一糸乱れぬハイスピードダンスから目が離せない! 梅棒『超ピカイチ!』定時制ver.レポート

レポート
舞台
2018.12.24
 (C)飯野高拓  赤坂久美

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高いダンススキルと中二男子臭満載のコメディーで笑わせるエンターテインメント集団「梅棒」の9回目の公演『超ピカイチ!』が2018年12月15日(土)から東京・東京グローブ座にて上演中だ。初日から5日経った12月20日(木)、本作の<定時制ver.>を観劇した。その模様をレポートする。

本作は、昨年上演した学園コメディー『ピカイチ!』を進化させたもの。公演内容は、<全日制ver.>と<定時制ver.>の2パターンがあり、出演者の半数以上が配役をシャッフルしてもう一方に登場する。

とある学園を舞台にした青春コメディー。ある日、学園に転校生がやってきた。成績優秀でビジュアルレベルも高い転校生の登場により、学園が揺れ始める。折しも次の生徒会長を決めるために候補者を募っている最中で、最初は乗り気でなかった生徒たちだったが、学園のヒロインの「私物」が手に入るかもしれない!? ということで、やおら候補者が乱立する。前述の転校生も、そしてヒロインとちょっといい雰囲気になりかけている男子もその嵐に自ら巻き込まれていく――。

(C)飯野高拓  赤坂久美

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と、ざっくりとあらすじを記したが、初めて梅棒と接する人は、この内容を説明する「台詞」がほぼ存在しない事にまずは驚くだろう。梅棒の舞台は次々と流れる音楽の歌詞や世界観と、ダンスやジェスチャーといった身体表現を用いてストーリーを構築していく。例えばある場面のシチュエーションや、登場人物の心情に当てはまるJ-POPをはめ込み、その楽曲に合わせてジャズダンスやブレイクダンスなどで表現していくのだ。冒頭、教頭役の梅澤裕介が前説のように普通に観客に向けて話してはいるが、その後、本編が始まると早速台詞なしのダンスが始まる。この台詞がない状態が最後まで続いていくのに、ストーリーはしっかり観客に伝わる。ネタバレなので曲名などは書けないが、選曲と演出のセンスに何度も感心させられた。

(C)飯野高拓  赤坂久美

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また彼らが魅せるダンスだが、こんなにクオリティの高いダンスを久しく観ていないかも、と記憶を遡りたくなった。誰かが飛びぬけてうまい、というのではなく、全員が飛びぬけてうまい人たちなのだ。また、ソロで、数名で、そしてほぼ全員で踊る場合であっても彼らは一糸乱れず、強烈な速さで踊り続けている。彼らの周りだけ地球の重力がおかしくなっているのかもしれない。また、何をどうしたらそんなにピッタリと動きを揃えて踊る事ができるのだろう。観る側はもはや瞬きも、呼吸も忘れてしまうくらい食い入るように彼らを見つめ、ダンスが終わると堰を切るように拍手と歓声。時には指笛も聞こえていた。
そしてダンスと共に、随所に「笑い」が混ざってくるのも梅棒の魅力。物語の展開で笑い、登場人物のキャラクターの濃さで笑い、動きのおもしろさで笑い、ここでその楽曲を当ててきたか! というお約束もしくは予想外の笑いなど、その種類は様々。客席からは笑い声が何度も上がり、そのボリュームは後半になればなるほど高まっていった。

(C)飯野高拓  赤坂久美

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<定時制ver.>でこれだけ興奮してしまうとやはり<全日制ver.>も観たくなってしまうのが世の常というもの。公演終了後、会場内のリピーター販売デスクには「全日制ver.も観てみたい」「もう一度定時制ver.が観たい」と多くの観客が列をなしていたのが印象的だった。

(C)飯野高拓  赤坂久美

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是非このような極上のステージをより多くの方に観ていただき、「梅棒」という名前を覚え、その魅力に触れて欲しいと願うばかりだ。

取材・文=こむらさき

公演情報

梅棒 9th “RE”ATTACK『超ピカイチ!』
 
■作・総合演出:伊藤今人(梅棒)
■出演:
梅澤裕介/鶴野輝一/遠山晶司/遠藤誠/塩野拓矢/櫻井竜彦/楢木和也/天野一輝/野田裕貴[以上、梅棒]
千葉涼平[w-inds.]/納谷健[劇団Patch]/YOU/RYO[Beat Buddy Boi]/suzuyaka[Red Print]/一色洋平/MOMOCA[LUCIFER]
 
○大野愛友佳/○パイレーツオブマチョビアン/○YOH[KEMURI]/○魚地菜緒
●高見奈央/●上西隆史[AIRFOOTWORKS/ex. WORLD ORDER]/●マルコ[NEO-Geisha]/●雷太
 
○…全日制ver.のみ出演 ●…定時制ver.のみ出演
印のついていないキャストは全日制ver.と定時制ver.の両方に出演
 
■日程・会場:
<東京公演>2018年12月15日~12月29日 東京グローブ座
<大阪公演>2019年1月5日~1月6日 森ノ宮ピロティホール
<愛知公演>2019年1月9日~1月10日 名古屋市青少年文化センター・アートピア
 
料金(全席指定・税込):
SS席:8,800円(前方・センターブロック/各回席数限定)
S席:7,300円
A席:6,300円(東京公演のみ)
サービスエリア:3,000円
※未就学児入場不可
※サービスエリアは一部ステージや演出が見えづらいお席になる場合があることを予めご了承ください
 
に関するお問い合わせ:
<東京>スペース:03-3234-9999 (月~土/10:00~12:00・13:00~18:00)
<大阪>キョードーインフォメーション:0570-200-888 (全日/10:00~18:00)
<愛知>サンデーフォークプロモーション:052-320-9100 (全日/10:00~18:00)
 
【公演特設サイト】
http://umebou.daa.jp/9th_superpikaichi/
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