シンセ番長・齋藤久師が送る愛と狂気の大人気コラム第三十一沼(だいさんじゅういっしょう) 『無駄沼!』
「welcome to THE沼!」
沼。
皆さんはこの言葉にどのようなイメージをお持ちだろうか?
私の中の沼といえば、足を取られたら、底なしの泥の深みへゆっくりとゆっくりと引きずり込まれ、抵抗すればするほど強く深くなすすべもなく、息をしたまま意識を抹消されるという恐怖のイメージだ。
一方、ある物事に心奪われ、取り憑かれたようにはまり込み、その世界にどっぷりと溺れることを
「沼」
という言葉で比喩される。
底なしの「収集」が愛と快感というある種の麻痺を伴い増幅する。
これは病か苦行か、あるいは究極の癒しなのか。
毒のスパイスをたっぷり含んだあらゆる世界の「沼」をご紹介しよう。
第31沼(だい31しょう) 『無駄沼!』
「人は人生において、1秒たりとも無駄な時間は無い」
というのは真っ赤な嘘だ。
人は知らず知らずに多大な時間をドブに捨てている。
無駄な時間とは何か
では、無駄な時間とはどんなことをいうのか。
例えば愛の無い人の悪口。
これほど無駄なものは無い。
悪意のある悪口は無駄どころか回り回って己の価値と信用を激落させる。
嘘をついてはいけない。
様々な風評被害もマスコミがとりあげる事によって肥大化し、尾びれがつく。
悪意のあるカットアップ編集は大衆を情報操作している。
だから私は一切テレビは見ない(チバテレビ以外)。
よっぽどラジオの方がマシだ。
映像による操作が無いぶん、リスナーの想像力をくすぐる。(番組にもよるが)
とにかく、嘘を垂れ流すメディアは全滅しろ。
時間の無駄では済まない。
都合よく権力で洗脳するのは犯罪行為だ。
また、近所の井戸端会議ほど無駄な時間は無い。
年寄りにかぎって無駄な井戸端会議が好きだ。
大抵は人の悪口で盛り上がる。
私は、かれこれ2ヶ月近く自宅の庭にテントを張り生活している。
もちろん、家族もだ。
理由は第30沼で詳しく触れたので割愛するが、
簡単に言うと、壁のある密室空間に息苦しさを感じたからだ。
テントだと、猛暑でもたまに吹く自然の風がとても有難く感じるし、雨さえも子守唄に聞こえる。
さて、話を戻そう。
ちょうど昨日、早めにテントにて床に着いた。(夜9時頃)
すると近所で評判の斜向かいに住む陰口おばさんが、遊びに来ていた息子夫婦を送り出すところだったようだ。
こちらは消灯したテントでその声を一部始終聞いていた。
「ねえ、ここの家へんだわよね。
ショベルカーみたいなジープにのってるし、なにより庭にテント張ってもう2ヶ月も住んでるのよ。
わはははは!本当におかしいわよね!おほほほほほ!」
と我が家の事を大声でdisっている。
ああ、おかしいよ。
おかしいかもしれないよ。
どうみても変わっていると思われてもしかたないよ。
それは認める。
でも、たまに会うと
「おばさん、いつも子供達がうるさくしちゃってごめんね」
という私に
「いいじゃないのよ~!こどもは元気がいちばんよ~!」
と調子のいい返事をしていたおばさん。
まさか真っ暗のテントにはだれも居るまい、と思っていたのだろう。
冷静に激怒した私はおもむろに車のキーを手に取り、
セキュリティーシステムを鳴らした。
私の車のセキュリティーサウンドは大爆音のサイレンが鳴るシステムなのだ。
「ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!
ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!
ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!
ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!
ビュンビュンビュンビュンビュンビュンビュンビュンビュンビュンビュンビュンビュンビュンビュン!
ビーボービーボービーボービーボービーボービーボービーボービーボービーボービーボービーボービーボー
ビーボービーボービーボーブブブブブブブブ!!!!!!!!!!」
すかさずテント内の明かりをマックスにし、庭中のセキュリティーライトを全開でスイッチオン!!!!!!
しかも無言で。
すると、相当驚いたのか「あっ!」っという声とともに突然の静寂が訪れた。
トドメはひそひそ声で話すやつらに聞こえるように、息子と2人で。
「カンジワルイネ」「ホントダネ!カンジワルイネ」
とロボットのような声で言い放った。
するとやつらは、小声で話しながらそそくさと解散していった。
あ、無駄な時間だけど楽しかった。
いや、やっぱり無駄な時間を費やしてしまった。
せっかくの家族団欒の睡眠時間を奪われた。
まだまだ無駄な時間は沢山ある。
人によって感じ方によって無駄が有効かはそれぞれだと思うが、やはり人間は時間の使い方が下手だ。
人生の中で最も無駄な時間
そんな私の人生の中で最も無駄な時間を過ごした体験をご紹介しよう。
10年前の事。私はそれまでゴールド免許を維持し続けていた。
スピードが嫌いで、絶対に路上駐車をしない私に「交通違反」という言葉は縁遠いものだった。
ある日ゴールド免許の私は、釣りにいくため車の屋根にボートを乗せ、
真っ赤なジープを駆り堂々と目黒通りを安全運転していた。
すると、人生2度目の「そこの車、左に寄せなさい」というメガホンコールをパトカーから受けた。
なんの負い目もない私は車を素直に停めた後、ドヤ顔で警察官に「ゴールドですがなにか?」と上から対応した。
すると私の免許を照会するために後ろにつけたパトカーに乗り込んだ警察官がなにやらザワついている。
しかも10分くらいそのまま戻って来ない・・・。
なにかあったのではないかと不安になって待っていると、
警察官がもどって来て
「おにいさん。免許切れてるよ。失効してるよ」
という。
運転免許失効は6ヶ月すぎるまで「うっかり失効」という事で免除される。
しかし、私の免許は6ヶ月と3日有効期限が切れていたのだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
その間、引っ越しした事もあり、更新の連絡が来なかった(これほんと)
と言っても警察官は残念そうな顔で
「無免許すよこれ?無・免・許!」
と
今度はどや顔返しを受けた。
つまり、免許取り直しの刑というわけだ。
たった3日過ぎてしまったために。
これもゴールドで油断していた自己責任だ。
当然釣りも中止。
しかし私はあきらめなかった。
「よし!一発試験で免許をとりにいこう!」
運転に自信のある私は、朝5時に起きて免許センターへ向かった。
そして、この一発試験で合格すれば私は晴れて夕方には免許の交付がされていると信じ、実施試験に挑んだ。
試験官を隣に乗せ、走り出した瞬間、急ブレーキを踏まれた。
「はい、車に乗る前に車の周囲みてなかったね。失格」
厳しい。。。
諦める事無く、また数日後、免許センターへ。
そして車の周囲をくまなく点検した後、いよいよ搭乗。
3分して試験官の声でハっとした
「はい、ハンドルは『ハの字』でもってね。そんで交差点ではキープレフトね。失格」
厳しい。。。
さすがにその夜はやけ酒を飲んだ。
どうしたら一発でうかるのだろうと調べていると、
試験場の近辺に一発免許取得専門の朝一塾なる施設を発見。
パソコンの画面に次から次にながれてくる交通ルール(サブリミナル効果に近い速さ))を
ヘッドフォンで聴きまくるという、ものすごい怪しい施設。
しかし、これ以上無駄な時間を短縮したい、という藁をもすがる思いで思い切って受講して免許センターへ向かった。
すると、その効果がどうかは別にして、一発合格!
晴れて免許を取得する事ができた。
しかし、初心者マークを一年つけるという拷問付きで。
これが私の人生において最も無駄な時間のナンバーワンだ。
そしてもう一つはやはり車に関係している。
その日、池袋と渋谷の二箇所でライブ仕事があった私は、池袋のライブ終了後、車で渋谷へ向かっていた。
池袋のライブが押してしまったため、信号待ちの時に、ついつい渋谷のライブ先のオーガナイザーに携帯電話で連絡をしていたときだ。
たまたま池袋のロータリーを右折するところで交番のなかから警察官が走ってきて
「車横につけて」
と。
ただでさえ急いでいるのについてないな、、、と思いながら
「はい、後ろのトランク開けて」
と言われたので堂々とopen!!!!!
すると
「なんですかこれは?なんなんですかこれは?」
と警察官がビビりながら話しかけてきた。
渋谷でのライブ用の衣装が入っていたのだが、
それがなんと初代ファミコンコントローラーの被りものだったのだ。
怪しがる警官、焦る私。
結局解放されたものの、会場には大幅遅刻で到着した。
話せばまだまだある。無駄な時間。
またの機会に。