teto「全ての若者たちの音楽」大阪ライブレポート ーー抑えきれない衝動、観る者は、その一挙手一投足から目が離せない

レポート
音楽
2018.11.17
teto  撮影=小杉歩

teto 撮影=小杉歩

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teto全国ツアー『結んで開いて』@2018.11.17梅田クラブクアトロ

teto全国ツアー『結んで開いて』。大阪は梅田クラブクアトロ。SOLD OUT。彼らと同世代の男女問わず20代の若者たちで埋め尽くされている。開場後の場内では、洋楽を中心に懐かしの邦楽ナンバーも交えたBGMが流れている。わざわざtetoの音を楽しみに来たという静かなワクワク感を感じ取る事が出来る。それにしても、この若者たちは、どこから来たのであろう。普段、ライブハウスやフェスで観る面子とも、また違うような気がする。

teto  撮影=小杉歩

teto 撮影=小杉歩

最初から「光るまち」という魂の叫び、ブルースが浴びせられる。若者たちは舞台を凝視して、自然に拳が上がっていく。小池が観客に向かってダイブしようとするとギターやマイクのコードが引っかかりそうになり、それを必死でスタッフがまとめようとするが、当の本人は気にする事なく、邪魔になったベースの佐藤健一郎を突き飛ばしたり、本能のままに動き回る。ふと見るとギターの山崎陸はスピーカーに登っている。ドラムの福田裕介も気迫で叩きまくっている。思わず「馬鹿だなぁ!」と笑っちゃう最高さ。2曲終わった時点で全て出しきったくらいの感じがあった。その出しきり方についてはインタビューでも触れているが、抑えきれない衝動というか……、本気でやっているからこそ、観る者は、その一挙手一投足から目が離せない。その全力加減に40歳の私も訳わからず泣きそうになるくらい感情が揺さぶられるし、実際、若者たちの顔を観てみると、みんな真剣な顔で表情をグシャグシャにしながら歌詞を必死に口ずさんでいる。

teto  撮影=小杉歩

teto 撮影=小杉歩

インタビューで「インタビューを読む暇があれば、その音源を聴いて欲しい」と書いたが、それは前言撤回で「インタビューを読む暇があれば、ライブを観て欲しい」と書き直したい。小池自身、MCで「こういう場所だけっすわ、俺が腹割って会話できるのは、ここだけ。アルバム出して、ツアーやって、曲を聴かせるとか、伝えたい事を伝えるとかより、その前に会話をしに来た」と言っていた。それが全てなんだろうなと思った。「絶対に毎日楽しいわけでないし、絶対毎日悲しいわけでもない」とも言ってたが、そんな何とも言えない感情を肯定してくれると言ったら大袈裟かもだが、寄り添ってくれる嬉しさが、若者たちからしたらあるのかも知れない。「男には悲しかろうが何であろうが、戦わなければならない時がある」なんて言ってから、「市の商人たち」を歌ったが、不意に魅せる、そんな男気には年上の男でもグッときてしまう。「一生やんない。気分じゃないし」とまで思ってた「My I My」を以前、大阪のライブ終了後に男子からリクエストされたことを覚えていて、急遽セットリストに入れてみたりと、そんな一体感を大切にする配慮も何とも言えない。この曲にしても「溶けた銃口」にしても「忘れた」にしても、ただただ激しいだけの曲じゃなく、思わず聴き入ってしまう聴かせる楽曲である。色々な振れ幅な楽曲を聴かせられるのも、彼らの魅力。

teto  撮影=小杉歩

teto 撮影=小杉歩

「「俺覚えてます。俺忘れません」という事を宣言の様に書いてる」と言っていたが、その歌に賭ける気持ち、そして、「手」の前に言った「(客席)に飛び込んじゃいましたけど、人の体温に触れると、こんなに温かいのかと……、そういう手に触れながら何とかやっていけます!」といった素直な気持ち。「泣いたり怒ったりするグチャグチャした日は疲れるから増えて欲しくないけど、減っていくのも嫌だなと思いました」……なんていうこんがらがった気持ちは、一生懸命生きていたら誰もが思う事で、それを代弁してくれる心強さを感じる事が出来た。

teto  撮影=小杉歩

teto 撮影=小杉歩

今までフェスやイベントでの短い時間では観てきたが、約2時間に及ぶワンマンでも全く衝動が途切れる事なく、ボロボロに力尽きるまで全力を出しきっており、最後まで引き込まれっぱなしだった。そして、観客の若者たちの満足しきった顔、また、業界関係者でも彼らと同年齢くらいの若者たちが「凄いものを観た……」という呆然とした顔でいたのも、個人的には特に印象に残った。精神年齢が低いのか、大人になりきれないのか、まだ思春期真っ最中なのか、何だかよくわからないが40歳の私はtetoの音楽が自分の為の音楽だと思うし、ライブでも年甲斐も無く興奮したり、涙腺を崩壊されそうになったりする。でも、やっぱり思うのは、tetoは、彼らと同世代の若者の音楽である。だからこそ、全ての若者たちが、自分の為の音楽だと思って、tetoを盛り上げて広げまくって欲しい。

取材・文=鈴木淳史

ツアー情報

teto ツアー2018「結んで開いて」
11/17(土) 札幌BESSIE HALL
OPEN 17:30 / START 18:00
※ワンマン
11/29(木) 高松TOONICE
OPEN 18:30 START 19:00
※ワンマン
12/1(土)福岡DRUM SON
OPEN 17:30 START 18:00
※ワンマン
12/02(日) 広島4.14
OPEN 17:30 / START 18:00
※ワンマン
12/07(金) 恵比寿LIQUIDROOM
OPEN 18:00 / START 19:00
※ワンマン
12/27(木)千葉LOOK(※ワンマンライブ・ツアー初日振替公演)

▼前売り:¥2,800(D代別)
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