【新連載】ワッツ・オン・ブロードウェイ?<2019年1月編>~B'wayミュージカルガイド vol.1
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徒歩圏内に無数の劇場がひしめくブロードウェイ
昨今、じわじわ熱くなりつつある日本ミュージカル界。テレビでも人気のミュージカル俳優をきっかけにこの世界(沼)に足を踏み入れた新規ファンの皆さんにとっては、まずは彼らが出演する日本の舞台を観るのが先決で、ブロードウェイなんて遠い世界の話かもしれない。だがミュージカルを好きになったのなら、やはり一度は本場ブロードウェイを訪れてみることをオススメする。
それにはさまざまな理由があるのだが、“究極のWキャストが楽しめる”というのは間違いなくそのひとつ。日本で大成功を収めているミュージカルの多くはブロードウェイ発(もしくは経由)であり、日本で観てから向こうで観れば、英語が分からなくても内容が分かる上に日米キャストの表現の違いを楽しむことができ、逆に日本上陸前に向こうで観れば、「いずれ日本に来た暁には誰が……」という妄想キャスティングを楽しめるというわけだ。
筆者のなかでここ数年最も日本版妄想が熱い『ハミルトン』
前置きが長くなったが、そんなわけで、ブロードウェイのミュージカル情報を定期的にお届けする連載コラムを始めてみたい。初回の今回は、ちょうど1月は新作の開幕がないこともあり、まずは2019年1月現在上演中のミュージカルを総ざらい。今シーズンの(=昨年2018年6月のトニー賞以降に開幕した)作品を「新作」、それ以前から上演中の作品を「ロングラン作品」としてひとことコメント付きで紹介する。
現在ブロードウェイで最長ロングラン記録を更新中の『オペラ座の怪人』
なお、筆者は思いっきり日本在住であり、ブロードウェイを訪れるのは年に一度ほど。よって、未見の新作については作品の各公式サイト、毎週公開されるグロス表やネット掲載の劇評などに基づいた客観的な、観たことのあるロングラン作品については独断と偏見込の主観的なコメントになっていることを予めご承知おきいただきたい。
【新作】
『The Cher Show』
米歌手シェールの半生を彼女自身の楽曲で綴る系。劇評も入場率もイマイチの様子。
https://thechershowbroadway.com/
【動画】『The Cher Show』公式チャンネルより
『King Kong』
あの、キングコング。やはり気になるので続いてほしいが劇評を見る限り厳しいか。
https://kingkongbroadway.com/
【動画】『キングコング』公式チャンネルより
『プリティ・ウーマン』
あの、プリティ・ウーマン。映画版「レミゼ」エポニーヌ役のBWデビュー作。同上。
https://prettywomanthemusical.com/
【動画】『プリティ・ウーマン』公式チャンネルより
『The Prom』
スタッフ陣は盤石だし各紙絶賛なのに入りはイマイチ。やはり映画原作もの強しか。
https://theprommusical.com/
【動画】『The Prom』公式チャンネルより
【ロングラン作品】
■日本で既に上演された/されている作品
『アラジン』
ディズニーアニメが舞台ならではの手法で表現された秀作。魔法の絨毯もスゴイ。
https://www.aladdinthemusical.com/
『ビューティフル』
キャロル・キングの半生を彼女自身の楽曲で綴る系。ロングラン5年目、そろそろ下火か。
https://beautifulonbroadway.com/
『シカゴ』
オペラ座の怪人に次ぐロングラン記録を更新中の名物作。出来は割とキャスト次第。
https://chicagothemusical.com/
『キンキーブーツ』
6年間のロングランの末、今年4月に閉幕予定。日本版(4月再演)と観比べたいなら急げ!
https://kinkybootsthemusical.com/
『ライオンキング』
開幕から20年以上経つというのに、未だ入場率がほぼ毎週100%を超える大ヒット作。
https://www.lionking.com/
『マイ・フェア・レディ』
1956年初演の名作を、渡辺謙の『王様と私』を手がけた演出家がリバイバル。上質。
http://www.myfairladybway.com/
【動画】『マイ・フェア・レディ』公式チャンネルより
『オペラ座の怪人』
言わずと知れた世界的メガヒット作。圧倒的な知名度ゆえ、劇場では日本人に遭遇しがち。
http://www.thephantomoftheopera.com/
『ウィキッド』
開幕から15年が経ち、ようやく
https://wickedthemusical.com/
【動画】『ウィキッド』公式チャンネルより
■日本未上演の作品
『アナスタシア』
同名アニメ映画の舞台化。深みに欠けるが映像表現は一見の価値アリ。
https://anastasiathemusical.com/
『バンズ・ヴィジット』
同名映画(邦題「迷子の警察音楽隊」)を舞台化した、2018年のトニー賞受賞作。
https://thebandsvisitmusical.com/
【動画】『バンズ・ヴィジット』公式チャンネルより
『ブック・オブ・モルモン』
日本では永遠に上演されなさそうだが超絶面白い。モルモン教だけwikiで調べて観るべし。
https://bookofmormonbroadway.com/
『カム・フロム・アウェイ』
「911」の日、カナダの小さな町に起こった実話をシンプルだが力強い演出で描く感動作。
https://comefromaway.com/
『ディア・エヴァン・ハンセン』
深遠なテーマをスタイリッシュに描く、2017年のトニー賞受賞作。絶対日本でやると思う。
https://dearevanhansen.com/
『アナと雪の女王』
舞台ならではの表現が見当たらない残念作だが、満足感は保証する。生レリゴー最高。
https://frozenthemusical.com/
【動画】『アナと雪の女王』公式チャンネルより
『ハミルトン』
開幕4年目にして未だ超入手困難なモンスター級ヒット作。文句なしに革新的。観るべし。
https://hamiltonmusical.com/
『ミーン・ガールズ』
同名映画の舞台化。なぜか人気。アメリカ的なノリについていける自信があればどうぞ。
https://meangirlsonbroadway.com/
【動画】『ミーン・ガールズ』公式チャンネルより
『スクール・オブ・ロック』
同名映画の舞台化。かなり楽しいので日本での上演が待たれるが、子役の発掘育成が難関か。
https://schoolofrockthemusical.com/
『ウェイトレス』
同名映画の舞台化。完全に女子向け。期間限定で作詞作曲のサラ・バレリスが主演中。
https://waitressthemusical.com
【1月のミュージカルイベント】
最後に、もし本当に訪れるならこんなイベントも要チェック、という情報も少し。ブロードウェイでは無料の野外コンサートやフリーマーケットなどのミュージカル関連イベントが毎月のように開催されており、1月ならば個人的なオススメは「BroadwayCon」だ。結構な入場料を取られるが、人気作のキャストやクリエイターによる創作秘話が聞けたり、一緒に写真を撮ってもらえたりもする。詳細は第1回のレポートをご参照いただきつつ、2019年で4回目となる現在は色々と変わっているかもしれないため今年の公式サイトも覗いていただきつつ、興味を持ったらぜひ訪れてアメリカのオタクたちに紛れてみてほしい。
「broadwaycon.com」トップページのスクリーンショット
文=町田麻子