ワッツ・オン・ブロードウェイ?~B’wayミュージカル非公式ガイド【2019年8月編】

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2019.7.31


7月後半、4年ぶりにロンドンに行っていた。そんなわけでブロードウェイ連載であるにもかかわらず、堂々と二大劇場街のもう一方であるウエスエンドの、しかもほぼ『レ・ミゼラブル』の劇場しか写っていない画像をトップに置いているわけだが、これにはちょっとした意図も、ないわけでもない。よくよく見るとレミゼの奥にいくつかの劇場が写り込んでいる、これが筆者が今回収めることのできた精一杯の「劇場街」ふう写真で、「ザ・劇場街!」な写真がいくらでも撮れるブロードウェイとウエストエンドとは、そんなところも違うんだな、などと感じたことを表したかったのだ。という流れで、今月のQ&Aにぬるっと移行。

Q.ブロードウェイとウエストエンド、何が違う?

筆者自身の訪れている頻度がまるで違う(ブロードウェイは年に一度、ウエストエンドは2~5年に一度)ため、正確に比較することは難しいのだが、少なくともブロードウェイのほうが商業化・観光化されていることは事実であるように思う。そもそもブロードウェイには、オン/オフ/オフオフと呼ばれる劇場に座席数の違いによる明確な定義があり、世界各地に輸出されるような名作は大体オンから生まれる(オフから生まれてもオンを経由する)し、そのオンにはトニー賞を境とする分かりやすいシーズンがある。

それに対してウエストエンドというのは、ロンドンにある無数の劇場のうち商業的なものに何となく与えられている呼称で、世界各地に輸出されるようになる名作は実は、いわゆるウエストエンドではない非営利の劇場から生まれていることが少なくなかったりする。また、期間限定公演も多いため“シーズン感”に乏しく、行く時期を決めることも、決めた時期に上演されている、開幕したてで未だ評価の定まらない作品群から観劇するものを選ぶことも難しい。いやもちろん、あらゆる劇場の情報をつぶさに追っていれば勘所がつかめてくるのだろうが、海外からではなかなか追いきれないというのが筆者の実感だ。

というわけで今回も、なんとか情報をかき集めて厳選した7本のミュージカルを観劇して来たのだが、オリヴィエ賞に輝くような名作を探り当てられた気はせず(そもそもやっていない時期だったのかもしれないが、今回の場合は『レ・ミゼラブル』オリジナル演出版千秋楽という明確な目的があったため時期の選択肢はほかになかった)、ブロードウェイの海外在住オタクに対する優しさを改めて感じた次第。またそういったことを度外視しても、特に近年に関してはミュージカルはブロードウェイ、プレイはロンドンが強い傾向にあるため、ミュージカル好きにはやはりブロードウェイをオススメしたい筆者なのだった。

とは言えもちろん、ロンドンだってパラダイスであることに変わりはない

とは言えもちろん、ロンドンだってパラダイスであることに変わりはない

 

【今シーズンの新作】

■8月に始まる作品

またもや、なし。というか、10月の『Tina: ザ・ティナ・ターナー・ミュージカル』、12月の『ウエスト・サイド・ストーリー』まで主だったミュージカルの開幕はないのだが、今月は昨シーズンのトニー賞で良い結果を残せなかった『Be More Chill』『The Cher Show』『キングコング』『プリティ・ウーマン』『The Prom』が揃ってクローズを迎える。寂しいが、それにより空いた劇場に今シーズンの新作が入る、それがB’wayの性なのだろう。

■既に上演中の作品

『ムーラン・ルージュ!』
バズ・ラーマン監督映画の舞台版がついに開幕!劇評も客の入りも上々、観たいしかない。
https://moulinrougemusical.com/

 

【ロングラン作品】

■日本で既に上演された/されている作品

『アラジン』
ディズニーアニメが舞台ならではの手法で表現された秀作。魔法の絨毯もスゴイ。
https://www.aladdinthemusical.com/

『ビューティフル』
キャロル・キングの半生を彼女自身の楽曲で綴る系。10月27日でのクローズが決定。
https://beautifulonbroadway.com/

『シカゴ』
オペラ座の怪人に次ぐロングラン記録を更新中の名物作。出来は割とキャスト次第。
https://chicagothemusical.com/

『ライオンキング』
開幕から20年以上経つというのに、未だ入場率がほぼ毎週100%を超える大ヒット作。
https://www.lionking.com/

『オクラホマ!』
1943年初演の名作を21世紀の解釈でリバイバル。2019年トニー賞。来年1月19日まで。
https://oklahomabroadway.com/

『オペラ座の怪人』
言わずと知れた世界的メガヒット作。圧倒的な知名度ゆえ、劇場では日本人に遭遇しがち。
http://www.thephantomoftheopera.com/

『ウィキッド』
開幕から15年が経ち、ようやくチケットに多少の余裕が。定期的に観たい傑作。
https://wickedthemusical.com/

■日本未上演の作品

『Ain’t Too Proud』
『ジャージー・ボーイズ』チームが描くテンプテーションズの軌跡。振付とキャストが最高。
https://www.ainttooproudmusical.com/

『Be More Chill』8月11日まで
音楽、振付、演出から若さがあふれる、オフ発信の話題作。日本人的には微妙な描写も…。
https://bemorechillmusical.com/

『ビートルジュース』
ティム・バートン監督映画の舞台化。原作を知らないとノリについていけない可能性高し。https://beetlejuicebroadway.com/

『ブック・オブ・モルモン』
日本では永遠に上演されなさそうだが超絶面白い。モルモン教だけwikiで調べて観るべし。
https://bookofmormonbroadway.com/

『The Cher Show』8月18日まで
米歌手シェールの半生を彼女自身の楽曲で綴る系。2019年のトニー賞主演女優賞受賞作。
https://thechershowbroadway.com/

『カム・フロム・アウェイ』
「911」の日、カナダの小さな町に起こった実話をシンプルだが力強い演出で描く感動作。
https://comefromaway.com/

『ディア・エヴァン・ハンセン』
深遠なテーマをスタイリッシュに描く、2017年のトニー賞受賞作。絶対日本でやると思う。
https://dearevanhansen.com/

『アナと雪の女王』
舞台ならではの表現が見当たらない残念作だが、満足感は保証する。生レリゴー最高。
https://frozenthemusical.com/

『Hadestown』
『グレコメ』の演出家が現代的に描くギリシャ神話。2019年のトニー賞で8冠を達成。
https://www.hadestown.com/

『ハミルトン』
開幕5年目にして未だ超入手困難なモンスター級ヒット作。文句なしに革新的。観るべし。
https://hamiltonmusical.com/

『キングコング』8月18日まで
あの、キングコング。ミュージカルというよりショーだと思えば意外と楽しめる。
https://kingkongbroadway.com/

『ミーン・ガールズ』
同名映画の舞台化。なぜか人気。アメリカ的なノリについていける自信があればどうぞ。
https://meangirlsonbroadway.com/
 
『プリティ・ウーマン』8月18日まで
あの名作映画が原作。あの曲が投入されるロンドン版(2020年開幕)のほうが買い、かも。
https://prettywomanthemusical.com/
 
最大の見どころだった(私見)アンディ・カールは既に降板

最大の見どころだった(私見)アンディ・カールは既に降板

『The Prom』8月11日まで
プロム=高校生ものかと思いきやバックステージものでもあり超面白い。翻訳上演希望!
https://theprommusical.com/

『トッツィー』
主演俳優を筆頭に大変チャーミングな舞台。東宝出資中につき、日本版妄想も進む。
https://tootsiemusical.com/

『ウェイトレス』
同名映画の舞台化。完全に女子向け。来年1月5日でのクローズが決定。
https://waitressthemusical.com

【8月のミュージカルイベント】

 

ミュージカルではないことのほうが多いのだが、夏のNY演劇界の風物詩と言えばこちら、「シェイクスピア・イン・ザ・パーク」。NY公共劇場の雄、パブリック・シアターの主催により、セントラルパーク内の野外劇場で毎年2本ほどのシェイクスピア劇が、なんとチケット代無料にて上演されるというものだ。今年の演目は、ケニー・レオン演出の『から騒ぎ』(既に上演終了)と、ダニエル・サリヴァン演出の『コリオレイナス』(上演中~8月11日まで)。無料チケットを求める人々の行列もまた風物詩、加わってみるのも一興だ。

https://www.publictheater.org/en/Programs--Events/Shakespeare-in-the-Park/Shakespeare-in-the-Park-2019/?SiteTheme=Shakespeare

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