文化の日にアート図録の放出会~公演パンフ放出会どなたか開催しませんか?

SPICER+
第3回「図録放出会」の様子(今回とは別会場)

第3回「図録放出会」の様子(今回とは別会場)

パンフレット制作ウラバナシ

フリーライターになる前の一時期、舞台の公演パンフレットを編集・制作する仕事をしていた。公演初日には物販スペースに何食わぬ顔で並んでいるのが当たり前で、観客の立場からすると何なら「ページ数の割に高くない?」などと思ってしまうことも少なくない代物だが、あれを作るのは実のところかなり大変な作業である。まずビジュアル面に関して言えば、判型や紙質などの体裁、そして撮影・掲載する写真の方向性を決める時点では、まだ台本が完成していない場合がほとんど。どのような舞台になるのかはっきりとは分からないなかで、その作品らしさを想像しながら作っていく必要がある。

そしてテキスト面。出演者インタビューをとる場合、さすがに役者に「作品らしさを想像しながら」話してもらうわけにはいかないので、稽古がしばらく進んでからの取材となる。だが稽古が始まるのはたいてい初日の1か月前くらいで、パンフレットの入校が2~3週間前くらい。役作りがある程度固まってからの話を掲載したい思いと、初日までに印刷までを終わらせなければならない事情とのせめぎあいである。しかも稽古スケジュールは進行状況次第で日々変わるので、取材時間を押さえるのもなかなかに難しい。雑誌やウェブのように公演の宣伝になる媒体であれば、取材のために稽古スケジュールを多少調整してもらうよう頼むこともできようが、パンフレット取材のために稽古を妨げてしまっては本末転倒だ。

また、雑誌のような定期刊行物と違って完成形が見えていないなかで作るものなので、入校してからも作業は山積みだ。つまり、例えば前号があれば、掲載に関わる全員が「こういう誌面になる」という統一イメージを持った上で、写真を選んだりテキストを作ったりできる。だがパンフレットの場合、全員がイメージを共有できるのは入校後、実物に近い状態の校正紙が出てきてから。となると、「そういう紙質ならこっちの写真のほうが良かった」「そんなにスペースが余っているならテキストにこれも加えたい」などの希望が当然各所から出てくるわけで、印刷にかけるまでは修正と確認の連続なのだ。

文化の日に開催される図録放出会

関係者全員が納得でき、かつ観客にとって有意義な内容のパンフレットは、ものすごい労力と情熱の賜物。そう感じているだけに、制作現場からは離れた今もパンフレット類は大切にしたい思いがあるのだが、いかんせん場所を取る代物だ。全てを保管し続けていたらいつか専用の倉庫でも借りなければならなくなるし、かといって古書店やネットオークションなどに出すのは違う気がする。心から欲しがって大切にしてくれる人のもとに、世知辛いお金の絡まない場を通して届けられるシステムはないものか。

来たる11月3日、「アート好きによるアート好きのための図録放出会Vol.4」が開催される。アート好きにとっての展覧会図録は、演劇好きにとっての公演パンフレットのようなもの。それを個人や団体から募って入場無料の会場で販売し、売上金は全て東北で開催されるアートプロジェクトの開催資金として活用される、というチャリティイベントがこの放出会だ。主催は個人だが、著名なアート編集者やライターも多数“放出”するようで、手放したい側にとっても手に入れたい側にとっても理想的な場と言えそう。当日は足を運んでみるつもりだが、「演劇好きによる演劇好きのためのパンフレット放出会」があったら、そちらもぜひ参加したい。

イベント情報

アート好きによるアート好きのための図録放出会Vol.4
■日時:113日(火・祝)12001800
会場:BoConcept南青山店(地下鉄銀座線「外苑前」駅より徒歩4分)
告知サイト:http://bluediary2.jugem.jp/?eid=4132​

シェア / 保存先を選択