箱根・ポーラ美術館、現代美術家アイ・ウェイウェイの彫刻作品を新収蔵 国立公園内の森の遊歩道にて公開

ニュース
アート
2019.3.26
アイ・ ウェイウェイ《鉄樹根》2015年 鉄, 220 x 205 x 205 cm ポーラ美術館蔵

アイ・ ウェイウェイ《鉄樹根》2015年 鉄, 220 x 205 x 205 cm ポーラ美術館蔵

神奈川県・箱根町のポーラ美術館が、現代美術家アイ・ウェイウェイ(艾未未/Ai Weiwei)の彫刻作品《鉄樹根(てつじゅこん)》を新たにコレクションに加えた。本作は、国立公園内、森の遊歩道にて公開となる。

美術館屋外の遊歩道は、四季折々の自然の中を散策するだけでなく、点在する多彩な彫刻を見つける楽しさも好評だ。今回の新収蔵により、さらに富士箱根伊豆国立公園の自然と、作品の魅力を発見できるだろう。

新収蔵作品:アイ・ウェイウェイ《鉄樹根》2015年

本作品は、これまでの制作においてアイ・ウェイウェイが繰り返し取り組んできた、有機物と人工物、あるいはオリジナルと複製物の間の緊張関係を強く感じさせる。2009年のインスタレーション作品《Rooted Upon》では、中国南部の山間で見つけた100本もの捻れた木の幹を展示してみせたが、本作はこの系譜に連なるものである。また、2013年の《Iron Tree》と同様に、中国の伝統的な技法によって、樹木の一部を鉄で鋳造するスタイルを用いている。

《鉄樹根》は、木の根のように目には見えない場所で複雑に絡み合う中国の縁故社会から、切り離され、独立した「個」のあり方、地中から白日の下に晒された力強い姿を象徴している。本作にはあえて錆止めの加工が施されておらず、生の鉄が、自然に晒され時とともに緑青に覆われてゆく。箱根の豊かな植生のなかに設置された鉄の彫刻が、有機物の時間とは異なる、人工物の時間を刻みながら長い時をかけてゆっくりと朽ちてゆく姿は、私たちに自然界と文明との関係について思考を促すかのようである。

施設情報

ポーラ美術館
住所:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山 1285
開館時間:午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
年中無休(ただし展示替のための臨時休館あり)
シェア / 保存先を選択