桃井はるこ、三年ぶりのアルバム発売、インタビュー
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桃井はるこさん
元祖アキバ系、桃井はるこ三年ぶりのニューアルバム
桃井はるこが動き出した、実に三年ぶりとなるニューアルバム「STAY GOLD」を10月23日に発表、11月には福岡、大阪、名古屋、東京とツアーも開催する、元祖アキバ系と呼ばれるモモーイを独占インタビュー、新作に込めた思い、アニメに対する考えなどを伺った。
――今回10月21日にニューアルバムが三年ぶりですが、今回はどのようなコンセプトなんでしょうか?
「前のアルバムをリリースした後、今後どうしようって話になったんですけど、次はここがリリースだからここまでに作ろうみたいな事じゃなくてライブや新曲を発表出来るタイミングで自然に曲を作って、それが集まった時に出せばいいんじゃない?って事になったんです。だからコンセプトを出して作るというよりは自然に生まれてきたアルバムなんですよね」
――沢山の作詞作曲もされて、アーティストに提供もされていますが、ご自身で歌うのとは違う部分もありますか?
「私は歌を作るっていうのはスタイリストみたいなもんだと思ってるんです、この人にはこういう服を着てもらいたい!みたいに「私だったらこの人にこういう曲を歌ってもらいたいなぁ」とか妄想しちゃうんですね。どんなふうに歌ってもらおうかとか、ライブだったらこれは盛り上がるタイミングの曲か、まったりするパートの曲なのかとかライブを想像して作ることが多いです。アニメの主題歌だとやっぱり「主題」が何なのか、それを表現できる歌じゃないとって凄い作品を読み解いたりしますね。逆に自分が歌う時だと最近はなんか着飾るというより、その日に着たいものを着るというか(笑)そういうふうでいいんですよって言ってくれるファンの方やスタッフに恵まれているので、そういう風になってきましたね」
――ナチュラルを見たいってことなんでしょうか。
「私が今世界に対してどう思ってるか、何を歌いたいのかを聞きたいって言ってくれる人が増えましたね。「さいごのろっく」って曲があるんですけどそれがキッカケに私の歌を聞き出したとか、やりたいことやらないとダメだってイベント立ち上げたりする人が結構多くて。なんでだろう?って思ったんですけど、「さいごのろっく」って私がこれを言わないとダメだろ!ッて思って作った曲なんです、やっぱり場所を与えられた時にこれだ!って言えるものを出していかないとダメだと実感しますし、それを求めてもらってるんだな、って」
――実際ステージ上のモモーイと普段の桃井はるこに差はあるんでしょうか。
「昔はそういう差みたいなものは意識してましたけど今はないですね(笑)でも私実はずっとロックにコンプレックスがあって…日本人であんまり英語しゃべれないのに「センキュー!」とか言うのはなんでなの?ってのがあって、それはロックのコスプレじゃないか!って…これ怒られるかな(笑)」
――大丈夫です(笑)
「10代の私がやってたら完全にロックのコスプレですよ!でもロック自体は好きなんです。じゃあどんな音楽をやろうかって思った時に私は「東京生まれAKIHABARA育ち、ヲタな奴はだいたい友達、マジ親に迷惑かけた本当に」みたいなもんだなって(笑)自分の人生でやってきたことを自分にしか出来ない形をやろうと思ったらこうなるんですよね、そういう所が受け入れてもらえてるんじゃないかなって」
――桃井さんと言えば秋葉原と切り離せない部分もありますが、以前に出演なされた「ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて」が今年10年ぶりに新作制作が発表されて、Perfumeと共演した「アキハバラブ」からも10年経ちました。この10年のオタク達の修正や環境が変わった部分あるかと思うんですけど。
「オタクも今は一括りに出来ないですからね!難しいなぁ…私としては一つの架け橋になったのはPC用の美少女ゲームなんじゃないかと思ってて普通のショップでも中々置いてないし、アキバに行かないと売ってなかったり特典が手に入らなかったりしましたからね。それによって二次元的な女の子の絵が秋葉原に普通にあるようになったんじゃないですかね。でもオタク変わったのかなぁ…」
――本質は変わってないですかね、アニメの放送形態が夕方から深夜に移行して行ったりしたのもアニメの作り方や視聴層が変わった部分もあるかもしれませんけど。
「うーん、なんか時代劇に近いんじゃないですかね?」
――時代劇?
「例えば庶民のフリした殿様が悪事を発見して、身分を隠してそれを解決してやっつける!とかそういう流れがあるじゃないですか。美少女アニメも主人公が冴えない男の子だけど実は能力があって女の子に好かれて…みたいな『コレと言えばコレ!』みたいな流れがあるのって悪いことじゃないと思うんです。安心して見れるじゃないですかそういうの、私も午前中に再放送してる暴れん坊将軍とか見ちゃいますしね」
――見ちゃいますか。
「見ちゃいますね!でもエンターテイメントってそれでいいと思ってて。アートってのは斬新な挑戦や表現をして何かを残していくものですけど、アニメってエンターテイメントにもうなってるから、全然知らない人でも夜中にフット見ても頭空っぽにして楽しめるんじゃないですかね。まあとにかく本数多いですからね、今は」
桃井はるこさん 撮影:大野要介
――最近気になってる作品とかありましたか?
「そうだな、あ!『Wake Up, Girls!』は映画館まで見に行きましたよ!」
――WuGですか
「すごい好きですね。実在の所が出てくるのもあるんですけど、凄いあるあるな所もあるんですね。マーケティングを元に作った曲だ!って言うんだけど、全然彼女たちにあってない曲だったり(笑)そのままじゃないんですけど「そういうことってあるよな」みたいな。気を使いすぎて変なプロデュースになった事とかありそうですもん」
――業界のリアルなところですね。
「あと、彼女たちが成長するにはどうすればいいんだろう?って悩むんですけど、「私達らしさってなんだろう?」って言うのに対して見てる私たちは「そのままでいいんだよお!そのままでいいんだよ!」って思ってるんですよね(笑)そういうのが、なんかいいですよね」
――『Wake Up, Girls!』は他のアイドルアニメと比べてファン描写の細かさが評判にもなりましたね。
「そうなんですよ!大田(編集部注 作中に登場するWuGの古参ファンキャラ)がいいんですよ!やっぱ大田が嬉し涙流してるところみたいですもん。アイドルって自分たちだけだとアイドルにならないんですよ、ファンあってのものだから。そこのファン描写を今までの作品は避けてたと思うんですよね。誰だって大画面でイケメンでもない男キャラ見たくない!って気持ちはわかるんですけど(笑)でも私達も大田と一緒に応援して感動して、感情移入しちゃうんですよね」
――たしかにそれはそうかもしれないですね
「ただペンライトが揺れてるだけじゃなくて、そこにひとりひとり人間がいて、応援してるんだぞってのがいいんですよ!ファンって暖かいものだし」
「ろくろ回したほうがいいですかね?」と桃井はるこさん 撮影:大野要介
――さて、レコ発ツアーが福岡を皮切りに始まりますが。
「ワンマンで地方やらせてもらえるのはとても嬉しいですね、でも肩の力を抜いて遊びに行こうと思ってます。前はワンマンって言うとコレを私の生前葬だ!くらいに気合を入れてたんですけど」
――(笑)
「でも15年やってると、いやいやそう簡単には死なないぞと(笑)だったらまた次も来たいなって思ってもらえるものにしたいなって。わたしも体力づくりはしますし、ファンの皆さんはライブ前に走り込みして備えてくださったりす
るそうですけど(笑)気持ちはいつも気軽に楽しめるものにしたいですね」
――いい意味で力が抜けたんですかね。
「かもしれませんね」
――聞かせて頂いた感じだと、あまりラブソングがない印象がありました。
「自分の中ではラブソングかなぁ?ってものもありますけど、「Brain Snowing」とかは私冬の歌歌ってないなって思って、さっきも言いましたけど自分のライブで足りないものを作ってみたらこうなったんですよね。今までラブソングの比重が強かったからこうなったのかな」
――凄くアルバムを通して前向きな印象を感じました。
「前はアルバム作る時は結構病んでたりもしたんですよ、作れない~!って追いつめられたり。でもコレはそんなこと無く楽しく作れましたね。だけど「東京サバイバル」なんかは攻撃的な曲ですよ!歌詞に書いたんですけど、『エスカレーター歩くのなら階段を使え!』って言いたかったんです、これ(笑)」
――そうなんですね!
「エスカレーターって線の中に立って手すりを持って乗るものだけど、急いでる人の多い東京だとそんなことする人いないじゃないですか。ルールを守って載ってると「邪魔だよ」みたいな目線を送られるんですよ!それってなんか理不尽だなって。そういう不条理を感じることが生きてるとあるんですよ、そういう歌です」
――ライブでどう歌われるか楽しみです、自然体に出てきた感情がライブでどう表現されるか。
「あ、逆に聞きたいんですけど、所謂電波ソングみたいのって皆私に求めているんですかね?今回はもういいやそういうのって思って作ったんですけどね」
――まさかの逆インタビュー!(笑)
「心配なんですけどね、それよくわかんなくて。どうなんですかねえ?」
まさかの記者に逆インタビューの桃井はるこさん 撮影:大野要介
――そうですねえ…アニソンの世界ではやっぱり「LOVE.EXE」とかは鉄板だと思いますが。
「あの曲は私がUNDER17(編集部注 桃井さんが結成していた萌えソングユニット)を解散してソロになって、さてこれからどうしようって気持ちを歌ったんですよ。自分への応援歌というか」
――ああ、応援歌だとは思っていましたが自分に向けてだったんですね。
「後は主題歌となったゲーム『BALDR FORCE EXE』がサイバーパンクの作品なので、そういうイメージとかが重なった曲なんです。やっぱり自分はこうするんだ!って意思がある曲は伝わるのかなぁ、エネルギーがあるのかな」
――桃井さんには発信力があると思うんですよね、私はコレが好きだ、コレを伝えたい!みたいな。
「そういう思いはありますね、でも実は「LOVE.EXE」、最初はライブで歌ってもそんなに手応えが良くなかったんですよ!モモーイらしくない!とか言われたり。こういう曲だったモモーイじゃなくてもいいとかも言われて、もう!みたいな!(笑)」
――なかなか凄い話になってきました…
「どんなジャンルでも、ファンって保守的になりがちだと思うんですね。最初に自分が好きになった時に触れたものが一番いいのは当たり前なんです。でも、期待に応えつつも「ああ、こういうのもいいな!」って思ってもらえるものを作っていかなきゃならないと。そこが難しいところですよね。」
――そんな中での過去最高の自然体のアルバム発売という
「そうですねえ…なんでこんなにTwitterとかSNSを使って秒速で繋がれるのにみんな寂しいんだろう、って思う事が結構あって。「カイト」なんかはそういう歌なんですけど、孤独でも寂しくないっていうか…人と人のつながりってそういうものだと信じてるんです。本当の友達って一年に一回しか会わなくても友達って人いるし。そういうことを大事にしていければいいですね、それこそ自然体でファンの皆さんともそういう繋がりを持っていきたいです」
――なるほど、そろそろインタビューも終わりなのですが、最後にコメント頂ければ。
「今って一つの時間に色んな事出来るじゃないですか、テレビ見ながらTwitterとか。だからこそ音楽だけを訊く時間ってとても贅沢だと思うんですよ。そういうのもいいんじゃないかなって。いろんな趣味を楽しめるけど、改めて歌詞カードをじっくり読みながら音楽を聞くってのを楽しんでもらいたいですね、是非音楽を聞く専用のプレイヤーを使って!パソコンとかではなく!そういう時間を一緒に共有してもらえたら嬉しいですね」
インタビュー:加東岳史 撮影:大野要介
ハート」と「桃」の二種類どちらかをプレゼント! 撮影:大野要介
桃井はるこさん直筆サイン色紙を二名様にプレゼント!
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2015年11月28日(土)23:59