たちがそれを観てくれたらと思います。
小学生だと7歳~12歳ですよね。その子供たちと僕とはひと回りないしは15歳くらいしか違わないんです。15歳ってすごく離れているように思われるかも知れませんが、音楽を勉強するということから見れば、本当に小さな差でしかないんです。たとえばベートーヴェンの「エリーゼのために」は1810年の作品です。それはショパンが生まれた年ですが、今から200年以上前の曲です。200年も前の音楽を僕らが演奏していることを考えると、たかだか15歳の開きってとても僅かですよね。そう考えると、今の子供たちと近い世代の僕らが演奏をする意義というものが必ずあると思うし、僕自身11歳くらいの頃に様々な音楽的体験をしたことから「演奏家になりたい!」と思うようになりました。「Classic Revolution! 」は、そんな時間になればいいなと思います。
僕はピアノですが、他にヴァイオリン、サックス等々たくさんの楽器が登場して、丸1日ほぼ10時間がかりのフェスティバルになります。その中からぜひ子供たちに「マイ・フェイバリット」を見つけて欲しいですね。本格的に演奏家を目指す人でなくても、クラシック音楽に触れることは確実に感性を豊かにします。映画館に行くような感覚で来てもらえるのが理想で、家族みんなで祝日を楽しんで「いい1日だったな」と言ってもらえたら嬉しいです。そのために僕自身も全体を見て、聴いて、クオリティの高いもの、来年以降につながるものにしていきたいという気持ちも強くあります。
実力はあるのにチャンスに恵まれていないという人も沢山いると思うんです。僕は演奏家としてデビューしてまだ2年ですけれど、運のいい音楽家人生を歩ませていただいていると思っています。でも、だからこそ、場を広げていくことで、多くの若い演奏家たちがチャンスを得られるようになって欲しいんです。今回一緒にやる STAND UP!ORCHESTRA もオーディションで選ばれた若手で構成されていて、とても素晴らしいことだと思いますし、お客様の前で演奏できる場が“スタクラフェス”から広がっていけるよう応援したいと思っています。
──反田さんは演奏者/観客という立場を超えたところで、“スタクラフェス”で楽しんでみたいことは何かありますか?
そもそも会場がサントリーホールや東京オペラシティのような荘厳な雰囲気のところとは違うことで、お客様と演奏者がフレンドリーに感じあえる演奏会だと思っていますから、まず出演させていただくこと自体がとても楽しみです。また、藤田真央さん、小林美樹さん、上野耕平くん等、同世代ですから、旧友に会うような、同窓会のような気持ちもありますね。
個人的には青島広志さんの「世界まるごとクラシック~みんなおいでよ、赤レンガ~」もすごく楽しみです。青島さんのわかりやすいクラシックのガイドが大好きで、本もたくさん持っていますし、子供の頃『題名のない音楽会』での、青島さんの「振ってみましょう」という企画に出たこともあるんです。その後、佐渡裕さんが司会の時代に「同窓会スペシャル」という企画でもう1度出たのですが、それは「指揮はじゃんけんと同じ」という佐渡さんの有名な言葉がテーマの回で、佐渡さんと青島さんと僕とでじゃんけんをして、連続7回僕が勝ったんです(笑)。そういう、個人的に勝手な思い出もある方と数年ぶりに仕事の場でお会いできるのも非常に嬉しく、ぜひ生で観覧したいです。
それから「クラシック紅白歌合戦!オペラからミュージカルへ」も楽しみです。なぜなら僕もミュージカルが大好きで、高校の文化祭では宝塚のミュージカルの主演もしたことがあるくらいなんです。その役は、下町で育ったんだけど、実は貴族だったという……。
──それは『ミー&マイ・ガール』ですね?
そうです! ビル役です。歌もダンスも演技もしましたから!
──演技力もあるんですね!
バリバリですよ! 小学生時代の音楽教室では、オーディションに受かってオペレッタの『白雪姫』で小人の7番もやってますから(笑)。そんな訳で、小さな頃からミュージカルには縁があった身なので、とても楽しみですね。
──会場になる赤レンガ倉庫や横浜界隈で、「スタクラフェス」のついでに行ってみると良いよ!とお客様にオススメしたいスポットやお店などはありますか?
学生コンクールがすぐ近くのみなとみらいホールであったのですが、その時、大さん橋で一人何をするでもなく、ただ寝転がっていたことがあって(笑)。あそこはとても気持ちが良いので、一番のおススメですね。
【動画】反田恭平 スタクラフェス メッセージ
取材・文=橘涼香 写真撮影=岩間辰徳
公演情報
■公演日時:2018年9月23日(日・祝日)開場9:30/開演10:30/終演20:30 ※予定
■会場:横浜赤レンガ倉庫特設会場 (神奈川県)
■出演者(50音順):
【ソリスト】
伊藤悠貴(Vc)、伊礼彼方(Vo)、上野耕平(Sax)、大山桃暖(Pf)、金子三勇士(Pf)、北川辰彦(Bar)、小林沙羅(Sop)、小林美樹(Vn)、サラ・オレイン(Vo,Vn)、反田恭平(Pf)、髙木竜馬(Pf)、丹呉由利子(Mez)、DEPAPEPE、NAOTO(Vn)、中井亮一(Ten)、牛牛/ニュウニュウ(Pf)、藤田真央(Pf)、麻衣(Vo)、松下奈緒(Pf)、松田理奈(Vn)、三浦一馬(バンドネオン)、宮本笑里(Vn)、山本耕平(Ten)、LE VELVETS、他
【指揮】
青島広志、岩村力、横山奏
【アンサンブル】
シアター オーケストラ トーキョー、STAND UP! ORCHESTRA、ぱんだウインドオーケストラ、神奈川フィルハーモニー管弦楽団、岩城直也(Pf,編曲)
【Sunday Brunch Classic Stage】※無料ステージ
1966カルテット、こぱんだドラムス、實川風(Pf)、園田涼(Pf)、新倉瞳(Vc)、藤原功次郎(Tb)、細川千尋ジャズトリオ、正戸里佳(Vn)、mille baisers、山田姉妹、米津真浩(Pf)
【総合司会】松下奈緒
■料金:
1日券シーティング:13,800円
1日券スタンディング:9,800円
半日券(14時まで):5,500円
※シーティングエリア内は座席あり・自由席になります。シーティングエリアへのご入場は「1日券シーティング」「半日券(14時まで)」をご購入のお客様に限ります。
※半日券(14時まで)は夜まで楽しみたいけど、小さなお子様がいてお昼過ぎまでしかいられない方の為にご用意した枚数限定の特別なです。開場から14時まで、シーティングエリア・スタンディングエリアの両方をご利用いただけます。それ以降はご退場をお願い致します。
※スタンディングエリアはすべてのお客様にご入場いただけます。
※雨天決行 ※4歳以上必要(3歳以下は保護者1名につき1名のみ入場無料)
※ステージ内容は変更になる場合もございます。予めご了承ください。
■:好評販売中
公式サイト:http://standupclassicfes.jp
e+(イープラス):http://eplus.jp/
株式会社イープラス:http://corp.eplus.jp/
Twitter:https://twitter.com/stacla_fes2018
Facebook:https://www.facebook.com/Stand-Up-Classic-Festival-2018-216194119151436/
■主催:イープラス/朝日新聞社/BSフジ
■協賛:クレディセゾン/ファミリーマート/テラダ・ミュージック・スコア
■後援:神奈川県/横浜市文化観光局/横浜港運協会/(一社)横浜港振興協会/tvk/FMヨコハマ
■企画制作:イープラス/Zeppライブ
■制作協力:クリエイティブマンプロダクション
■協力:日本クラシック音楽事業協会/ソニー・ミュージックエンタテインメント
■問合せ:イープラス:0570-01-2244(受付時間10時~18時・土日祝含む)
公演情報
■開催日時:2018年7月2日(月)~7月5日(木) 開場18:30/開演19:30
■会場名:eplus LIVING ROOM CAFE & DINING
■料金:全席指定 3,000円(税込、飲食代1フード1ドリンク別途)
7月2日(月)STAND UP! ORCHESTRA ゲスト:NAOTO(ヴァイオリン)
7月3日(火)藤田真央(ピアノ)
7月4日(水)新倉瞳(チェロ)
7月5日(木)細川千尋ジャズトリオ×三浦一馬(バンドネオン)×麻衣(ボーカル)
■受付
一般発売:6月9日(土)12:00