FROGMANロングインタビュー 10年以上も島根県を推し続けるワケとは?リアル城攻めイベント『SHIROZEME』の壮大な構想に迫る

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Flashアニメ『秘密結社 鷹の爪』TV放送、全国劇場公開などで一躍注目された映像クリエイター・FROGMAN。同作は、劇中に予算を表示する「バジェットゲージ」、スポンサーの商品を堂々と登場させる「プロダクトプレイスメント」といった奇抜な演出で話題だ。そんなコメディタッチ な作風と相反して、FROGMANが一貫して取り組み続けているのが、作品での島根県PR。彼の島根への思いはどこから生まれたのか?そして、その島根で開催される前代未聞のリアル城攻めイベント『SHIROZEME』に賭ける想いとは?そのルーツと壮大な戦略に迫った。

--FROGMANさんを島根出身と思っている方も多いと思うんですが、実は違うんですよね。

東京都板橋区大山金井町出身です(笑)

--どうやって島根と出会ったんですか?

19歳の頃に映像業界に入って、制作部というポジションを十数年やっていました。ドラマや映画のロケ現場探しや交渉、車・宿・食事の手配などをする、いわゆる「段取り屋」です。そこで、映画『白い船』の撮影で島根に行ったのが最初ですね。監督の錦織良成さんが島根県出身で、地元で撮る作品だったんですがぼくは監督が島根出身だなんて全然知らなくて、「島根県なんて存在するんだ」くらいに思ってた(笑)。行ってみたら「なんて田舎なんだろう」と思ったんですが、地元の人の話を聞いていくうちに、島根に対する興味がすごく高まっていった。誰もが知っている神話の舞台がリアルにあるすごいところだと。例えば、伊邪那岐命(イザナギノミコト)、伊邪那美命(イザナミノミコト) の黄泉比良坂ですが、地元の方が「そこの町内にありますよ」って話してくれたり。もともと歴史は大好きだったんですが、なかなか島根・出雲には注目してこなかった。歴史という視点では、出雲・島根はあくまで「神話の世界」のことだったんで、頭の中からスポッと抜けてたんです。

--なるほど。

撮影が終わったあと、自分の中では映像の仕事に限界を感じ始めてて。インターネットも普及し始めてたんで、「映像の配信をビジネスとして拡げられると面白いんじゃないかな」と漠然と感じてはいたんです。そして、たいして考えずに、そのまま島根に移り住んでしまいました。フリーランスで無職みたいなもんだったから、島根に住むことは問題なかったんです。ただ、どうやって食べていくかが問題でした。

--そうですね。

パソコンを使って名刺を作ったり、ちょっとした印刷の版下を作ったりして…映像とは違う分野なんですけど、食うためには何かやらないといけない。田舎でパソコン使える人がそんなに多くなかったので、なんとなく仕事はあったんです。

--はじめから映像の配信をやろうとは思わなかったんですか?

FROGMAN

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実写の作品を配信しようとは思っていました。ただ、当時はYouTubeも無くて、動画を流すにはストリーミングサーバーが必要。月間で50から60万円くらいのサーバー維持費はとても個人じゃ負担できないし、会社を興すにも賛同者がいない。結局、実写で何かをやるっていうのは諦めて、そこで出会ったのがFlashなんです。 Flashアニメはデータも軽いし、画を描いて声も自分でやって、一人で完結する。人件費が発生しないから出来るんじゃないかってことで、2004年からはじめたんですね。

--最初から島根ネタを使おうと思ってらしたんですか?

そうですね。それまでは情報の流れって…たとえばテレビだと、東京の取材班が地方に行って、それを東京の局が全国に配信していた。地方の話題は大都市を経由しないと伝わらなかったんです。インターネットの普及で、例えば島根の情報をダイレクトに秋田に届けられるとか、東京のフィルターを通さないで直に伝えられる時代がやってくる。そうなったときに、ローカルネタがすごく注目されるコンテンツになるだろうと思ってたんです。そう考えると、地方にいるのに東京っぽいものを作ってもしょうがない。地方の色を強烈に出すからこそ、秋田の人も熊本の人も面白がってくれるんじゃないかな、と。

--最初のヒットになった『菅井君と家族石』はDVDが売れたんですか?

 


売れましたね。前年まで年収が60万くらいだったのが、10倍以上になりましたから。いきなり車を2台買いました(笑)

--使い方がわかりやすい(笑)年収60万円の時代は、映像以外の仕事で生活してらしたんですか。

ええ。島根にはすごくご恩を感じていて。田舎は村社会だとか、過干渉だとか言われますけど…あれは困ってる人がいたら必ず助ける「互助のシステム」なんです。例えば、ぼくが今でも命の恩人だと思っている、松村さんていう方がいらっしゃって。

--CMを作られた、海産物松村の社長さんですね。

松村さんは「いつか才能を開花させる日が来るから、今はうちでアルバイトしなさい」って言ってくれた。午前中に暇なときにお店に行って、ダンボールに海苔を詰める仕事を2時間くらいやって、1万円もくれたんですよ。会社の印刷物を頼まれたこともあってそれも下手くそなものなのに、5万円とか6万円をくれました。年収60万円は、ほとんどが松村さんからもらったお金ですね。ご恩返しで、無理を言って勝手に作らせてもらったのが「十六島海苔」のCMです。あれがきっかけになって、東京からも「面白いからウチでも作ってよ」というお仕事の依頼がきはじめました。

 



--その後、『秘密結社 鷹の爪』がTV放送で大ブレイク。いそがしくなって東京に移住されるわけですが…それでも島根には頻繁に帰られてますね。やっぱり、お世話になったからですか。

 



それだけじゃなくて…あそこには日本人の原風景みたいなものがあるんです。

--というのは?

2000年から3000年ぐらい前、島根は大都市だった。そこで育った人たちの文化が連綿と継承されてるから、コミュニティがすごく成熟されていて、みんなすごく大人なんですよ。言い方を変えると、海千山千みたいな人たちがけっこう多かったりして。その最たるものが、竹下登さんだったり、青木幹雄元参院幹事長だったりするんですが。田舎のおっさんのように見えて、実はしたたかで計算高い人がけっこう多くて。それが、出雲人、日本人の根っこになってるっていうのがわかった。根回しと前フリっていうのはすごく大事で。島根にはそれを学ばせてもらって、すごく勉強になったと思いますね。

--島根の人は優しいだけじゃない、と。制作部時代に「根回しと前フリ」を学ばれたのかと思いましたが、そうじゃないんですね。

 
FROGMAN

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制作の時には「使えない小野ちゃん」で有名でした(笑)あと、うちの奥さんからも学びました(笑)うちの奥さん、完全に出雲人だから。

--『鷹の爪』から、島根の扱いが単なるネタではなく、「自虐PR」に変わってきたように思います。ここから「島根推し」を強く意識し始めたんですか?

そうですね。『鷹の爪』のメンバーの中に「吉田くん」っていう島根出身のキャラクターを入れました。全国放送ということもあったので、島根ネタを転がすと絶対に笑えるだろうなと。島根はとことんダメじゃないですか、世間の評価が(笑) 「場所が分からない」「人が少ない」って、みんながコケにしてる。でも、島根県のポテンシャルがメチャメチャ高いってことを、みんなわかってないんですよ。それをすごく言いたかった。SNSでみんなが知らないことを人に言いたくなるのに近い感覚です。そのメディアが、テレビや映画だっただけで。「島根推し」はPRというよりも、自分の欲求のためですね。

--現在は島根県の自治体とも密着していますね。きっかけはどのあたりだったんでしょう?

もともとは、県や行政と結んでやろうとは考えてなかったんです。正直、行政からお金もらって何かをやると「ひも付き」になりがちで、『鷹の爪』みたいなエッジの効いた作品にとってプラスにならないこともあると思ってたんですよ。そんな時に、NHKで『ワースト脱出大作戦』という番組があったんです。これは47都道府県の中のワーストなものを改善しようという番組で。そのときに選ばれた県のひとつが島根県だったんです。インターネット調査で、島根は「日本一どこにあるか分からない県」だという結果が出て、汚名返上するために大キャンペーンをやる企画でした。ぼくは島根ゆかりのクリエイターとして出演して、NHKに「島根の場所がわかるいいキャッチフレーズを考えてくれませんか?」と依頼された。そこで考えたのが「島根は鳥取の左側です」

--ありましたね(笑)

これがすごくウケたんですよ。「鳥取じたいがわかんねーじゃねーかよ!」みたいにツッコんでくれて。認知度が低い鳥取にすがらないといけないほど、島根県の場所が分からない…という自虐なんですが。番組も好評で第二回があって、キャッチフレーズをTシャツにすることになったんです。すると、今度は島根県知事に会いに行くことになった。ぼくが「こんなTシャツできたんですけど」って言ったら、知事はそのままTシャツをカメラの前で着ちゃったんです。

--へえ!

それが転機ですね。実は当時、島根県庁内にも「何を馬鹿にしとるんだ」と、自虐ネタを認めてくれない方もいたんですよ。認めてくれる人たちはすごく面白がってくれたんですが…行政というのは、自治体の悪口を言いながらのプロモーションは出来ないんですね、立場上。県民からも突き上げがくるし、議会にもつつかれるから。どの自治体も自虐が面白いとは思ってても、「景色はいいよ、食べ物はおいしいよ」って、紋切り型のプロモーションしか出来なかったんです。ところが、知事が「島根は鳥取の左側です」ってTシャツを着ちゃったから、「自虐OKだ」となったんです。

--(笑)

そこからガラっと変わって、島根県は日本初の自虐プロモーションをはじめて、『鷹の爪』の吉田くんは島根SUPER大使にも任命された。その後、広島県が「おしい広島県」を始めたり、香川県が「うどん県」を始めたり、岡山市が「桃太郎市」を始めたりみんな島根の周りばっかりですよ(笑)

--2013年にはFROGMANさん自身も松江市の観光大使に任命されます。『菅井君』から数えると10年強…長いですね。

 

そうですね。やっぱり10年たっても島根は面白いし、いまだに島根に帰るとワクワクします。「今度は島根で何をしようかな」って。地方の人にとっての里帰りに近いのかな。ぼくのお里は東京だから何とも言えないんですけど東京でずっと暮らしてる人は、少年時代に出会った景色には、もう会えないじゃないですか。ぼくが子供時代に見た板橋の大山金井町の風景は、今ではすっかりさま変わりしちゃってる。

--たしかに。

地方から出てきた人は、心が弱ったとき、自分を励ますために、「あのときの気持ちに戻りたい」と思うと、故郷に帰ればあの頃の風景を見ることができる。山も変わらなければ、川も変わらないし。多少コンビニが増えたとか、そういうのはあるでしょうけど。島根なんかは、ほとんど開発が進まない(笑)

--そんなにですか?

進まないですね(笑)道は増えるけれど、基本的なものは変わらない。もっと言えば松江城なんて400年変わらないわけだから。「あの風景をもう一度」と思ったときに、開発されてない田舎があるのはうらやましいというか、すごいなと思いますね。ひょっとすると、島根に行くと「懐かしい」「癒される」っていう、DNAレベルに刻まれた記憶みたいなものが蘇るんじゃないかなって。あまり科学的じゃないですけど、そうとしか考えられないような、ほっとするところがありますよね。

 

FROGMAN

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ガチすぎるイベント『SHIROZEME』に隠された壮大な計画

--そこまで島根への想いが強いとは…『SHIROZEME』が生まれるのも納得です。ただ、それにしても「城をリアルに攻める」というインパクトは衝撃的です。思いつかれたきっかけを教えてください。

5、6年前、覚えていないくらい前から城攻めをやりたいという話は周りにしていて。たぶん、城好き、あるいはお城に行った人は誰もがやってみたいと思うことなんですよ。絶対に無理だと思うからやらないだけのことなんです。現存12天守の中でも、松江城は城郭も綺麗に残っていて、天守閣もすごく大きい。これを「偉大な展示物」で終わらせるんじゃなく、もっと活用できないか、とはずっと考えていた。

--かなり前からイメージはしてらしたんですね。

直接的なきっかけは、2年前に島根女子短期大学の教授・小泉凡さん小泉八雲のひ孫さんなんですがその方とのトークショーを松江城でやってくれ、と松江市から依頼されたときです。そのトークが面白かったらしく、市の職員の方に「次年度以降もいろいろ一緒にやりませんか?」と誘われた。松江城は松江市の持ち物ですから、ぼくは前から考えていた「城攻め」について話したんです。職員の方は面白がってくれたんですが、「文化財なんでちょっと難しいと思いますよ」と。その後も、企画を考えてはポシャる、考えてはポシャるっていうのを繰り返してたんですが、去年になって文化庁の方針が、文化財を保護じゃなく活用する方向に変わったんで、秋くらいに急に具体的に話が進みました。

--「城攻め」のインパクトは強いですが、実はかなり気も使われてるんですよね。

めちゃくちゃ気を使ってますよ!明治政府の時代に城郭破却令というのが出されて、天守閣と石垣以外の、門とかやぐらは全部壊しちゃった。だから、今回は大手門を復元してるんです。攻城兵器も使いますが、実際に石垣に立てかけたらアウトなんで、石垣のそばに立てかける。ものすごい文化財なんで、さすがにそこは気を使ってますね。

--ただ、「大手門破り」は丸太を使うわけですよね。

 

(C)2015 DLE Inc

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そうですね。大手門を復元して、ウレタン製の丸太でドスーンと。大手門跡の上につくると観光客の迷惑になるので、少しずらしたところに建築用の足場で骨組みを作って、そこに塀や石垣をつけて再現します。ちょっと「風雲たけし城」みたいですが(笑)

--まあ、たけし城以来の城攻めですからね。「弓打ち/石落とし」はどう再現するんですか?

城に鉄砲狭間、矢狭間っていう穴があるのを知っていても、そこから「射たことがある」という人はいない。「じゃあ射てみよう」ということで、ぼくは実験したんです。

--実験したんですか!

ええ。そしてわかったのが、「射づらい」ってことです(笑)土塀を断面図で見ると、塀があって、ひさしがあるわけじゃないですか。で真ん中に穴が開いてる。しかも、高いところの塀だと下を狙うことになるんで、角度もつけなきゃいけない。弓を射るとすると、上から構えなきゃいけない。すると、弓の上部がつっかえちゃうので、穴から離れないといけない。穴もそんなに大きくないので

--確かにお話をうかがっていても、なかなか難しそうです。というか、これは文字では伝わらない(笑)

うん、ぜんぜん伝わらないと思う(笑)絶対体験しないと分からないです。

--「行天橋石垣上り」で使う行天橋は、いわゆる攻城兵器ですよね。

 
(C)2015 DLE Inc

(C)2015 DLE Inc


そうです。武器を持たずにただ登ると、いい標的になっちゃうんで、やはり攻城兵器が必要だと。映画の『ロード・オブ・ザ・リング』とかを観てるとわかりますけど、櫓と同じ高さで弓を射るとかあれを作るわけです。可動式のものなんですが、実際に山城攻めになると行天橋のようなものは作れないんで、平城用のわりと近世になってから作られた兵器ではあるんですけど。

--それも作ったんですか。

作ります。ただ、今回は二の丸下の段というところでやるんですが石垣の高さが13メートルくらいあるんですよ。実際にその高さまで上がると落ちて死ぬ人も出るだろうし、途中で転がってくる人がいると、それだけでも危険なんで。だから、今回は3メートルくらいの高さにします。それでも危険ですけどね。

--「混成守備隊」というのも、なかなかイメージしづらいかなと思ったんですが。

 
(C)2015 DLE Inc

(C)2015 DLE Inc


「混成守備隊」は、ディズニーランドのジャングルクルーズみたいなものです。スタッフが足軽大将と先輩兵卒を演じて、参加者は彼らに率いられる新兵という設定です。松江城が合戦で攻められていて、部隊は警備のために城内を巡回する。城の中をぐるぐる回りながら、城の機能を説明しつつ案内します。途中で敵が攻めてきて、牢屋に入れられたりするんですけど。

--アトラクション的なんですね。「白兵戦」はチャンバラですか?

本格的なチャンバラにします。無鉄砲にやるんじゃなくて、戦国時代と同様に「鶴翼の陣」とか「魚鱗の陣」とか、いわゆる陣形を組んで5050で戦います。ちゃんと自分たちで戦略を練って、「ガタイが大きい人が多いから、鶴翼で相手を包み込むようにやったほうがいいんじゃないか」とか、リーダーを決めてみんなでやるんですよ。今回はIKUSAという団体に仕切ってもらうんですが…この間、荒川の土手でやっていたIKUSAのイベントに参加してきたんですけど、1時間やっただけで1日分の体力を使い切って、そのあと寝てましたからね。けっこう過酷ですよ(笑)

--とことんガチですが…甲冑が無くても参加はできるんですよね?

甲冑持ってる人はそんなにいないんでね、やっぱり(笑)ただ、できれば甲冑を着て欲しいんです。本物のお城でやるんで、ジャージの上下だとあんまりグッとこないですし。できれば甲冑を買って、なければ自分で作ってください。作れなければ、Tシャツに「甲冑」って文字を書いてもいい。さらに言うなら、自分が勝負服だと思うならイブニングドレスでもいい、最終的には(笑)

--(笑)なるほど。DLEショップでは、「風神雷神」という、25,800円のなかなか高級な甲冑キットも売ってますよね。

そうそう。あれはすごく軽くていいんですよ。脱着・装着も簡単で、しかも丈夫なんです。人形屋さんで売ってるような甲冑だとブッ壊れちゃうじゃないですか、重いし。今後、城攻めを色んなところで開催する予定なので、少しづつカスタマイズしながら繰り返し使えます。

--4,320円の紙製組み立て型甲冑も売ってますし、選べばいいですよね。

ダンボールで作ってる方もネットで見かけましたし。公式サイトに、作り方とダウンロードできる型紙も載せてますから。

 
『SHIROZEME』公式サイトより

『SHIROZEME』公式サイトより


--もろもろの設定がかなり綿密なようですが、どうやって検討したんですか?

ぼくも本を読んで勉強しましたが、城メグリストの萩原さちこさんという方と、お城に詳しい作家の宇田川敬介さんに、ブレーンとして参加してもらってます。お城好きな人が「これをやったら痺れちゃう」っていうのをピックアップしたから、「大手門破り」みたいなアトラクションにたどり着いたんですよ。

--松江市全体を使った関連イベントもありますね。松江城内での展示や、松江市を知るガイドツアー、スタンプラリーやトークショーもある。ただ、ちょっと盛りだくさんですよね。

初めてのわりに、いろいろブッこみ過ぎたのは反省しています(笑)実は今回はデータも採りたいんですよ。どういう属性の人たちが、どういう楽しみ方をするのかなっていうのを見てみたいんです。ファミリー層が参加するのか、城マニア・城好きが駆けつけてくるのか。意外に大学生のいわゆるリア充といわれる人たちが、アスレチックやBBQ気分でやってくるのか。だから、いろんなものを用意しました。

--外国の方も楽しめそうですが。

外国の方は、実は狙ってます。ちょっとビジネス側の話になっちゃうんですけどぼくは今観光業について模索してるんです。世界的に車や家のような耐久消費財じゃなく、こういうものを見ました、食べましたという体験を人に見せて「イイね!」って言われる、いわゆる承認欲求を満たすことにお金を落とす傾向が強くなっている。日本では、海外からお客さんを招いても、注目されるのは東京とか京都、よくて広島かなと。地方の都市にはそういう外国人の受け皿がない。でも、島根は違うと思うんですよね。

--というのは?

山陰松江市には、近世以降の城下町があって、小泉八雲の怪談もある。明治以降の史跡もたくさん残ってる。一方、東側に目を移すと境港があって、そこには水木しげるさんと妖怪の故郷がある。松江の西側に目をやると、隣の出雲市には出雲大社がある。南にはスサオノ伝説の雲南市が、さらに中世の歴史で世界遺産でもある石見銀山がある。山陰なら神話から中世、近代までの日本の歴史を、書物や遺跡じゃなくて生で体験できるんですよ。京都に行っても、さかのぼれてせいぜい応仁の乱から幕末くらい。奈良は古代史だし、東京・大阪はほぼ歴史を見ることはできない。

--なるほど、全部そろってますね。

それを見てもらうには、何かとっかかりがないといけないので、外国人が一番憧れる侍を体験してもらおうと。そこで、ジャパニーズ・ゴッド(神話)とジャパニーズ・モンスター(妖怪)もいるし、松江にはジャパニーズ・ゴースト(怪談)もいますよ、ということを紹介していったら、外国の方は「すごいなこの地域は。一回じゃ見て回れないから、また来よう」「SNSで拡散しよう」とか…そういう風になると思っていて。

--だから『SHIROZEME』公式サイトは英語でも見られるんですね。そういえば、海外にも甲冑を着て戦う「へヴィファイト」というイベントがあるみたいですね。

実はあれがヒントにもなってるんですよね。世界中でやりたい人がいるっていう素地はある。日本でやるなら、中世の甲冑を着て、ヨーロッパ人が日本の城を攻めるっていうのも面白いと思いますね。

--コスプレイヤーさんも楽しめそうな気がします。

コスプレの方も歓迎なんですがこれもマーケティングの問題になってきて。いわゆる史実に基づかない格好を、ほんとの侍ファンがどう思うのか。「あんなの現実じゃないじゃん」みたいに反応されると、本物のお城でやる意味がなくなってきちゃう。やるんであればなるべくガチの、リアリティのある城攻めを体験してもらいたいので、そこは慎重にはなってますね。露出の激しい衣装はダメだし、松江市からも国宝の品位を損ねるようなことはやるなと言われてはいます。

--SNSを見ていると、観光ついでに『SHIROZEME』しようとしてる方もいましたよ。

2013年の大遷宮に来られなかった方は、今回松江に来て、出雲大社に行って、ついでに境港に行けば妖怪も見れるなとか。『SHIROZEME』のためだけに何千円、何万円使うのかと考えず、他にも色々あるから楽しもう、と思ってもらえれば。

--この日は松江市全体がテーマパークになるという感じですね。今後、さらに大きな『SHIROZEME』の計画があるんですか?

今回は1日限りなんですが、日程が短いとオリジナル商品をたくさん作れないとか、スポンサーがつきにくいとか、色々と問題はあるんですよね。だから、次年度以降の松江では、恒常的で長期間の開催を考えています。それと、ほかの自治体・城から『SHIROZEME』をやりたい、というか「どんなもんなんですか」みたいな申し出も来てるんです。

--もう来てるんですか。

今後、『SHIROZEME』は全国ネットワークにしようと思ってるんですよ。日本には城の跡が2万から3万くらいあるといわれていて、外国人を呼ぶインバウンド施策がない自治体にも城跡は必ずあるんです。そこを上手く利用してネットワークに参加してもらえれば、『鷹の爪』を使った宣伝や、システム、グッズなどの必要なものは用意しますよ、と。ネットワークができたら、「週末はあの城を攻めに行こうぜ」とか、色々なツアー・プランが作れると思ってるんですよ。

--おお。すごいですね。

外国の方も「姫路城いったから、今度は熊本城いくんだ」とか考えると思うんです。城を知ろうとすると、その地形や、そこに根ざした文化、郷土の食べ物とか、そういうものをみんな積極的に学ぼうとするんですよね。地元の人たちにとっても、泊まっていってご飯を食べてくれる、対外的な交流ができるっていうことが、地域の活性化に繋がる。

--そうですね。

そこで、例えば真田幸村の土地だから、うちは幸村オリジナルの甲冑を作っちゃおうとかそういうことを考えれば、ひとつの産業ができるじゃないですか。地元の人に祖先の遺したコンテンツを上手く活用してもらって、ビジネスとして拡げてもらえれば。ぼくらはずっと主催をやっていくんじゃなく、今回成功したものをフランチャイズ化して、いろんな自治体に売り込んで、地域活性化に繋げる。リアル脱出ゲームや街コンもこれに近いですが、この2つは日本語じゃないと参加できないですよね。でも、『SHIROZEMEは外国人も参加できる。海外とのパイプはDLE(※編注:FROGMANが所属するアニメ制作会社)が持ってるので、宣伝もしますよと。

--継続していくことが重要ですね。来年NHKの『真田丸』が放送されて、長野県が潤うってお話になってますが、放送が終わったあとに効果がどこまで続くのかわからないですよね。

出雲大社60周年の遷宮祭にも、何百万人のお客さんが来ましたが残念なことに、泊まるところを増やせなかったんです。ホテル業界の人たちも、
ブームが去ったらそれが丸々負債になっちゃうから、何億円も借金して増築・改築するわけにはいかない。だから、出雲大社にきた多くの人が日帰り、ないしは鳥取に泊っちゃった。地方で「大河ドラマでお客さんがきた!ワーイ!」って潤うのはほんとに一部で、ホテル業界とかは特需はあても継続しない。常連客が「泊まりにくくなった」って離れていくケースもあるくらいで。だから、継続的にお客さんが来る目玉コンテンツを『SHIROZEME』で作ってあげられるといいなと思うんです。

--最後に、イベントに少しでも興味を持たれた方にメッセージをお願いします。

城攻めするしないに関わらず、ぼくは松江城を日本一のお城だと思ってるんです。堀尾吉晴は、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の3人の戦国の覇者の間を渡り歩いて、ずっと戦いの人生を歩んだ人。松江城は、その堀尾吉晴が最後に作った「戦う城」なんですよ。一見優雅に見えるんですけど、一つ一つをよく見ると、恐ろしい殺戮兵器でもある。そういう、美しさの裏側に隠された冷酷さっていうのものを感じてもらいたい。松江城の天守閣の前に立つだけでも、ほかの城とは比較にならない腹にドンとくる迫力がある。見るだけでも感動するはずですので、是非来てください!

 


インタビュー=藤本洋輔
 
プレゼント
FROGMAN直筆サイン入り「島根県×鷹の爪 スーパーデラックス自虐カレンダー 2016」壁掛け、卓上版を各1名様にプレゼント
 


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2015年12月1日(火)23:59

 
イベント情報

「鷹の爪団の SHIROZEME」

開催時期:2015年11月14日(土)
時間:10:00 ~ 17:00 (開会宣言:11:30からメインステージにて)
開催場所:松江城および周辺施設と周辺エリア
開催内容:参加者、観光客、松江市民、島根県民が、遊んで学べる歴史プログラムを展開
1.城攻めを体験:大手門破り・行天橋石垣登り・戦国アドベンチャーツアー「選抜斥候隊」・白兵戦・弓打ち体験・石落とし体験
2.松江城を知る:堀川遊覧船ツアー・天守閣記念撮影
3.歴史を見る学ぶ
[ステージイベント] 戦国お城トークショーほか
[出展ブース] 甲冑作り体験・戦国にまつわるゲームコーナー・物産展・飲食ブースほか
4.城下町を探訪する:甲冑仮装ウォークラリー・商店街特割ショッピング・お茶会/和菓子作り
※イベントの内容は一部変更になる場合がございます。

参加料 1DAYパス(イベント参加者):大人(中学生以上)5,000円、小学生 3,500円(税込)
主催:ディー・エル・イー、松江市
共催:島根県、山陰中央テレビジョン放送
協力:松江武者応援隊、NPO法人松江ツーリズム研究会、松江商工会議所、松江旅館ホテル組合、他
※収益の一部は松江市と協議し、全国のお城を守る団体や協会等へ寄付致します。

 
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