初舞台のブルゾンちえみ「いい女感は抜けている」 舞台『フローズン・ビーチ』東京公演が開幕

レポート
舞台
2019.8.1
鈴木杏、ブルゾンちえみ、花乃まりあ、シルビア・グラブ(左から)

鈴木杏、ブルゾンちえみ、花乃まりあ、シルビア・グラブ(左から)

画像を全て表示(6件)

KERAならではの世界観で“8年ごとの女たち”を描く密室劇の傑作『フローズン・ビーチ』の東京公演が2019年7月31日(水)、シアタークリエで開幕した。開幕を前に、出演する鈴木杏、ブルゾンちえみ、花乃まりあ、シルビア・グラブが取材に応じ、意気込みを語った。
 
本作は、1998年、KERAが作・演出をし、劇団「ナイロン100℃」公演として、新宿・紀伊國屋ホールにて初演。女優4人で紡ぐミステリー・コメディだ。1987年、1995年、2003年と世相を鋭く映し出しながら、16年にわたる女性同士の心の機微を描く密室劇の傑作として、第43回岸田國士戯曲賞を受賞した。

【あらすじ】
 大西洋とカリブ海の間に浮かぶリゾート・アイランドにある別荘の一室。
 島を開発している資産家の娘・愛(花乃まりあ)を訪ね、バカンスにやってきた旧友の千津(鈴木杏)とその友人・市子(ブルゾンちえみ)。愛の病弱の双子の姉・萌(花乃まりあが二役演じる)もいる。そこに、愛の父と後妻の咲恵(シルビア・グラブ)が予定より早く旅行先から戻って来る。咲恵のせいで母が自殺したと思っている愛は咲恵と、病弱ゆえに父の愛を独占する萌を妬ましく思っている様子。そんな中、市子がひょんなはずみで愛をベランダから突き落としてしまう。
 8年後。それぞれの人生がさまざまに変化するなか、再び同じ別荘の一室に集まった4人。そこで待ち受けていたのは衝撃の真実だった。そしてさらに8年の月日が流れ…。16年にわたる女たちの複雑に絡み合った運命は思わぬ結末を迎える。
 

鈴木杏、ブルゾンちえみ(左から)

鈴木杏、ブルゾンちえみ(左から)

ーーいよいよ東京公演が初日ですが、手応えはいかがですか?

鈴木杏:毎回4人(※役としては5人)にしては膨大な量なので、未だに毎回何かしら起こるんです。でもすごくチームワークがいいので、何か起こっても、お互いにリカバーしながらやっていけているので、毎回新鮮にできていると思います。昨日も稽古したんですけれども、ここに来て変えてみようかということもできる、すごく柔軟なカンパニーだなと思います。私は圧倒的に信頼しています。

ーーブ、ブルゾンさんですよね?(笑)だいぶ雰囲気が…。

ブルゾンちえみ:ブルゾンです。ヘアスタイルもメイクもだいぶテイストが違うので……。ブルゾンとしてではなく、(演じる)役の市子さんということで、やっています。女優・ブルゾンです。

ーー女優としての手応えはいかがでしょう?

ブルゾン:そうですね、その土地その土地によって、笑うポジションが違って、「ここではこんな反応なんだ!」と、場所によって違うのが面白いですね。多分、東京は東京で、お客さんの雰囲気も違うんだろうなということで、ちょっとまた緊張し直しています。

鈴木:ね、ちょっと緊張するよねぇ。

花乃まりあ、シルビア・グラブ(左から)

花乃まりあ、シルビア・グラブ(左から)

ーー花乃さんはいかがですか?

花乃まりあ:私も改めて緊張するなぁと思っているところなんですけど、先ほど杏さんが仰ったように、何か起こっても絶対面白くしてやるぜということを先輩方が出してくださる。そこは安心して、楽しんで頑張りたいなと思います。

ーーシルビアさんはいかがですか?

シルビア・グラブ:そうですね、東京公演の前に(プレビュー公演として)5公演やらせていただいているんですけど、多分これは最後まで緊張は続きます。徐々に楽しめるポイントが増えて、舞台上にいても楽しめるようになってきているので、これから4人ともが楽しむポイントがもっともっとできると最高だなと。楽しみながら毎日やっています。東京公演もすごく楽しみです。同じ劇場でできるので、自分の中で消化できる期間がある。すごく楽しみです。

ーー今回、花乃さんは二役を演じられますね。

花乃:はい。初めての経験なので、どうしようと思ったんですけれども、でも(演じる2役は)双子の役なので、違うんですけど、ちょっと似ているところもあったりして。キャラ分けははっきりした方が面白くなっていくと思うので、そこは切り分けて、面白く作れていけたらいいなと思います。

ーー相当難しそうな感じがしますが。

花乃:そうですね。難しいなぁとは思っています。でも本当に(鈴木)裕美さんの演出もそうですし、皆さんからも色々ヒントやアドバイスをいただきながら作れたかなと思っています。

鈴木杏、ブルゾンちえみ、花乃まりあ(左から)。囲み取材中も終始笑顔で、仲睦まじい様子がよく分かる。

鈴木杏、ブルゾンちえみ、花乃まりあ(左から)。囲み取材中も終始笑顔で、仲睦まじい様子がよく分かる。

ーーブルゾンさんは舞台初挑戦だと思うのですが、舞台が始まるまでの印象と、舞台が始まってからの印象は違いがありますか? 実際に舞台の演技はやってみてどうですか?

ブルゾン:長い期間同じことを何回も練習することがなかったし、セリフもこんなに長いこともなかった。なんか普段のブルゾンちえみとはキャラクターも違うので、違うクセがついちゃったり、姿勢悪くなっちゃったり、太っちゃったり……まぁそれは関係ないかもしれないけど、役のせいにしているかもしれないですけど(笑)。いい女感みたいなのは抜けていると思います、はい。

ーー自分自身のクセが抜けるというのは、俳優さんはよくあることなんですよね?

鈴木:はい、あります。姿勢は変わっちゃいます。

ブルゾン:ほら、私は女優として正しい……。

シルビア:そうですね、結構役柄によってあります。高貴な役をやっていたら常に姿勢が良くなるし、そうではないとちょっと足元がだらしなくなったり、猫背になったり。あと目つきが変わったり。緩みまくったり、きつい顔になったり。役によっていろいろ変わってきますね。

ーー皆さんからご覧になってブルゾンさんの演技はどうですか?

鈴木:最高です。

シルビア:最高ですね。

鈴木:(演劇界で)引っ張りだこになると思います。

ブルゾン:ひゃ~怖い。

シルビア:すごくチャーミング。

鈴木:繊細だし、でもエネルギーもあって、素敵な女優さんだと思います。

シルビア:みていて愛されることって、すごく大事だと思うんですよ。舞台上に立っている者として。最初からそれを持ち合わせていらっしゃったので、稽古場からもみていても、どうしてもニヤニヤしてみちゃう。可愛くてしょうがなかったです。

花乃:うん、かわいい。

ブルゾン:何も出ねぇぞ(笑)。でもありがたいです。

鈴木杏、ブルゾンちえみ、花乃まりあ、シルビア・グラブ(左から)

鈴木杏、ブルゾンちえみ、花乃まりあ、シルビア・グラブ(左から)

ーーブルゾンさんは8月3日がお誕生日ですよね。

ブルゾン:……あ、はい。でも祝ってもらおうなんて思っていないですよ。タイミングよく誕生日なんか挟んでしまって。自分としても新しい29歳の自分でパワーアップして舞台を迎えたいなと思っています。

ーープレゼントを諸先輩方におねだりしてもいいのでは?

ブルゾン:あ、でもちょっと買ってもらいました。

鈴木:舞台上で私が着る衣装の一つがすごく可愛くて、それを私が欲しいなと思っていたら、横で全く同じ感じで欲しがっていて……。

ブルゾン:違う! 私が先に欲しいと思っていたの!(笑)その衣装で使うシャツを衣装さんにお願いして。

鈴木:誕生日だから、それでいいんじゃない?って。

ーー東京公演が終われば、全国を回ります。楽しみにされていることは?

シルビア:今回、なかなか行かない場所にも行かせてもらえるので、それはすごく楽しみですね。地元の美味しいものを探したり、美味しいお酒を探したり。観光する時間はあまりないかもしれないですが。

花乃:シルビアさんが調べてくださるんですよ。美味しそうなお店。

シルビア:飲み隊長なので……(笑)

ーー東京公演も12日間、休演日(8月5日)を1日挟みますが、長い公演期間です。皆さん体調管理や暑さ対策の秘策があれば教えてください。

鈴木:やせ我慢せずに、頼れるものには全部頼っていこうと思います。結構ハードスケジュールなんですよね。でも集中力を切らすわけには行かないお芝居なので、本当にもう自分の中で息が抜けるときは息を抜いて、無理をしすぎない程度に頑張れたらなと思います。

ブルゾン:癒しの時間が大切ですよね。私はずっと飼っている観葉植物があるんですけど、今すごくイキイキ新芽を出していて。それを可愛いなと触っていたりする時間が私は好きです。

花乃:私は今皆さんといる時が一番楽しくて、ワクワクウキウキしているので、早く楽屋に行きたいという感じで過ごしています。今が一番元気です。

シルビア:それこそ我慢をせず、美味しいお酒をみんなで飲んで、いい会話を楽しんで、翌日の舞台に向けてストレスをためずに発散していくということですね。

鈴木杏、ブルゾンちえみ、花乃まりあ、シルビア・グラブ(左から)

鈴木杏、ブルゾンちえみ、花乃まりあ、シルビア・グラブ(左から)

ーーちなみにwith Bは見に来るんですか?

ブルゾン:それなんですよ! 今のところ、連絡が来ていないんですよ。

花乃:サプライズなんじゃないですか?

ブルゾン:そんなに気が利くやつだとは思いませんね(笑)。withBこれで来なかったら、ちょっとびっくりですよね。私からはあえて連絡していないです。「見にくれば?」とかも言っていないですし、自主性です。彼らの自主性の様子を見ています。

ーー来て欲しいですか?

ブルゾン:一応、私が頑張っている姿は見ておくべきだろうと思っていますけどね。はい。

ーーでは、最後に一言お願いします!

鈴木:いよいよシアタークリエにて東京公演が始まります。女5人の16年にわたる話で、どんどん予期せぬ展開が起こっていく物語です。見てくださる方一人ひとりに違う楽しみ方をしていただける作品だと思いますので、ぜひ劇場に目撃しにきていただけたらなと思っています。お待ちしております!

公演情報

KERA CROSS 第一弾
『フローズン・ビーチ』

 
■作:ケラリーノ・サンドロヴィッチ 
■演出:鈴木裕美  
■出演:鈴木杏、ブルゾンちえみ、花乃まりあ、シルビア・グラブ
 
■日程:2019年7月31日(水) ~8月11日(日)
■場所:シアタークリエ
料金:9,000円(全席指定・税込)
 
<ツアー公演>
<神奈川・橋本プレビュー公演>7月12日(金)〜14日(日) 杜のホールはしもと・ホール 【終了】
<新潟公演>7月25 日(木) 19:00 開演 長岡市立劇場 大ホール  
<福島公演>7月28 日(日) 13:00 開演 いわき芸術文化交流館アリオス 大ホール
<大阪公演>8月16日(金)〜18日(日) 大阪・サンケイホールブリーゼ
<静岡公演>8月21日(水) 18:30開演 静岡市清水文化会館マリナート
<愛知公演>8月23日(金) 18:30開演 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
<高知公演>8月28日(水) 13:00開演/18:00開演 須崎市立市民文化会館 大ホール
<高松公演>8月31日(土) 13:00開演 レクザムホール(香川県県民ホール) 小ホール  
 
■オフィシャルサイト https://www.keracross.com
シェア / 保存先を選択