【teto・山人音楽祭 2018】故郷群馬への想いをしっかり伝える事を忘れなかったteto

山人音楽祭 2018【榛名ステージ】 teto

ボーカルの小池貞利は登場した瞬間、「イェー！」と叫んでから、「群馬県@#$%&……」と叫び喋り続けたが、あまりの勢いに何を言っているのか全く聴き取れなかった。ただし、とてつもないパッションは伝わってくる。前情報で小池が群馬出身という事は知っていた。そういう事もあり、榛名ステージのトリを任せられたのではと勝手に思っていた。故郷に錦を飾ると言うと大袈裟かもだが、間違いなく今まで観た彼らのライブとは違っていた。

グッドメロディーな楽曲が猛スピードでグッシャグッシャに駆け抜けていく、いや、もう走り転がっていく……、そんな向こう見ずな疾走感……、それが彼らを好きになった理由だった。この日も、そこは1曲目「高層ビルと人工衛星」から全く変わりなく、小池はギターをかきむしり、ステージで暴れまくる。

「拝啓」の前には、「拝啓ここ私の故郷群馬県のみなさん！」と叫び、「群馬！」「イェー！」「群馬！」「イェー！」というパッションしか感じないコール&レスポンスが繰り返されてから、小池は自分が群馬県吾妻郡中之条町出身という事を語りだす。最初に聴き取れなかった叫びでも、多分そう言っていたのだろうし、改めて群馬から東京へ出てtetoを組んだ事や、今日もすぐ東京帰りだが、本当は実家へ帰ってお母さんのチャーハンを食べたいなどと話し続ける。
途中、「今日実は恥ずかしいんですけど……、まぁいっか！」とはぐらかした。そのまま小池は群馬への想いを踏まえた上で、「こういうイベントを大切にしていきたい」と噛み締める様に言っていたのが印象的だった。普段のライブとは違う、故郷でやるからこその本音が聴けた様に思う。

「こういうフェスだからこそ、最後くらい楽しい曲で終わりたいんですけど……」と言って、スローナンバーであるラスト「忘れた」について、お母さんに作った曲だと説明した。「今日来てるとか、来てないとか！」と先程はぐらかした続きの真相を明かし、今は、そんな曲が北海道から沖縄までライブを観に来てくれる人々や周りの人々に届けばいいなと真っ直ぐに伝える。「最後にやるから意味があると思います」と本人も言っていたが、tetoのようなブッ放すバンドが故郷で敢えて、こういうナンバーを最後にやる事に意味がある。

終わっても、観客からのアンコールを求める手拍子は全く鳴り止まない。最初は、このまま終わる予定だった様だが、5分以上全く鳴り止まなかった。急遽、「36.4」が演奏され、最後は、いつもの小池通りな暴れっぷりでマイクスタンドを蹴っ飛ばし、大きく手を振って、深く頭を下げて、去って行った。

文＝鈴木淳史　撮影＝半田安政［Showcase］