LUNA SEA 結成30周年目前に行う“デビュー初期ツアー”再現ライブの見どころは?

コラム
音楽
2018.8.14
LUNA SEA(L⇒R:『IMAGE』1992年、『EDEN』1993年リリース時アーティスト写真)

LUNA SEA(L⇒R:『IMAGE』1992年、『EDEN』1993年リリース時アーティスト写真)

画像を全て表示(6件)

LUNA SEAが『LUNATIC X’MAS 2018 -Introduction to the 30th Anniversary-』と銘打って、12月22、23日にさいたまスーパーアリーナで開催する2デイズライブがファンをザワつかせている。

恒例となった『LUNATIC X’MAS』だが、今年のライブは誰も想像していなかったであろう試みとなる。

初日の22日の公演のタイトルは『IMAGE or REAL』で、2日目となる23日の公演は『SEARCH FOR MY EDEN』。1992年にリリースされたメジャーデビューアルバム『IMAGE』を携えて開催された全国ツアー『IMAGE or REAL』と、メジャー2ndアルバム『EDEN』を携えて翌年に行われた全国ツアー『SEARCH FOR MY EDEN』をそれぞれ再現したライブを行うことになる。

両日のセットリストがリアルに当時と同じものになるのかはわからないが、初期にしか演奏されていない曲も披露されるというから、気合いの入ったSLAVEはもちろん、映像でしか見たことがない世代のファンにとっても見逃せない2日間になることは間違いない。

荒削りながら5人が個性を主張する勢いの塊のようなアクトで魅せた、デビュー後初ツアー

『IMAGE』

『IMAGE』

シングルでメジャーデビューするアーティストが大半だった当時。1992年5月21日にLUNA SEAはアルバム『IMAGE』でデビューを果たした。結成30周年を目前にした今なお、ライブの定番となっている「Déjàvu」や、重要な日に演奏されることが多い壮大で幻想的な名曲「MOON」(インディーズ時代の1stアルバム『LUNA SEA』にも収録)、ライブに欠かせないエンディングで銀テープが発射される「WISH」で締められる本作は、インディーズ時代からのLUNA SEAのダークでゴシックでプログレッシブな世界観を引き継ぐ、こだわりが詰まった作品。当時、メンバーは「メジャーに行ったからといって俺たちは変わらない」とよくインタビューで語っていたが、これからメジャーという大海に乗り出そうというバンドのアルバムにヘヴィでカオスで狂気な「SEARCH FOR REASON」と「MOON」という7分超えの曲が2曲も収録されていることも異例。ジャケットからして絵画のようで、ポップとはほど遠い、ただならぬ空気を醸し出していた。

『IMAGE』を携えたメジャーデビュー後初のツアー『LUNA SEA DEBUT TOUR 1992 IMAGE or REAL』は、アルバム発売から1週間後、5月28日のクラブチッタ川崎を皮切りに全国7箇所で開催された。筆者が初めて彼らのライブを見たのがまさに本ツアーの初日だったのだが、荒削りながら5人が5人とも自分の個性を主張する勢いの塊のようなアクトとファンのパワーというか気迫に圧倒され、嵐のように時間が過ぎ去っていったのを記憶している。アルバムの曲が全て盛り込まれているセットリストではないが、今のLUNA SEAの音像で演奏するとどうなるのか? SUGIZOがヴァイオリンを弾くメロディアスなミディアムチューン「WALL」など、考えるだけで高鳴る。「VAMPIRE’S TALK」に関しては、2014年のさいたまスーパーアリーナ公演で久しぶりに披露され、ファンを驚愕させたのが記憶に新しい。

余談になるが、1992年のアンコールツアーでLUNA SEA初の日比谷野外音楽堂ライブを開催。積み上げられた左右のスピーカーの高さで客席からステージが見えない位置があるというメンバーの指摘により、開演前に急遽、セッティングを変えるというこだわりを見せていた。

賛否両論を巻き起こした2ndアルバム、メジャーというフィールドで試行錯誤しながら実力を蓄えていった大ブレイク前夜

『EDEN』

『EDEN』

そして、これまでのゴシックでダークで実験的な世界観から光が射しこむような方向へと舵を切ったのが、メジャー2枚目(通算3枚目)のアルバム『EDEN』である。そのことを象徴していた曲が、1993年2月にリリースされたLUNA SEA初のシングル「BELIEVE」。RYUICHIは長かった髪をバッサリ切り、衣装も黒系から白系も取り入れるなど大きな変貌を見せた。今もライブの定番曲である「JESUS」で始まり、インディーズ時代の匂いがプンプンするポジティブパンク的アプローチの「LASTLY」やライブでみんなが手を振る光景が浮かぶ「IN MY DREAM(WITH SHIVER)」、ライブ中盤でSUGIZOがヴァイオリンを手にすると歓声が飛ぶ神秘的で美しい「Providence」も収録されているが、ライブでは演奏していないバラエティに富んだ楽曲を多くパッケージしたという点で、挑戦作であり、当時、賛否両論を巻き起こした。

アルバム『EDEN』を携えた全国ツアー『LUNA SEA CONCERT TOUR 1993 SEARCH FOR MY EDEN』は14公演に及び、コアなファンを中心にLUNA SEAの存在が広まっていった時期。翌年にはブレイクの引き金となった「ROSIER」がリリースされることを思うと、大ブレイク前夜のライブツアーであり、メジャーというフィールドで試行錯誤しながらも会場のキャパが大きくなる中、ライブバンドとしてパフォーマンスも含め実力を蓄えていったのが本ツアーだった。RYUICHIが女性目線で作詞したシャッフルナンバー「STEAL」や開放感たっぷりの軽快なナンバー「STAY」など、今ではライブで演奏しなくなった曲も多く、当時のツアーが『EDEN』の楽曲をメインに据えたセットリストではなかったことを考えると今回の再現ライブでは、『EDEN』収録曲をより多く演奏することになるのか!?  となると今のLUNA SEAのスキルやスケール感、包容力で、当時、ポップ過ぎるという意見もあったアルバムの曲がどう響くのかも期待したいところだ。

ちなみに、1993年のアンコールツアーの日本武道館2デイズの2日目が大型台風に見舞われて延期になったことは、後に“嵐を呼ぶバンド”とも呼ばれるLUNA SEA伝説として語り継がれている。また、当時はファンたちのコスプレ率が高く、それぞれのメンバーの衣装を着ている5人組など、客席を見ているだけでも楽しく、開演前にファン同士で撮影会が繰り広げられていることもしばしば。ライブが始まるとその暴れっぷり、叫びっぷりに呑みこまれそうになっていた。

25年以上経った今、あの狂乱のツアーが再び。リアルタイムで1990年代前半のLUNA SEAを体感できなかった世代の人たちにとっても、当時のヒストリーを生で辿れる絶好のチャンス。そして、結成30周年を迎える2019年には、その歴史に金字塔を打ち立てた傑作アルバム『MOTHER』の再現ライブが実現することになるのか? 今回の試みは未来の彼らにどう繋がっていくのか?

まさにLUNATIC X’MAS。楽しんだ者勝ちの平常心ではいられないライブとなりそうだ。

なお、『LUNATIC X’MAS 2018 -Introduction to the 30th Anniversary-』のプレイガイド最速プレオーダーを、8月14日(火)12:00~8月20日(月)23:59まで実施している。

文=山本弘子

LUNA SEA(2018年)

LUNA SEA(2018年)

LUNA SEA Spotify

ライブ情報

LUNATIC X’MAS 2018 -Introduction to the 30th Anniversary-

IMAGE or REAL
12月22日(土) 開場15:30 / 開演 17:00

SEARCH FOR MY EDEN
12月23日(日) 開場14:30 / 開演 16:00

<会場>さいたまスーパーアリーナ


■指定席 ¥9,800 (税込)
■ファミリーシート 大人¥9,800 (税込)・ 高校生以下¥2,200 (税込)
※3歳以上有料

■最速プレオーダー:8月14日(火)12:00~8月20日(月)23:59
■一般発売:10月27日(土) 10:00~

【問】キョードー東京:0570-550-799(平日11:00~18:00/土日祝10:00~18:00)

■LUNA SEAオフィシャルサイト https://www.lunasea.jp/
シェア / 保存先を選択