若き天才ピアニスト・反田恭平、再登場!第三回“サンデー・ブランチ・クラシック”11.8ライブレポート

レポート
2015.11.22
反田恭平 (撮影:平田貴章)

反田恭平 (撮影:平田貴章)

2015年11月8日(日)、東京・渋谷はLIVING ROOM CAFE(リビングルームカフェ)by eplusで開催された「サンデー・ブランチ・クラシック」に、若き天才ピアニストとして注目を集める反田恭平が登場した。

「サンデー・ブランチ・クラシック」とは“アーティストの邸宅にゲストを招待する”というコンセプトで、9月にスタートした企画。この企画は、反田が店舗の雰囲気を気に入ったことをきっかけに始まったという。現在ロシアに留学中の反田だが、帰国の機会に合わせ、急遽同イベントに再登場となった。日曜日の午後のひととき、おしゃれなカフェで行われたライブの模様をレポートしよう。

定刻の午後1時になると、長い髪を後ろでひとつに束ねた黒スーツ姿の反田が登場。会場を見渡し丁寧に一礼するその姿は、爽やかな21歳の青年だったが、ピアノの前に座った瞬間、まとう空気が一変した。1曲目のプログラムは、モーツァルト作曲・ピアノソナタ第11番第3楽章『トルコ行進曲』。特徴的なメロディゆえに、子どもから大人まで誰しも耳にしたことがあるだろう超有名ナンバー。緩急を自在に操り、盛り上がりどころではアップライトでこんなにも響くのかと思うほど音が鳴る。心躍るタッチは、カフェに集う人々の心を一気にぐっと引き寄せた。

曲を終え、改めて会場を見渡し挨拶をした反田は「前回よりも人口密度が高いですね・・・ありがとうございます」と、はにかんだ。今回のライブは「自身の想い出の曲、そして、子どもも楽しめる曲」というテーマで選曲してきたという。1曲目にモーツァルトの曲を選んだことついては「子どもの頃から、ちょっと次元が違うぐらい大好きな作曲家です。会えないけれど、会いたかった人」を語った。

反田恭平 (撮影:平田貴章)

反田恭平 (撮影:平田貴章)

2曲目に選んだのは、リスト作曲の『リゴレット・パラフレーズ』。反田といえば、2015年7月に発売した自身初のCDのタイトルにも『リスト』と名付けるほどの“リストマニア”(!)だ。14歳で初めて弾いた時「(リストの曲は)どう弾いたらお客さんが喜んでくれるか、様々な工夫が譜面の中にされていることを気づかせてくれた」と明かした。『リゴレット・パラフレーズ』は優雅な曲調だが、低音から高音まで一気にオクターブで駆け抜けるようなメロディは、耳の奥で激しいきらめきを感じさせる。その激しさを物語るように、反田の額には汗が光った。

「僕はプログラムの順番を覚えるのがすごく苦手で、カンペが欲しいんですけど・・・」と会場を笑わせながら、次に反田が紹介したのは、シャブリエ作曲『スケルツォ・ワルツ』(『10の絵画風小品集』より)。この曲を初めて弾いたのは14歳の時だったそう。シャブリエの故郷・フランスの匂いが感じられるようなかわいらしく軽快な曲調で、実に楽しそうに音が跳ねる。午後3時からの第2部では一部プログラムの変更を加えて、12歳の時に桐朋学園の入試で弾いたというグリーグ作曲『トロルドハロゲンの婚礼の日』も聴かせてくれた。

反田恭平 (撮影:平田貴章)

反田恭平 (撮影:平田貴章)

4曲目には、ロシア出身の作曲家・スクリャービン作曲の『幻想曲 ロ短調(ファンタジー)』を選曲。スクリャービンの生家は現在美術館であるという話など、2年前から留学しているロシアでの出来事を交えて、曲を聴きながら情景をイメージがしやすいような紹介してくれた。ふと客席を見ると、反田の後ろ姿を食い入るように見つめながら、音楽に合わせ一所懸命に指を動かす幼い男の子の姿が目に入った。開かれたカフェというスペースだからこその光景であり、反田の想いが心に響いている証を思わせた。

ラストは、ロシアで観たボリショイ・バレエの想い出とともに、チャイコフスキー作『四羽の白鳥の踊り』(『白鳥の湖』より)を披露。反田のピアノで店内の雰囲気は鮮やかに色づき、拍手が沸き上がった。終演後には、一緒に写真を撮ったり、CDにサインをしたりと、ファンとの交流も行われる。その様子や、曲の合間のトークなどから醸し出される反田の気さくな雰囲気は、クラシックに新しい出会いをもたらしてくれる予感がした。

CDにサインする反田恭平 (撮影:平田貴章)

CDにサインする反田恭平 (撮影:平田貴章)

会場内を見渡せば、無類のクラシック通で反田の大ファンだという華道家・假屋崎省吾の姿を発見。假屋崎は、この日の演奏について「迫真に満ちていて素晴らしかった! 私はスクリャービンが大好きなんですけど、反田さんの演奏は、まるでスクリャービンが乗り移っているかのよう。それでいて、すごくロマンティシズムに溢れているんですよね。あの音は、誰にも表現できるものではないと思います」と目を輝かせて語った。自身の個展も、反田のデビューCDを聴きながら構想したという假屋崎、「いい作品ができたのは、反田さんのおかげですね」と笑いつつ、「類まれなる才能、これは唯一無二のものだと思いますよ」と称賛を惜しまなかった。

演奏を終えた直後、反田からも話を聞くことができた。

「2回目に早くも呼んで頂けたことが嬉しい。こうやって弾かせて頂ける機会があるというのは、奏者にとって貴重な場なので全力を尽くさせて頂きました」

彼は、2016年1月23日(土)に東京・サントリーホールでのデビュー・リサイタルを控えている。大舞台に向けては「デビュー・リサイタルって、生涯記憶に残るものだと思っています。その場を皆さんと共有できたらと。プログラムも工夫しておもしろいものを揃えましたので、足を運んで頂けたら本当に嬉しいです」と意気込む。隣なりに坐る假屋崎も「これからもっといろんなものに触れて、素晴らしい芸術家になって頂きたいなと。一生“追っかけ”を続けさせて頂きたいなと思います」と熱いエールを送った。

反田恭平、假屋崎省吾 (撮影:平田貴章)

反田恭平、假屋崎省吾 (撮影:平田貴章)

次回、サンデー・ブランチ・クラシックは、2015年11月29日(日)にクラシック・ギターの村治奏一によるライブが行われることが決まった。同じくクラシックギターの松田弦をゲストに迎えて聴かせる、あっという間の30分。なんでもない日曜日が、記憶に残る日曜日となる。クラシック好きな方はもちろん、クラシック音楽の演奏を生で聞いたことがないという方も、足を運んでみてはいかがだろうか。ラフな雰囲気の中で食事を楽しみながら、気軽にクラシックに触れられるこの企画を是非チェックしてみてほしい。

文/友成礼子

公演データ
「サンデー・ブランチ・クラシック」vol.3 
■日時:11月8日(日)
会場:「LIVING ROOM CAFE by eplus」
出演:反田恭平(ピアノ)
▶第1部13:00~、第2部15:00~

反田恭平
2012年第81回日本音楽コンクールで第1位(高校生での優勝は11年ぶり、併せて聴衆賞を受賞)。14年チャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院に首席(日本人初の最高得点)で入学。現在、モスクワ音楽院とあわせて桐朋学園ソリストデュプロマコースに在籍。リサイタルはもちろん、国内外でのオーケストラとの共演、室内楽等いずれも聴衆の大喝采を浴び、各方面から注目を集めている期待の新人。2015年7月にはCDデビュー、2016年1月23日(土)には、東京・サントリーホールでデビュー・リサイタルを控えている。
http://soritakyohei.club/
 
次回公演情報
「サンデー・ブランチ・クラシック」 vol.4
■公式HP:http://livingroomcafe.jp/
■日時:11月29日(日)
▶第1部13:00~13:30、第2部15:00~15:30

■出演:村治奏一(Gt), 松田弦(Gt)​
予定曲目:
スタンリー・マイヤーズ:カヴァティーナ
アントニオ・カルロス・ジョビン:フェリシダーヂ
谷川公子:一億の祈り(映画『火垂るの墓』より)
フランシス・クレンジャンス:バカンスの為の小品
パウロ・ベリナティ:ジョンゴ


■村治奏一さんメッセージ
「今回はカヴァティーナやフェリシダーヂといった映画 音楽の名曲に加え、同世代のギタリスト松田弦君をお迎えして、2台のギターが織り成す繊細なプログラムをご用意致しました。クラシックギターならではの癒やしの響きをご堪能いただければ幸いです。」


■松田弦さんメッセージ
「 ドレッドですが、一音入魂で美しい音を追求してる僕と、ギターの新しい可能性を追求しながらも安定感抜群な奏ちゃんとの初共演がどうなるか楽しみです。」


※ライブエリア着席の場合、飲食代の他にミュージックチャージ 一人につき500円(チップ制)。
※演奏中の食事・会話可。
※小児入場可。
※当イベントの予約受付なし。
※座席の混雑状況によっては、ステージの見えづらい席に案内されたり、相席となる可能性あり。
※満席に達した後、入店できなくなる場合もあり。

■プロフィール
村治奏一/Soichi Muraji (クラシック・ギター)
1997年クラシカル・ギター・コンクール、98年スペイン・ギター音楽コンクール、第41回東京国際ギター・コンクールに続けて優勝。2003年米国ボストン近郊の総合芸術高校音楽科を首席で卒業、同時期にビクター・エンタテインメントよりリリースしたデビューアルバム『シャコンヌ』がレコード芸術誌の特選盤に選ばれる。14年には初のギター協奏曲アルバム『コラージュ・デ・アランフェス』(平成26年度文化庁芸術祭参加作品)をキングレコードよりリリース。12年、「トヨタ・クラシックス・アジアツアー2012」のソリストとして抜擢され、ウィーン室内管弦楽団と共にアジア5カ国でのコンサートツアーを成功させた。13年、S&R財団ワシントン・アワードを受賞。15年春にはNHK交響楽団と<アランフェス協奏曲>を共演、好評を博した。http://www.officemuraji.com/soichimuraji/

松田弦/Gen Matsuda (クラシック・ギター)
高知県立岡豊高校音楽コースギター専攻科卒。早稲田大学教育学部卒。2009年第52回東京国際ギターコンクール第1位、第9回アジア国際ギターコンクール(バンコク)第1位をはじめ、国内外7つのコンクールで第1位受賞。2013年アントニー国際ギターコンクール(フランス)優勝、あわせて課題曲賞、聴衆賞。2009年初CD「GENIUS」。2013年「弦想~Gen-Soul~」、2014年『esperanza』(キングレコード)がの2枚が続けてレコード芸術誌にて特選盤となる。松居孝行、村治昇、新井伴典の各氏に師事。2011年より2年間、ストラスブール音楽院にてアレクシス・ムズラキス、今村泰典両氏に師事。ウィーン在住。http://www.matsuda-gen.com
 
次々回公演情報
「サンデー・ブランチ・クラシック」 vol.5
©平田貴章
■公式HP:http://livingroomcafe.jp/
■日時:12月06日(日)
▶第1部13:00~13:30、第2部15:00~15:30

■出演:新倉 瞳(チェロ)​
予定曲目:
エルガー:チェロ協奏曲より 第1,2楽章
ブルッフ:コルニドライ ほか


※ライブエリア着席の場合、飲食代の他にミュージックチャージ 一人につき500円(チップ制)。
※演奏中の食事・会話可。
※小児入場可。
※当イベントの予約受付なし。
※座席の混雑状況によっては、ステージの見えづらい席に案内されたり、相席となる可能性あり。
※満席に達した後、入店できなくなる場合もあり。


■プロフィール
新倉 瞳/Hitomi Niikura(チェロ)
8歳よりチェロを始める。当時ドイツにて、ヤン・ヴィミスリッキー氏に師事。11歳で帰国後、毛利伯郎氏に師事。桐朋学園大学音楽学部を首席で卒業、卒業時には皇居桃華楽堂新人演奏会に出演。桐朋学園大学在学中の2006年にはCDデビューし、2009年には森下仁丹ビフィーナのCMキャラクターにも抜擢された。2010年よりスイスに留学し、バーゼル音楽院にてトーマス・デメンガ氏に師事。2015年には、ポルトガル/リスボンで開催された『Internacional Verão Clássico 2015』チェロ部門にて第1位受賞。また、カメラータ・チューリッヒのソロ首席チェリストに就任、室内楽奏者としての活躍も目覚ましい。今、一番目が離せない若手女流チェリストである。名器特別貸与者として、日本ヴァイオリンよりC.F.Landolfiを貸与されている。

http://www.hitominiikura.com
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