KEYTALKが「KEYTALKとして」1万人を踊らせた、歓喜の日本武道館公演をレポート
KEYTALK
2015年10月28日
KEYTALKの武道館で舞踏会 ~shall we dance?~
徹頭徹尾、KEYTALKはKEYTALKだった。彼らは何を求めて何を目指してここにたどり着いたのか、なぜファンたちは彼らの背中を押し続けてきたのか、その理由と意味がそこにあった。
4年前、200枚のを売り切って喜んでいた4人が、1万人の大観衆で埋め尽くされた晴れ舞台を躍らせ揺るがした、2015年10月28日、日本武道館。
暗転した場内、打ち上がる炎に導かれたKEYTALKの4人がセリから一斉に飛び出すと、ほとんど悲鳴に近いほどの大歓声が迎える。初っ端から寺中友将(Vo/G・以下、巨匠)の「ビールソロ」も飛び出し、小野武正(G)が上手~下手までダッシュするなど、「YURAMEKI SUMMER」から幕を開けたステージは猛烈な勢いで展開していき、序盤から畳み掛けるようなナンバーが続いた。八木優樹(Dr)は楽しそうに笑顔を見せながら、ハイテンポでスクエアなリズムを刻み続ける。「パラレル」「鏡花水月」などでは首藤義勝(B/Vo)と巨匠のツインボーカルが冴え渡って、上り詰めるような昂揚感を生み出し、それに応えるようにオーディエンスもクラップ、コールなど完璧なタイミングで一斉に繰り出す。本当に気持ちが良い。
小野武正(G)
最初のMCで小野が「下北沢からやってまいりました、KEYTALKです!」と名乗ったように彼らは、原点であり、今なお支えてくれる「ホーム」下北沢愛に満ちているのだが、それを象徴していたのが、この日武道館のステージに一部敷かれた「市松模様の床」だ。前3人の立ち位置がギリギリ収まるかどうかの、武道館の広大なステージ内ではだいぶこじんまりとしたこの床は、彼らが200人の前で初めてワンマンを行った下北沢SHELTERのステージと同サイズ・同デザインのもの。彼らはこれまでの歩みの中で、きっと何一つ捨てずに同じ想いのまま、大切なものが何なのかを見失わずに進んできたのだ。ライブに関してもそれは同じ。だからこの日も客席を踊らせることに全力で、楽しませることに全力だった。そのためなら何だってやる。
八木優樹(Dr)
「お祭りセンセーション」では、左右の花道の先端に設置したマイクに巨匠と首藤が向かい、側面の客席にもしっかりとパフォーマンスを届けた。「blue moon light」では光を放つミラーボールが旋回してダンスホールかのような洒落た演出をみせ、「消えていくよ」~「グローブ」の間には、背後のスクリーンにこれまでの4人の歩みが映像として映し出され、懐かしさと感慨を与えてくれた。そして「太陽系リフレイン」では巨匠がワイヤーで空を飛んだ。
寺中友将(Vo/G)
そうやって可能な限りあらゆる手段で盛り上げる4人に、観客からもサプライズでお返しをする。「バイバイアイミスユー」の間奏で、満員の客席が一斉に携帯のバックライトを点燈させ、左右に降り出したのだ。真っ白な光に包まれた客席を見渡し、歌いながらも「やられた」といった表情を浮かべる巨匠がスクリーンに映し出されると大歓声が上がる。このサプライズに対し、その後のMCで彼は「ちょっと涙が出かけたけど、吸った」と謎の発言をして笑わせ、八木は「間違いなく人生のハイライトです」と感動を表していた。
後半に入ってさらに勢いを増したライブ。「MABOROSHI SUMMER」ではカラフルな光線がフロアを乱れ飛んで祝祭感を増したかと思えば、鉄板のぶち上げナンバー「MONSTER DANCE」では、再び打ち上がった炎と絶叫に近いオーディエンスの掛け声で熱狂が会場を包み、ライブはクライマックスへ。
首藤義勝(B/Vo)
最後のMCでは首藤がファンへの感謝に続き、小野に「最高のリーダーです」と想いを伝え、さらに「その歌唱力に憧れてボーカルを頑張れてます」と巨匠に語りかけると、思わず巨匠の目から涙が溢れる。温かい空気と万雷の拍手に包まれる中、「じゃあ、そろそろ……」と飛ばされかける八木……というお約束も交えつつ、「変わらずにどんどん面白いことをやっていきたいと思ってるんで、そのときはまた一緒に遊んでください」というメッセージとともに、「スターリングスター」をこれからへの決意とともに高らかに歌い上げた4人は、銀テープが舞い落ちる中、最前列で深々とお辞儀をしてステージを後にした。
アンコールでは桜吹雪が舞った「桜花爛漫」、渾身の「ワッショイ!!」で「トラベリング」を、まばゆい光の中バルーンも登場した「Monday Traveler」と、3曲を披露。ここまで29曲。2時間ほどでこの曲数である。彼らはMCを除けば一度もギアを緩めず、オーディエンスも絶えず声援を送り、踊り、歌いきった。なんという凝縮されたステージだろう。
数分後、頭上のスクリーンに「ライザップ」の成果を見せつける『巨匠のライザップで武道館』の映像が流れ出す。1万人が様々なポーズとあらゆる部位の筋肉をひたすら鑑賞し、胸筋をピクピクさせる様に嬌声を上げ爆笑するという、なかなかシュールな光景を堪能した後、彼らは30曲目を届けに戻ってきた。ラストナンバーは「夕映えの街、今」。一際ロック色の強い楽曲に合わせ思い思いに暴れまくった4人と1万人は、すべてを出し切ったに違いない。
楽しんで、楽しませて、クレバーで、おバカで、仲良しで、ライバル。スッと耳に入るポップネスと差し込まれるテクニック、誰をも踊らせるリズム。
彼らはいつだって等身大で、真っ直ぐだ。打ち上がった炎も、SHELTERの床も、ライザップも、飛んだ巨匠も、30曲のキラーチューンも、すべて「みんなで面白いことをやって楽しもう」「踊ろう」という意志のもと。この日彼らは、等身大のまま、日本武道館で「いつものKEYTALK」を見事にやってのけた。
撮影=後藤壮太郎 文=風間大洋
2015.10.28 日本武道館
1. YURAMEKI SUMMER
2. パラレル
3. UNITY
4. ナンバーブレイン
5. FLAVOR FLAVOR
6. 鏡花水月
7. fiction escape
8. コースター
9. MURASAKI
10. お祭りセンセーション
11. PASSION
12. blue moon light
13. FREEDOM
14. summer tail
15. マキシマム ザ シリカ
16. エンドロール
17. summer end
18. バイバイアイミスユー
19. 消えていくよ
20. S.H.S.S
21. グローブ
22. 太陽系リフレイン
23. sympathy
24. MABOROSHI SUMMER
25. MONSTER DANCE
26. スターリングスター
[ENCORE]
27. 桜花爛漫
28. トラベリング
29. Monday Traveler
[ENCORE 2]
30. 夕映えの街、今