舞台『空ばかり見ていた』まもなく開幕~森田剛「岩松了さんの言葉を信じてやるべきことをするだけ」

レポート
舞台
2019.3.9

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2019年3月9日(土)から東京・Bunkamuraシアターコクーンにて、岩松了新作にして、森田剛が主演を務める『空ばかり見ていた』が開幕する。初日前夜、同劇場にてゲネプロ(通し稽古)が公開された。

舞台は反政府軍のアジト。反政府軍の兵士・多岐川秋生(森田剛)は、尊敬するリーダー吉田満(村上淳)の妹・リン(平岩紙)と恋愛関係にある。ある日リンが暴漢に襲われ、指令部のある町に派遣されていた秋生は身を案じ慌ただしく帰還する。傷を負いながらも、リンは愛する恋人や仲間たちが自分を見守ってくれることに幸福を感じ、回復へと向かう。命の保証のない日々のなか、結婚に踏み切れない秋生と、その考えを察して共に闘いたいと願うリン、そんな彼女に戸惑う満。やがて、秋生が絶対的な信頼をおいていた満に対して不信を覚えざるをえないような出来事が起こる。満への感情と連動するようにリンを否定する気持ちがわき上がり、戸惑う秋生。同じころ、政府軍のスパイが組織に入り込んでいたことがわかり、事態はさらに複雑さを増していく。

戦いの中で描かれる「愛」がテーマとなる本作。男女の間で生まれる愛の形は、戦時下での「信頼」「共感」そして「疑惑」「戸惑い」「裏切り」の形と不思議に重なる。本作の一幕で起きる出来事や交わされる様々な言葉が後半でどのように再浮上してくるか、ぜひ思い思いに感じ取っていただきたい。

初日を前にして、森田は稽古期間の充実ぶりについて「岩松さんの演出はやればやるほど深みにはまっていくいおもしろさがあり、戯曲のわからないところを自分なりに想像しながら埋めていく作業がすごく楽しかった。本当にいい時間を過ごせた。自分は岩松さんの言葉を信じて、共演者の皆さんを信じて舞台の上でやるべきことをするだけだと思っている」とコメントし、また土居役の勝地涼は「稽古の後半に森田さんとこのシーン、この台詞はこういう事なんじゃない?といろいろ話が出来た事が自分の中で大きかった。最終的にはすべてを二人で決めなくてもいいね、登場人物それぞれが違う事を考えながら物語が進んでいった方がおもしろい」というひとつの出口に達した事を語っていた。

アジトから見上げる空は様々な色を見せる。この上もなく美しい時もあれば不安や恐れを感じさせる時もある。これもまた「愛」の形と重なっているのかもしれない。

取材・文・撮影=こむらさき

公演情報

Bunkamura30周年記念 シアターコクーン・オンレパートリー2019
『空ばかり見ていた』

 
■作・演出 岩松了
■キャスト:
森田剛 勝地涼 平岩紙 筒井真理子 宮下今日子
新名基浩 大友律 髙橋里恩 三村和敬 二ノ宮隆太郎 豊原功補 村上淳
 
<東京公演>
■日程 2019年3月9日(土)~31日(日)
■会場 Bunkamuraシアターコクーン
料金(税込) S席10,500円 A席8,500円 コクーンシート5,500円
■問合せ Bunkamura 03-3477-3244<10:00~19:00>
http://www.bunkamura.co.jp/
 
<大阪公演>
■日程 2019年4月5日(金)~10日(水)
■会場 森ノ宮ピロティホール
料金(税込) 全席指定 10,500円
■問合せ キョードーインフォメーション 0570-200-888<10:00~18:00>
http://www.kyodo-osaka.co.jp


■企画・製作:Bunkamura
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