『クマのプーさん展』が大阪・あべのハルカス美術館で開催 貴重な原画や資料から、魔法の森の物語をひもとく
「ながいあいだ、三人はだまって、下を流れてゆく川をながめていました」、 『プー横丁にたった家』第6章、E.H.シェパード、鉛筆画、1928年、 ジェームス・デュボース・コレクション (C) The Shepard Trust
2019年4月14日(日)まで、東京・渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで開催中の『クマのプーさん展』。大阪展が、4月27日(土)~6月30日(日)まで、あべのハルカス美術館で開催される。
食いしん坊でおっちょこちょい、いまでは誰もが知る世界一有名なクマ「プーさん」は、1926年にイギリスで生まれた。物語を書いたA.A.ミルンと、イラストを描いたE.H.シェパード。ふたりの共作によって生まれた機知とユーモアあふれる世界は、いまも世界中の人々を魅了し続けている。シェパードが鉛筆で描いたプーさんの原画を世界最大規模で所蔵するイギリスのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)から2019年、『クマのプーさん展』が、日本にやってきた。「クマのプーさん」がどのように生まれ、愛されてきたのか。魔法の森の物語をひもといていこう。
見どころ1:V&Aによる決定版の「クマのプーさん展」、待望の日本開催
「バタン・バタン、バタン・バタン、頭を階段にぶつけながら、クマくんが二階からおりてきます」、 『クマのプーさん』第1章、E.H.シェパード、鉛筆画、1926年、V&A所蔵 (C) The Shepard Trust
1973年、「クマのプーさん」の作者のひとりであるE.H. シェパードが、270点以上にもおよぶ原画や資料をV&Aに寄贈した。本展は、この貴重なコレクションを中心にして企画された初めての『クマのプーさん展』であり、シェパードの鉛筆素描画をはじめとする作品200点以上で構成されている。母国イギリス(ロンドン)とアメリカ(アトランタ、ボストン)を巡回し、2019年、ついに日本で開催となった。
見どころ2:「クマのプーさん」誕生秘話を貴重な資料で
「枝には、ハチミツのつぼが10ならんでいて、そのまんなかに、プーが…」、『クマのプーさん』第9章、 E.H.シェパード、ラインブロックプリント・手彩色、1970年 英国エグモント社所蔵 (C) E.H. Shepard colouring 1970 and 1973 (C) Ernest H. Shepard and Egmont UK Limited
シェパードは原画とともに、貴重な制作資料や写真、手紙などもV&Aに寄贈した。ミルンとシェパードは、どのように世界中で愛される「クマのプーさん」を生み出したのか。そこには、ふたりとその家族の物語があった。貴重な資料で、プーさん誕生の秘密に迫る。
見どころ3:プーさんの冒険の名場面をぬくもりあふれる鉛筆画やペン画で
「プーとコブタが、狩りに出て…」、『クマのプーさん』第3章、E.H.シェパード、ペン画、1926年、 クライブ&アリソン・ビーチャム・コレクション (C) The Shepard Trust
ミルンの言葉と、シェパードの絵が響き合って生まれた名作『クマのプーさん』(1926)と『プー横丁にたった家』(1928)。世界中を魅了する「クマのプーさん」の世界の原点は、全20編の短編からなるこの2冊の児童文学だ。この物語の中でプーさんたちが暮らす「百町森(100エーカーの森)」は、ロンドン郊外にいまもある「アッシュダウンの森」がモデルとなっている。この森を舞台に繰り広げられる冒険の数々の名場面を、シェパード直筆の原画で紹介する。
見どころ4:アートとしての「クマのプーさん」
「ハチのやつ、なにか、うたぐってるようですよ」、『クマのプーさん』第1章、 E.H.シェパード、鉛筆画、1926年、V&A所蔵 (C) The Shepard Trust
最終的に本として印刷されるにあたっては、言葉と絵がどのように配置されるかというページレイアウトにもこだわったふたり。シリーズの初版本から、独創的で遊び心に満ちた画面で読者を魅了した。1926年に出版されて以降、50以上の言語に翻訳され、全世界で5,000万部以上のシリーズ本が出版されている「クマのプーさん」。展覧会では、今まで気がつかなかったその魅力の奥深さをアートの視点からもひもといていく。
A.A.ミルン、クリストファー・ロビン・ミルンおよびプー・ベア、ハワード・コスター撮影、1926年 (C) National Portrait Gallery, London.