インディーズゲームのススメ第10回 ローグライクと音ゲーを融合した異色作「Crypt of the NecroDancer」

コラム
アニメ/ゲーム
2015.11.7
 ©Brace Yourself Games

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プレイした人も見ている人も楽しいゲーム

 個人的に面白く感じたインディーズゲームを紹介する「インディーズゲームのススメ」。第10回に紹介するのはBrace Yourself Gamesの制作するハードコアローグライクリズムゲーム「Crypt of the NecroDancer」です。本作は2014年7月30日より早期アクセスゲームとしてsteamで配信され、2015年4月23日に完全版が配信。つい最近まで日本語対応していなかったものの、先月10月4日についに日本語対応されました。文字が読めなくても体感でプレイできるゲームシステムなため、対応なしでもなんとかなるものの、ムービー付きのストーリーイベントも一部あるためありがたいです。また、配信日は未定ですが、スパイクチュンソフトによるPS4/PSVITAでの配信も決定しています。スパイクチュンソフトはこれ以前にも「ホットライン マイアミ」というこれまた良作な作品も移植してくれている、インディーズゲーム好きには大変ありがたい会社です。今後も色々な作品の移植をしてほしい次第です。

 少し話が逸れましたが、聞き慣れないジャンルの本作を簡単に言うと、「風来のシレン」のような不思議のダンジョンシリーズで有名なローグライクゲームと、「ビートマニア」や「太鼓の達人」といった主にゲームセンターで遊べる音ゲーを組み合わせた作品です。それぞれのジャンルの良い所をうまく混ぜあわせた結果、全く新しい独特な魅力を醸しだした作品に仕上がっています。

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 筆者がこのゲームを初めて見たのは、早期アクセスより遡ること1年前の2013年のゲームショウです。ここで開かれたステージイベント「インディーズゲームフェス2013」にて実況プレイヤーのM.S.S Projectさんがプレイしており、そこでは会場が一体となってリズムにのって盛り上がっていました。実況者さんの盛り上げ方の上手さもありましたが、そのゲームの持つ独特な魅力と、一人用ゲームでありながら皆が一体となって盛り上がることの出来るゲームシステムに可能性を感じていました。今回のコラムではそんな本作の魅力をお伝えします。

プレイしての気持ちよさと、快適なプレイ感

 本作はランダムに生成されるダンジョンを、自分と敵が交互に行動するローグライク系ゲームのルールにのっとって攻略します。では、どの点が音ゲー要素なのかというと、1ターンを1ビートと捉えて、1・2・3・4のリズムに乗ってテンポよく行動することにあります。リズムよく行動するためには、一瞬で状況を判断しなければなりません。なので、慣れるまでは難しく感じるかもしれませんが、本作の操作は十字キーのみで、敵や障害物に向かって移動すると攻撃、それ以外は移動と非常に単純な作りになっています。なので、慣れるまでにはそんなに時間はかかりません。

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 本作の最大の魅力は、プレイすることの快感さにあります。BGMにあわせてテンポよく移動、そして敵を撃破するのは思った以上に気持ちがよく、つい体を動かしたくなります。まあ油断しているとそのテンポよく敵を撃破するのと同じ速度で相手に瞬殺されるわけですが、それも含めて本作の醍醐味と言えるでしょう。また、流れるBGMそのものもかなり良質なものが多く、ついつい口ずさみたくなります。ダンジョン内にはショップがあるのですが、そこの店員さんがものすごいいい声で流れる音楽を熱唱するのも盛り上がり要素ですね。あんまりいい声なので、思わずショップから出たくなくなるまであります。その良質な音楽のリズムに乗ってダンジョンを踏破するのは、敵を撃破する音などを楽器に一つの音楽を奏でるような、そんなプレイ感です。

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ちなみに、本作はカスタムサウンドにも対応しているので、自分の好きな曲のリズムに乗ってダンジョンを攻略することもできます。BGMが変わればリズムが変わり、同じダンジョンでもかなりプレイ感が変わります。なので、慣れてきたらあえてBGMを変えてみると新鮮な気持ちで楽しめることでしょう。

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 その他にも、ドット絵風のアニメーションで描かれたストーリーや、プレイ中にダンジョン内に捕まっている味方を助けることでプレイヤーキャラが増えるなど、徐々に遊び方が増えていくなど、慣れてくるのと同時にやれることが増える仕組みで、プレイヤーに分かりやすくかつ飽きがこないようになっているのが嬉しいです。

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ほどよく苦労する難易度と、再プレイが苦にならない快適さ

 本作は上記の特殊なシステムと、敵と自分ともにライフがそこまで高くなく、ワンミスで即死することから、難易度は結構高めです。ですが、敵の動きのパターンが決まっているため、何度もプレイして動きを見抜くことで無傷でダンジョンを攻略することもできます。そういう意味では、シューティングゲームや高難易度のアクションゲームのような、新で覚える覚え系ゲームのような雰囲気もあります。ですが、本作はテンポが非常に良く、突然ゲームオーバーになったとしてもすぐに元の場所まで復帰できるため、やり直しが全然苦になりません。その他にも、ダンジョン生成がランダムであることと、上記のBGM変更によるリズムの変更などで、常に新しい展開が待っています。

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 そんな感じで、常に新鮮なダンジョンをその場のアイテムやひらめきを駆使して生き残るローグライクと、リズムに乗って演奏する音ゲーの魅力を見事に一つに融合した作品です。少しの時間を使った気分転換には最適のゲームですので、一風変わったゲームを求めていたり、気軽に手強いゲームをやりたいという、ある種矛盾した欲求を持つ人にオススメです。

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