樋口あゆ子(ピアノ)

インタビュー
2015.11.18
樋口あゆ子

樋口あゆ子

私を支えてくれた多くの方々に感謝を込めて

 今年、日本デビュー20周年を迎えるピアニストの樋口あゆ子。ライフワークとして社会的意義の大きなプロジェクトに携わりながら、精力的に演奏活動を続けてきた。
「まずは作品に向き合って研究し、それをステージで発表することにより、人と人とをつなぐ。私にとって演奏活動とはそういうものです」

 長崎への原爆投下から25年後の8月9日生まれであることから毎年同日に行う「平和祈念コンサート」も、今年で13回目。2004年からはベトナムの枯葉剤二次・三次被害児向けのふれあいコンサートを実施するなど、その活動は多彩だ。2年前に創設された日本ベトナム・ピアノフェスティバルでは音楽監督を務める。
「第1回では、日本3ヵ所、ベトナム4ヵ所でツアーを行いました。ベトナムでは、ハノイ音楽院やベトナムの若者が普段食事をしている屋台を訪れるなど、長時間行動を共にしたことで、表面的でない交流が実現できたと思います。両国の若いピアニストが友情を育む様子を目の当たりにして、感慨深かったです」

 今年11月に東京、横浜、宮城で行う第2回フェスでも、日越の若手による協奏曲の2台ピアノ演奏や、樋口自身の演奏、そして両国の“食”を楽しむレセプションが予定されている。
 そして年明けの1月には、自身のデビュー20周年記念リサイタルを開催する。
「節目ということで、心から敬愛する3人の作曲家を取り上げます。冒頭のショパンのピアノ協奏曲第1番第2楽章のピアノ編曲版は、自宅にお客様をお招きする演奏会で必ず演奏する曲。これで心を開いていただいてから、スケルツォやバラード、そしてリストの作品によるドラマティックな世界に誘いたいと思います。第2部では、私にとって夢中にならずにいられない存在であるラフマニノフを演奏します。特にソナタ第2番は、弾くほどにユーラシア大陸の情景が目に浮かび、自分の東洋系の遺伝子と化学反応が起きるような気がするのです」

 東京公演では、タカギクラヴィア所有の、ラフマニノフがカーネギーホールで弾いたスタインウェイCD368(1912年製)を使用する。
「同社が所有するホロヴィッツのCD75を聴いたことのある方もいらっしゃると思いますが、CD368のほうは、より音のバランスが良く、幅広いレパートリーに合わせて万華鏡のように変化します。今回はそんな特別なピアノを弾くのだからと、重量級のプログラムを用意しました。料理で例えるなら、目の前でシェフが料理する鉄板焼きフルコースのような…タラバガニや野菜焼きなどがあり、メインはバランスよく脂ののったステーキといったところでしょうか(笑)。多くの方の支えがあってここまでこられたという感謝を込めてお届けしたいです」

 ピアニストとして歩んできた20年。その集大成を、特別なピアノとともに披露する。

取材・文:高坂はる香
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年9月号から)

第2回 日本ベトナム・ピアノフェスティバル
11/25(水)19:00 カワイ表参道パウゼ、
11/28(土)14:00 磯子区民文化センター杉田劇場、他東北での公演あり
問:アコールヴィブレ03-6909-0401

樋口あゆ子日本楽壇デビュー20周年記念ピアノリサイタル
2016.1/17(日)浜離宮朝日ホール(タカギクラヴィア03-3770-9611)
2016.1/24(日)ヒビキミュージックサロンリーブス(06-6363-3060)
2016.2/29(月)宗次ホール(052-265-1718)

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