中川晃教、柿澤勇人、小西遼生、加藤和樹が「熊カレー」を実食 ミュージカル『フランケンシュタイン』ファン感謝祭イベント
(左から)露崎春女、加藤和樹、中川晃教、柿澤勇人、小西遼生、板垣恭一
誰もが知るゴシックロマンの名作「フランケンシュタイン」を大胆なストーリー解釈と流麗にしてメロディアスな音楽でミュージカル化した『フランケンシュタイン』が、2017年に日本で初演されるとその大胆な演出と衝撃の内容で多くのファンが魅了された。あれから2年。待望の再演が決定した今年、約2000通の応募から抽選で選ばれた150人のオーディエンスが見守る中、ファンを迎えた感謝祭イベントが2019年7月29日(月)都内にて催された。
イベントに登場したのは、科学者ビクター・フランケンシュタインと闘技場の主人ジャック役をWキャストで務める中川晃教と柿澤勇人、そしてビクターの友人アンリ・デュプレ/ビクターが生み出した怪物をこちらもWキャストで演じる加藤和樹と小西遼生が潤色・演出の板垣恭一と共に東宝演劇部・篠崎勇己プロデューサーの司会のもと、フランケンシュタイントークを自由に繰り広げた。
篠﨑プロデューサーが初演時の反響の大きさから、「3年後に再演をしたい」と4人に話をしたところ「3年先は何をやっているかわからないなあ」と話を濁したが、結局無事同じ顔触れで集まってくれたと話す。
中川晃教
柿澤勇人
中川は、3年前の初演時に行われた記者会見を思い出しながら、「あの時、超緊張して、偉大なる生命創造のなんとか……未だにタイトルを覚えられない(笑)。『偉大なる生命創造の歴史が始まる』を歌いました。あの時を思い返すとよくやり遂げたな、そして再演までこぎつける事ができたな、と思います」と語る。すると中川の話を聴いていた柿澤は「アッキーさん、緊張してたんですか? 緊張していたという割には歌の最後のロングトーンが長くて! 『ここで切ろう』って言っていたところより伸ばすから僕はどうしようかと。当時の動画にも残ってますよ」とその瞬間のうろたえた表情を再現して笑いを誘った。柿澤は「僕はあの半年前くらいにアキレス腱を切っちゃって、それ以来の舞台だったから記者会見では脚をひきずってたんです。痛くて。記者の方々から質問をいただいて『僕の脚はまだフランケン状態ですよ』と言った記憶があります」と苦笑い。「アッキーさんは大丈夫でしょうが、僕の場合、ビクターの歌は音域をフルで使わないと歌えない曲だったんで、そんな曲を披露しなければならないのはハードルが高かったです」と思い出していた。
ミュージカル『フランケンシュタイン』初演公演より
ミュージカル『フランケンシュタイン』初演公演より
小西遼生
加藤和樹
柿澤が「アンリの2人は(会見で)歌ってないんだよね!? 楽しないでくださいね」と加藤、小西に話を振ると、小西は「(本番の)舞台上では大変でしたよ。僕らは虐待を受けてましたからね」、また加藤も「鎖が冷たくてね……」小西「素肌に汗のシャワーを浴びてね」加藤「二人とも涙なのか汗なのか鼻水なのかわからないくらいで(笑)そのくらい感情があふれ出てましたね」と半ば愚痴をこぼすように笑い飛ばしていた。
ミュージカル『フランケンシュタイン』初演公演より
ミュージカル『フランケンシュタイン』初演公演より
板垣恭一
板垣は「皆、個性が違うので合わせるのがつらかったです(笑)」というと4人が笑い出す。「初演の稽古で、段取りが違っても僕はいいんだけどなーって小声でつぶやいたら『いいんですか?』と応えてくださって。その後、濱田めぐみさんにも同じ事を伝えたら『いいよ』と返され、さらに照明さんにも伝えたら『こいつら皆、照明の中に入らないやつらだから。立ち位置守れないやつらだからいいんじゃない?』とあたたかい言葉(?)をいただきました」と当時を回想すると4人とも吹き出していた。続けて板垣は「4人でやると本当にみんな勝手で。個性が強くて楽しかった」と話していた。
メインキャスト全員が1幕と2幕で2役を務めることに話が及ぶと、中川は「俳優にとって一つの役ではなく、二つの役で演じる事はどの作品とも違う」と話しだし「お客様も二つの顔を見る事ができ、俳優がどうチャレンジしているのかを楽しめる。4通りの組み合わせで楽しめる事がこの作品がより盛り上がっていた事に結び付いたのかな」と考える。柿澤も「新しい命を創造していくんだ、という一本筋の通った真面目な役ではありますが、2幕では自分が作った怪物を虐げる闘牛場?(小西が僕たち牛じゃないから、と突っ込み)闘技場での話となる。カロリー的には相当しんどいですが、その一方で二つの役をやれることは楽しかったです」とコメントした。
その流れで初演時の珍エピソードを暴露する柿澤。「初演で大竹しのぶさんが観劇してくれて。楽しかったよー! でも2幕はカッキーがあまり出てこなかったねって。何を言っているんだろうと軽く流していたら一緒に観に来ていた後輩の唯月ふうかが『私は2幕のカッキーさんのアレをみてすごく怖かったです~』と話し出し、しのぶさんが『え?』と。あの役も僕ですよって教えると『嘘でしょう? 全然違う役者さんだと思っていた!』ジャックが僕だとわからなかったらしい」と語ると皆大笑い。また「板垣さんから『カッキー……やりすぎ(笑)というクレームが入りまして。あの言葉はやめようか、とクライアントからお叱りをいただいて』と言われた」事に触れると、板垣は「僕はいいと思ったので『もう一回、同じ事を言われたらまたくるね』と二人で笑い合ったんです」と舞台裏を語っていた。
ジャックという役の作り方について、中川と柿澤が真逆だったという話から、「カッキーは稽古場からいろいろな事を試す。アッキーはシンプルに作っていて最後の段階でがっといろいろな物を出していく。なるほどいろいろな方法があるんだな。これは怪物のお二人にも感じたことです。怪物はアンリという人格をどこまで引きずるかというところがポイントだと思うんですけど」と司会が怪物役の二人に話を振る。
加藤は「根底にアンリがあるから、ビクターに対して執着する想いがあった。肉体的には相当辛かったですね」とコメント。そして小西は「人間がつながっている所があるので、計算して作れるところもあった。怪物役はどう作ればいいのかこの作品では結構自由度が多かった。カッコイイ衣裳やヘアメイクを作ってくれたんですが、一方で原作にあるようなおぞましさをどう作っていくのか、そこを作るためにもアンリはどのくらい清廉に作っていけばいいのか、心の在り方の匙加減を作りやすい役でしたね」と振り返っていた。
二人のビクターとの関係性について、加藤はさらに「打合せをした記憶はなく、本番でも変わっていきましたが、アッキーさんは『共に進んでいく』という意志が強く、カッキーは『自分が支えてあげなきゃ……』という気持ちがしたんです。ほおっておけない、みたいな気持ちが」と話す。続く小西も「稽古中はどちらのビクターに対しても感傷的になるんですが、カッキーからは『とにかく我のために死んでくれ!』感がありましたね。『俺のために死んでくれてありがとう!』みたいなエネルギーを感じて(笑)その想いの強さを受けて(アンリとして)潔く死んでいけました」と笑わせる。
「同じシーンでも、カッキーは目で表現する感情をアッキーはめちゃくちゃ歌で表したりするのですが、アプローチが違うのに同じ気持ちが届くので不思議でしたね。飛ばし方が違うのに同じところに刺さるんです」と感慨深げに語る小西だったが、「怪物になった後の復讐心はカッキーに対するほうが強かった。2幕からのどSな目線! いたぶってくる感がハンパない。顔に大事なところを当ててくる度合いもね。これは役なのかカッキー本人なのかわからないくらいだった」というと観客も含めて大笑いとなった。
まさかの熊カレー試食タイム!
篠﨑さんが持っているのが熊カレーです。抽選で10名のオーディエンスにプレゼントされました!
初演では劇中で怪物が口にした台詞「クマ、おいしい」が何故かウケて、物販では急遽熊カレーが登場した経緯がある。「せっかくなので今食べてみますか?」と4人分の熊肉入りカレーの試食大会に。出演者たちが「これは熊肉なんですか?」「“熊”感ありますか?」「ちょっと甘め」「ジビエみたい」などと感想を口にする中、小西は「僕の、肉が入ってないですけど……」と呟いてまたしても大笑いに。
美味いと評判の「加藤二郎ラーメン」とどちらが美味しいですか?加藤さん
熊カレーは辛口表示がありましたが「ちょっと甘めですね」と答えた中川さん
「俺の、肉が入ってないんだけど」「それって普通のカレーじゃん」と突っ込まれていた小西さん
いちばんもりもり食べていた柿澤さん
露崎春女
カレーの香りが会場中に漂うなか、トークコーナーが終わると、今回からエレン/エヴァ役を務める露崎春女が劇中歌「その日に私が」を歌い上げる趣向も。ミュージカルは初と語る露崎は「ドキドキでした。でもこんなに素晴らしい作品で、素晴らしいキャストの皆さんとご一緒できることを楽しみにしています」とコメントした。
全員の服装の違いにも注目を!
改めてステージ上に戻ってきた4人と板垣。小西は「前回以上に熱い舞台にしたい」、加藤は「稽古は身を削るような作品なんですが、1シーン1シーンに命をふきかけたい」、柿澤は「大千秋楽の時の満員の観客の熱狂が忘れられない。あの熱狂をもう一度感じたい」、そして中川は共演者一人ずつ名前を挙げていく中で「和樹くんとは今まさに別の作品で共演していますが、こっちの作品でもその胸に飛び込みたい、胸を借りる気持ちで」というと加藤が「飛び込んでおいで」と言いたげに両腕を広げて笑いを誘う。
ハグ待機中の加藤さん
改めて中川は「ミュージカルの魅力、エンターテインメントの魅力、そして私たちの魅力が伝わる再演になるよう、チームワークで頑張っていきたいと思います」と意気込み、感謝祭を締めた。
撮影時にも「クマ、おいしー!」が掛け声になっていました(笑)
取材・文・撮影=こむらさき 舞台写真提供 東宝演劇部
公演情報
■日時・会場:2020年1月8日(水)~30日(木)
■会場:日生劇場
■音楽:イ・ソンジュン
■脚本/歌詞:ワン・ヨンボム
■訳詞:森雪之丞
■音楽監督:島健
■出演:
ビクター・フランケンシュタイン/ジャック:
中川晃教 柿澤勇人 ※Wキャスト
アンリ・デュプレ/怪物:
加藤和樹 小西遼生 ※Wキャスト
ルンゲ/イゴール:鈴木壮麻
ステファン/フェルナンド:相島一之
エレン/エヴァ:露崎春女
白石拓也 当銀大輔 丸山泰右 安福 毅
江見ひかる 門田奈菜 木村晶子 栗山絵美 水野貴以
宮田佳奈 望月ちほ 山田裕美子 吉井乃歌