未だお伊勢にたどり着かず、今度は名古屋〜伊丹〜四日市を巡る、KUDAN Project『真夜中の弥次さん喜多さん』平成最終公演

インタビュー
舞台
2018.11.18
 KUDAN Project『真夜中の弥次さん喜多さん』上演より

KUDAN Project『真夜中の弥次さん喜多さん』上演より

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初演から16年経っても色褪せぬ名作『真夜中の弥次さん喜多さん』を4年ぶりに上演!

〈天野天街の劇作・演出で、小熊ヒデジと寺十吾による二人芝居を行うユニット〉として、1998年に名古屋で結成されたKUDAN Project。第1作『くだんの件』に次いで2002年に初演された『真夜中の弥次さん喜多さん』は、漫画家のしりあがり寿が十返舎一九の滑稽本「東海道中膝栗毛」を題材に、“生と死”や“リアルと妄想”が入り混じる、シュールで壮大な旅物語として描いた作品だ。江戸に女房を残して旅立つ弥次さんと薬物中毒の喜多さんのホモカップルが、奇妙奇天烈な宿場を巡り、リアルを求めてお伊勢詣りを目指すこの物語は、続編の『弥次喜多 in DEEP』も含め1994年から2002年まで長期にわたって雑誌連載が続けられ、2001年には手塚治虫文化賞優秀賞を受賞。また、2005年には宮藤官九郎監督によって映画化もされている。

KUDAN Project『真夜中の弥次さん喜多さん』チラシ表

KUDAN Project『真夜中の弥次さん喜多さん』チラシ表

そんな本作が、映画よりひと足早くKUDAN Projectの第2弾として上演されることになった発端は、以前からしりあがり作品のファンでもあった、役者でプロデューサーの小熊ヒデジの発案によるものだ。劇作・演出の天野天街も、「考えていることが同じ」と、しりあがり作品に強いシンパシーを感じ、原作のエピソードを巧みに抽出して深化させつつ、因果律の逆転など独自の演出手法を駆使し、シンプルかつスペクタクルな二人芝居へとあざやかに転化。小熊&寺十の高度な演技力や、美術・照明・音響・映像・小道具など驚異的なスタッフワークもあいまって初演から絶賛されたこの作品は、これまで10回以上も再演が繰り返されてきた。

また、国内のみならず、中国、フィリピン、マレーシアと、3カ国5都市で海外公演も実施(海外上演時のタイトルは『YAJI and KITA』)したり、2005年には、総勢160名以上が出演した『百人芝居◎真夜中の弥次さん喜多さん』(しりあがり寿もゲスト出演)という大規模な公演にも発展、大きな広がりを見せてきた。そんな《日本演劇界の至宝》とも称される本作が、2014年の静岡公演(1ステージのみのプレミアム上演)以来、今回の再演ツアーで名古屋は7年ぶり、関西では実に13年ぶりに上演される。 また、四日市にも初登場するので、これまで見逃していた方はもちろん、KUDAN Projectや『真夜中の弥次さん喜多さん』を知らない若い世代の方も、この機会にいずれかの会場でぜひご鑑賞を!

KUDAN Project『真夜中の弥次さん喜多さん』上演より

KUDAN Project『真夜中の弥次さん喜多さん』上演より

【今回の再演にあたって】

◆天野天街(脚本・演出)
初演以来、手直しをした覚えがほとんどないので、何度も上演することに耐える強度ある作品だと改めて思いました。小熊さんとじっちゃんは、役者としての引き出しが多くある2人だけど、この作品に於いては、まだ見えていなかった引き出しが開かれていくような感覚があるし、根源的なチャーミングなところが出ているとも思います。2人の経年による変化も含め、再演を重ねるたびに何がしかの質感は当然変わってきていて、それが良いことか悪いことなのかは判じかねますけど、小熊さんが「この作品を一生やり続けたい」と言っているように、2人がどれだけ歳をとっても脚本を変えずに(スピードを変えていく可能性はあるかもしれないが)やり続けられる作品だと思っています。

◆小熊ヒデジ(喜多さん役・KUDAN Projectプロデューサー)
当初はこんなすごい作品になるとは思っていなかった。この作品に出会えて、俳優として幸せだったと思います。『くだんの件』は、肉体的負担が大きいので怖い作品でもあるんですけど、『弥次喜多』は安心できて寄り添える作品。若い頃に演じたのも面白かったけど、寺十君も僕もそれぞれの活動を経て出会うと、手触りが変わるんですよ。台本に書かれている役は普遍なんだけど、時間が経って俳優の環境や状態が変わったり、経験が増えたりすることで新しい解釈が加わる。それもすごく楽しみで、70歳ぐらいになってもできる作品だと思うので、一生やり続けたいですね。「二人芝居をやりたい」と思って始めたKUDAN Projectが、グレードアップして良い形で続いているのがとても嬉しいです。

◆寺十吾(じつなしさとる/弥次さん役)
KUDAN Projectの3作(『くだんの件』『真夜中の弥次さん喜多さん』『美藝公』)の中では一番馴染み深い作品だけど、体力と集中力が持つか心配です。いろいろなことが矢継ぎ早に起こるので、前回やっていたことに追いつくだけで精一杯。数年に一度の体力測定みたいな作品です。脳味噌もすごく使うし、他の演出家の現場とは全然違います。天野さんの作品は、大変さという点ではどの作品も変わらないけど、この先ももちろん、KUDAN Projectで新作もやっていきたいと思います。今回は、「えーい、ままよ!」という思いで臨みます。

公演情報

KUDAN Project『真夜中の弥次さん喜多さん』

■原作:しりあがり寿
■脚本・演出:天野天街(少年王者舘)
■出演:小熊ヒデジ(てんぷくプロ)、寺十吾(tsumazuki no ishi)

<名古屋公演>
■日時:2018年11月29日(木)19:30、30日(金)19:30、12月1日(土)14:00・19:00、2日(日)14:00 ※1日(土)19:00の回終演後は、諏訪哲史(作家)をゲストに招きアフタートークを開催
■会場:ナビロフト(名古屋市天白区井口2-902)
■料金:一般前売3,300円、当日3,600円 25歳以下前売2,500円、当日2,800円 高校生以下 前売・当日1,800円 ※25歳以下、高校生以下は当日受付で年齢が確認できる証明書を提示
■アクセス:名古屋駅から地下鉄東山線「伏見」駅下車、鶴舞線に乗り換え「原」駅下車、1番出口から徒歩8分
■問い合わせ:KUADN Project 090-9929-8459 kudan@office.jp

<伊丹公演>
■日時:2018年12月7日(金)19:30、8日(土)14:00・19:00、9日(日)14:00 ※8日(土)19:00の回終演後は、しりあがり寿(漫画家・原作者)をゲストに招きアフタートークを開催
■会場:AI・HALL 伊丹市立演劇ホール(兵庫県伊丹市伊丹2-4-1)
■料金:一般前売3,000円、当日3,500円 25歳以下前売2,500円、当日3,000円 ※25歳以下は当日受付で年齢が確認できる証明書を提示
■アクセス:JR「伊丹」駅からすぐ。または阪急「伊丹」駅から東に徒歩約10分
■問い合わせ:AI・HALL 072-782-2000(9:00~22:00/火曜休館)

<四日市公演>
■日時:2018年12月15日(土)14:00、16日(日)14:00 ※15日(土)の終演後は、土田英生(MONO代表、劇作家・演出家)をゲストに招きアフタートークを開催
■会場:四日市地域総合会館あさけプラザ(四日市市下之宮町296-1)
■料金:一般前売3,500円、当日3,800円 大学生以下前売1,500円、当日1,800円  ※大学生以下は当日受付で年齢が確認できる証明書を提示
■アクセス:近鉄・三岐鉄道「富田」駅下車、徒歩約15分。または四日市市自主運行バス(山城・富洲原線)「あさけプラザ」停、下車すぐ
■問い合わせ:四日市市文化会館 059-354-4501(9:00~17:00/月曜休館 ※祝日の場合は翌火曜)

■公式サイト:KUDAN Project http://www.officek.jp/kudan/
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