『長くつ下のピッピの世界展』が東京富士美術館で開催中 スウェーデンを代表する児童文学作家が描く、北欧の暮らしと子どもたち
展示室2
『長くつ下のピッピの世界展 ~リンドグレーンが描く北欧の暮らしと子どもたち~』が、2018年9月24日(祝・月) まで、東京・八王子の東京富士美術館にて開催中だ。
本展は、開館35周年を迎える東京富士美術館で、スウェーデンを代表する世界的な児童文学作家、アストリッド・リンドグレーンの世界を紹介するもの。
(左から)結城アンナ、マリン・ビリング、五木田聡館長
報道内覧会では、東京富士美術館の五木田聡館長より「私たちも、リンドグレーンの作品を通して様々なことを教わることができるでしょう。彼女の価値観を表す信念にこういう言葉があります。『私たちを分かつものより、私たちを結びつけるものの方が尊い』と。現代の私たち大人が肝に命じるべき言葉だと思います。夏休み、親子でこの展覧会を楽しんでいただけたらと願っています」と話した。
また、スウェーデンより、アストリッド・リンドグレーンの孫にあたるマリン・ビリングが来日し、祖母との思い出を語った。さらにスウェーデン人のハーフで、幼少よりアストリッド・リンドグレーンの作品に親しみ本展の図録にもエッセイを寄稿された、タレントの結城アンナも駆けつけた。
マリン・ビリングコメント
展示室3
祖母の多くの素晴らしい作品から一番好きな一節を選ぶとしたら、「子どもたちに愛を。もっと愛を。もっともっと愛を注いでください。そうすれば、思慮分別がひとりでに生じてきますから」。
祖母はいつも話し相手になってくれ、私たちの日常に何が起こっているか関心を持ってくれていました。しかし私たちと一緒にいないとき、祖母は世界を変えていたのです。朝と午後に本を書き、出版社へ行き、ほかの方を成功に導く手伝いをし、スピーチをして世界中を廻っていました。出版社を退職後はオピニオンリーダーとして第二の人生を歩みました。
色々な面で先駆者だったと思います。彼女は自分の中に残っている子どもの自分を大切にし、当時の正しいとされていた概念に縛られずに本を書きました。不平等で間違っていることを見つけると、周囲の意見や政治的議論を気にすることなく仲裁に入っていました。読む権利、子どもの権利、男女平等・公平さ、非暴力、環境、動物の権利を守るために彼女は闘いました。そして意見を述べるときは、いつもあたたかさとユーモアをもって語っていました。
結城アンナコメント
展示室1
母がスウェーデン人で、私も生まれがスウェーデンなので小さい時からアストリッド・リンドグレーンの本に囲まれて暮らしてきました。幼少の頃は母が読み聞かせてくれ、そのうち自分でも暗記できるくらい何百回も読みました。一番好きな作品は、『やかまし村の子どもたち』です。やがて娘にも読み、その後娘自身でも読んでいたようです。
なのでこの展覧会をとても楽しみにしていました。会場には想像をこえるほど、多くの作品が展示されており、またリンドグレーンの私物も置いてある。ひとつの場所でこれほどたくさんのリンドグレーンの世界を感じられ、夢のようなひとときでした。
本展ではリンドグレーン自らがタイプをし、初めてスウェーデンより国外に出展される貴重なオリジナルピッピの原稿をはじめ「ユネスコの“世界の記憶”」に登録された貴重な原画など約200点を展観し、その多くが日本初公開となる。一方で、子どもの人権を守り、不正に対して声をあげたオピニオンリーダーとしてのリンドグレーンの言葉や活動についても、映像を通して紹介している。
さらに、お絵描きやぬりえ、パズルなどが楽しめるキッズコーナー、またオリジナルや海外からの直輸入等の展覧会グッズ、そして書籍も多数充実しており、親子3世代でピッピの世界観を楽しめる展覧会になっている。
キッズコーナー
図録