ザ・リバティーンズ奇跡の復活

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The Libertines

The Libertines

11年待ちました。正直諦めてました。

僕にとって、おそらく00年代の洋楽シーンにリアルタイムで触れた多くの人間にとって、ザ・リバティーンズ(The Libertines)の復活が奇跡というのは決して大げさではない。

もっとも再結成自体はしていたし、ライブにも出演していた。少し前から新作を作るという噂も耳にしていた。それでもどこかで「どうなるか分からない。だってリバだから」という懐疑的な気持ちを捨てられなかったのが正直なところである。それがなんと実に11年ぶりとなるアルバム『Anthems For Doomed Youth』を完成させたというではないか!ここが会社じゃなければちょっと泣いたかもしれない、いや家に帰ってからゆっくり泣くのかも。

彼らはアルバムを2枚出しただけ、期間でいうと3年ほどしか表舞台にいなかったバンドだ。だから冒頭で「00年代の~」と限定したように、リアルタイムで体験できた層は限られてくる。だから念のため、簡単に紹介しておこうと思う。

「放蕩者」という意を持つザ・リバティーンズはガレージ・リヴァイヴァル・ムーヴメントと呼ばれた2000年代初頭のシーンで存在感を示した、名の通り自由でメチャクチャなイギリスのバンドである。1stアルバム『リバティーンズ宣言』(原題:Up The Bracket)で一躍ムーヴメントを代表する存在となったのも束の間、2ndアルバム『リバティーンズ革命』(原題:The Libertines)を世に出した直後、あっけなく事実上の解散となった。解散の原因の一つはツイン・ヴォーカルの一角であるピート・ドハーティの“おクスリ”問題に代表される、メンバー間の亀裂。ちなみに解散の直前に発表された2ndアルバムは、音楽作品としては聴いていて辛くなるほどバラバラで、まるでデモバージョンのような状態だったが、一度は成功した彼らが次第に上手くいかなくなっていきもがく様がそのまま落とし込まれ、“ロックアルバム”としては“最高の駄作”だ。そしてそんな彼らが残した作品は、後進のバンドにも大きな影響を与えることとなった。

その後、ピートは更生施設を出たり入ったりしながらベイビー・シャンブルズを率い、もう一方のヴォーカリスト、カール・バラーはダーティー・プリティ・シングスで活動を続けていく。その中で何度か2人は競演し、そのたびに「もしや再結成!?」→「違いました~」と、ファンは一喜一憂を繰り返していた。

だから2010年にレディング・フェスティバルで一時的な再結成を果たし、2014年にはグラストン・ベリーでヘッドライナーを務めてもなお、再び彼らの新作が届く日が来るかはみな半信半疑だったはすだ。そんなバンド。

それがここへ来て新作の発表とMVの公開である。

相変わらずローファイでヘロヘロしている、3分あるかないかのロックナンバーだが、随所に光るメロディラインとコーラスの美しさ。これぞまさしくザ・リバティーンズ!


何より、タイで撮影されたという新曲「Ganga Din」のMVに映し出される、並び歩き、肩を組み、歌い、はしゃぐカールとピートの姿は、離れてから11年という歳月の重みを越え、観る者の胸を打つ。

ラストの<Wake up!/Hey!!!>というシャウトを聴いて、彼らがついに再び“目覚めた”喜びを噛みしめつつ、一緒に叫びたい衝動と「こっちのセリフだよ!」という突っ込みが混じりあった、何ともいえない幸福感に満たされたのは僕だけではないはず。

9月に予定されているリリースが待ち遠しいのは当然のこと、ここは是非とも来日を果たしていただきたい!!

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