「私」を書くことを選んだ女性の勇気と決意と愛が時代を動かす!ミュージカル『レッドブック~私は私を語る人~』ゲネプロ&取材会レポート!

レポート
舞台
08:00
左から小林香、エハラマサヒロ、花乃まりあ、咲妃みゆ、小関裕太、田代万里生、中桐聖弥、加藤大悟

左から小林香、エハラマサヒロ、花乃まりあ、咲妃みゆ、小関裕太、田代万里生、中桐聖弥、加藤大悟

画像を全て表示(20件)


女性が書いた1冊の本が、やがて恋も時代も動かしていく様を描いたミュージカル『レッドブック~私は私を語る人~』が、2026年5月16日(土)開幕した(31日(日)まで。のち6月27日(土)~ 30日(火)大阪・森ノ宮ピロティホール、7月4日(土)~5日(日)愛知・御園座で上演)

『レッドブック』は韓国で異例のヒットを記録した創作ミュージカル『女神様が見ている』を生んだ黄金コンビ、ハン・ジョンソク(脚本)×イ・ソニョン(作曲)が、4年の歳月をかけて制作したオリジナルミュージカル。19世紀のロンドンを舞台に、小説を書くことで自分自身を表現するアンナが、社会の偏見と闘いながら「私」として生きる道を見つけ出していく物語だ。

2018年韓国初演では、同時期に広がった#MeToo 運動とも重なる、女性への偏見やセクシャルハラスメントへの問題提起が大きな共感を呼び大ヒットを記録。イェグリーンミュージカルアワード脚本賞、韓国ミュージカルアワード作品賞など数多くの栄冠に輝き、すでに上演は4シーズンを数え「新時代のためのミュージカル」と高い評価を受けている。

そんな作品が遂に日本初上陸を果たすにあたり、これまでにも『王様と私』『モダン・ミリー』などをはじめとした海外の古典ミュージカルから、ジェンダーや国籍による偏見を現代の観客にも肌触りの良い作品へと昇華することに腐心して、物語性を高めてきた小林香が演出・上演台本・訳詞を担当するのを筆頭に、音楽監督に日本、韓国双方のオリジナルミュージカルに造詣の深い桑原まこ。テーマを確実に伝え、尚且つシンボリックな美しさも持つ美術の松井るみ、照明の高見和義、音響の山本浩一。そして、力強くもポップでユニークな三井聡と港ゆりかの振付等々、ミュージカル界を支えるスタッフ陣が集結。更に、主人公アンナに咲妃みゆ、彼女が恋する「常に紳士たれ」を実践している新米弁護士ブラウンに小関裕太という、いま大注目の二人の舞台初共演が実現したのをはじめとした個性豊かなキャストも揃い、19世紀ロンドンを描いた舞台から、いまを生きる私たちへの勇気を届けるミュージカルが生まれ出ている。

ゲネプロレポート

【STORY】
紳士の国・ロンドン。その中でも最も保守的だったヴィクトリア朝時代に生きる、主⼈公アンナ(咲妃みゆ)は少し変わっていると言われ続けて育った女性。彼女は淑女として振る舞い、家庭を守る良妻賢母の「〇〇夫人」ではなく、「私」として⽣きたいと人生を模索し続けている。
だが、女性は男性の庇護のもと、家庭を守るべきとの考え方が当然視されているのと同時に、厳格な階級社会が敷かれているこの時代のロンドンで、アンナを歓迎する働き口はどこにもない。失意のなかでアンナを救ってくれるのは、苦しみを忘れさせてくれるちょっぴりセクシーな想像力だった。
そんな折、“常に紳士たるべし”を実践している新米弁護士・ブラウン(小関裕太)が、ある事情で彼女を探しあてて訪ねてくる。そのことがアンナに物語りを語り聞かせた過去を思い出させるきっかけとなり、女性文学会「ローレライの丘」での個性的な人々との出会いを経て、アンナは官能的な小説を書くことで自分を表現し始める。
その型破りで刺激的な内容は、瞬く間に評判を呼び、多くの読者を熱狂させていく。だが一方で、「女性のあるべき姿に反している」「社会に悪影響を与えている」との非難も噴出。アンナはついに裁判にかけられてしまい……


いま、前時代的な考え方に支配されているとしか思えない改革を、ただちに進めようという動きに大きな危惧を感じているいる日本で、初上演を果たしたこのミュージカル『レッドブック~私は私を語る人~』の登場は、多くの示唆的なものを含んでいた。感じるのは敢えて直截に言ってしまえば「男尊女卑」の考え方が、当然の価値観だった時代は、日本だけでなく欧米諸国でもこんなにも近くにあり、その根本的な考え方は、決して一概に過去のものになったとは言えない、ということだった。ちょうど同じアミューズが日米合作の快挙で制作したオリジナルミュージカル『FACTORY GIRLS~私が描く物語~』で19世紀半ば、アメリカの北部の織物工場で、醜悪な労働条件の改革を剣ではなくペンで勝ち取ろうとした女性たちの物語を通しても提示されていたことだが、女性がペンをとってものを書く、それ時自体があり得ないこと、できるはずのないこと、慎みのない恥ずべきこと、と一刀両断されてしまった歴史は、こんなにもすぐ傍にあるのだ。

特にこの韓国で生まれた作品『レッドブック』が描くのは、女性は良妻賢母であれ、との強い時代の欲求から、そのひな形に収まるのではなく「自分らしい自分でいたい」という信念を持ち続けたアンナが、辛い現実をひと時忘れる為に「ちょっぴりセクシーな夢想をする」というある種の逃避行動を、様々な人物との出会いによって文学として発表していく勇気と情熱を得、それ故に振りかかる困難にも立ち向かい、傷つき迷いながらも信念を曲げずに進んでいく姿には、胸を打たれずにはいられない。思えば女性だって「いつか王子様が」を待つだけではなく、いや、仮に百歩譲ってそうだったとしても、その王子様との出会いのあとの関係性を夢見ることは当然あるわけだ。だが男性ならば「男の嗜み」のひと言で済んでしまうそうした思いですら、女性が抱いたと表明した途端に、慎みの欠片もない恥ずべき行為として断罪されてしまう。その理不尽を、この作品はあくまでもコミカルさを失わず、軽快な音楽とユーモラスな振付で、ウエットになり過ぎることなく、スピーディに描くことに成功している。だからこそ強いメッセージ性を持ちながら作品が重くなり過ぎず、ちょっと風変わりな恋物語としても楽しむことができる。それ故にこそ終幕の感動は、是非それぞれの目で体感して欲しいと思える深さを持っている。

つまり、人の多面性は、それぞれのなかにはもちろん、ひとりの人間のなかにもあって当然なのだ、という小林香の「ミュージカルというよりは、芝居を創ろうとした」という趣旨の発言にも象徴される、人間ドラマが横溢していることが、様々な立場の愛おしい人々の想いに心を寄せられる作品を生んだ。

そんななかで、主人公アンナを演じる咲妃みゆは、特に宝塚歌劇団で抜擢されはじめた下級生時代に、その片鱗を大きく見せていた役に没入していく憑依型の演技者としての姿を、退団後切り拓いてきた道のりでも着実に示しているが、今回のアンナ役においても、そのアンナとして咲妃が願い、行動し、訴えていく思いの深さに圧倒される。アンナの信念の強さと、ブラウンに恋をする乙女らしい高揚とを同時に共存させているのが素晴らしいし、ブラウンの前に出るとどこか小動物を思わせるような、ひと時もじっとしていないアンナの一挙手一投足が愛らしいのも大きな強み。ピックナンバーの「私は私を語る人」の歌いあげも力強く、後半に向かって緊迫感を高めていくドラマが、引いては、二人の恋の行方にもつながっていく作劇も周到だった。

新米弁護士ブラウンの小関裕太は、紳士たるものはこうあるべし、という価値観のなかスマートに生きようと腐心するエリート青年だが、特権階級の人間として結婚話が次々と舞い込んでくることと、自身が誰かに恋をしたことがないこととの区別がいまひとつついていない不器用さを、甘いマスクと高身長のビジュアルの良さと真摯な演じぶりで、少女漫画やロマンス小説のヒーローさながらに具現した強みが大きい。アンナの小説に登場するヒーローが自分をモデルにしていると憤る、よく考えたら相当にナルシスティックな言動をそうと感じさせない説得力があるし、社会の価値観に縛られていた青年が、どうしてもアンナを意識してしまう思いの正体に気づき、アンナが感じる社会の理不尽にも共鳴していく変化が鮮やかで、アンナとブラウンの二人を応援したい気持ちを自然に湧き起こさせてくれる存在だった。

女性文学会「ローレライの丘」会長で、夫に奪われ、離れて暮らすことを余儀なくされている息子への思いを、常に手にしている人形に託しながら、女性が自分らしく生きる為の活動を続けるドロシーの花乃まりあは、アンナの書いた小説に没頭して、子供に読み聞かせをしている、という体のコロコロと変わる発声から演技巧者としての自力を存分に発揮している。咲妃とは宝塚歌劇団時代に同期生であり、共にトップ娘役としても同時期に活躍していた深い縁を持つ関係性も、アンナとドロシーの間に育まれる友情にエモーショナルな感覚も宿していて惹きつける。コミカルな芝居も多いが、根本に気品があることで、それが全くやり過ぎにならず、終幕の決断にも納得できるドロシーになった。もうひと役の重要な役柄では、ダンス力と艶やかな魅力も披露しているので是非注目して欲しい。

ロンドンでもっとも影響力のある文学評論家ジョンソンのエハラマサヒロは、絵に描いたような権力にものを言わせるイヤな奴を、憎々しさ一辺倒ではなくコミカル味も持って演じているのが作品にとって貴重。韓国生まれの物語というのは、こうした“敵役”に対して、完膚なきまでの断罪を与えるものが多いが、そこにもまたむしろ悲哀と申し訳ないけれども可笑しみもあるのが、観やすさを高めている。ただ海外の作品を観ていていつも思うのだが、各界の評論家というのはこんなにも権力を持った存在なのだろうか???と、そんな様子がそこまでは感じられない(よいことだと思う)日本との違いに驚くことがとても多い。

ブラウンの親友で、ブラウンよりも更に「紳士たるもの」への目線がカリカチュアされている双子の兄弟ジャックとアンディを演じる中桐聖弥と加藤大悟は、中桐が『レ・ミゼラブル』のマリウス、『エリザベート』のルドルフ皇太子とミュージカル界王道のホープとして活躍し、一方の加藤は『刀剣乱舞』『ヒプノシスマイク』など2.5次元舞台で躍進しているという、いずれも勢いある若手スターとしての清新さと思い切りの良さで、舞台に明るさを届ける存在。双子なんだな、と巧まずしてわかるシンクロぶりや、漫画世界なら「ガハハ」という擬音が書かれそうな笑い方も思い切りよく、賑やかで朗らかな役どころだけに、彼らがどう劇中で動いていくのかの、クライマックスに向かっての行動にも注目して欲しい。

また、アンナがそもそも「物語る」ことは人に活力を与えるのだ、という思いに背中を押してくれた老婦人ヴァイオレットの伊東弘美と、庭師ヘンリーのKENTAROは、決して多くない出番のなかで、年齢に関わらず愛を欲してもいい、いくつになっても自分らしく生きる権利はあるとの作品テーマを伝えてくれる貴重な存在。ミュージカル大ベテランの伊藤が威厳と同時にコミカルさを、パワフルで熱い演技に定評のあるKENTAROが、滋味深い演技を披露してくれているのも互いの長いキャリアが投影されていて頼もしい。

そして、女性文学会『ローレライの丘』創設者であり、指導者でもあるローレライの田代万里生は、女性が何も飾らずにありのままを書くことの重要性を説き続ける姿を気品高く優雅に演じている。彼が何故女装をするようになったのか、羽根ペンの髪飾りは何を意味しているのか、などのミステリアスが解き明かされるシーンも必見だが、何よりもいいのは女装をしている男性という存在を、決してある種の滑稽さを交えて演じていないことで、田代本人が持っているプリンス気質が役柄にベストマッチ。意外にもこうした役どころは初めてだったとのことだが、とてもそうは思えなかった立ち居振る舞いと、人と違うことを怖れない凛としたプライドが眩しいばかり。近年、役幅を広げ続けている田代だが本来のプリンスチャーミングな気質も生きたローレライ役は、新境地を感じさせる出色の仕上がりになった。

他にも重要な役柄が多く『ローレライの丘』の会員コーレルの可知寛子は、何を演じても絶対の安心感がある演技力を、コーレルをはじめ様々な役柄で発揮。どこにいても長身と華やかな舞台ぶりが目を引くジュリアの栗山絵美は、高い歌唱力でも作品に貢献。メアリーの高井泉名は、出るべきところと引くべきところのバランスが絶妙な舞台勘で作品を回していく様が鮮やか。アンナとの会話が作品にとっても大きなキーポイントになるホームレスの少女クロエの井上花菜は、クロエとしてはかなり飛んでいる出番のなかで、アンナとの出会いと再会をきちんと印象付ける可憐さと目に残る演技がいい。目に残ると言えばアンナの初恋の相手フクロウほかを演じるシュート・チェンが、卓越したダンス力はもちろんチャーミングな持ち味で、この『レッドブック』でも抜群に目を奪うのをはじめ、アンナから観る世界なだけに、どうしても立ちはだかる壁と感じられる男性陣、高圧的な判事の伊藤広祥、抜群の歌唱力も持つ警官の感音、ドラマを支えるに十分な憎々しさをだした検事の坂元宏旬、明るさのある容姿が目立つ商人の鈴木大菜、時代的には当然の価値観なんだろうなの主人の米良まさひろ、オンステージスウィングとして全日程市民としても活躍する池田航汰、マッチ売りの石田彩夏も溌剌。「レッドブック」に熱狂もし、拒絶もする流されやすい群集心理をそれぞれが体現していて見応えがあった。

そんなドラマがどこに向かうのか「レッドブック」が1冊納められた書棚の行方と共に、是非観届けて欲しい、いまの日本にこそ伝えたいテーマを甘やかに包み込んだミュージカルの日本初演になっている。

公開ゲネプロを前に舞台上で取材会が行われ、キャストを代表して咲妃みゆ、小関裕太、花乃まりあ、エハラマサヒロ、中桐聖弥、加藤大悟、田代万里生、そして演出の小林香が登壇。公演への豊富を語った。

取材会レポート

咲妃:1ヶ月半のお稽古を受けて、今こうして全員揃ってここまでたどり着けたことを本当に幸せに思っております。演出の小林香さん、スタッフの皆さん、そして(この表現でいい?と隣にいる花乃に耳打ちして)ミュージシャンの皆様、全員で力を合わせてここまで作り上げて参りました。このパワーをお客様に受け取っていただくべく、私もこれから力を注ぎたいなと思っております。脚本のハン・ジョンソクさん、 作曲のイ・ソニョンさん、韓国でこの作品を大切に愛し守ってこられた方々への敬意を胸に、そしてお待ちくださるお客様への感謝を込めて務めさせていただきます。 どうぞよろしくお願いいたします。

小関:昨年、韓国でこの作品を拝見したのですが、お芝居をする皆さんのエネルギー、そしてそれを楽しみにして観にきている韓国の方々のエネルギーの相乗効果で、言葉がすごく分かるわけではないんですが圧倒されて、最後には隣で涙を流している学生の方々と同じような経験をしました。その記憶を胸に稽古をしてここにやってくることができました。この作品からは本当にたくさんの学びと、エネルギーと、笑顔もらうことができて、メッセージ性は強いですが、最後は皆様にハッピーになっていただけると思っています。よろしくお願いします。

花乃:本当に濃いお稽古時間を過ごさせていただいて、早くお客様にお届けしたいなという気持ちでいたんですけれども、なんだか今この瞬間を迎えると、もうあの濃密なお稽古が終わってしまったんだなという、ちょっと寂しい気持ちにもなります。私個人としては、非常に難しい、新境地と思うお役との出会いだったのですが、演出の小林香さんから新境地というのは自分の持っている引き出しの中からやるのではなくて、中身から何か新しいものを生み出さなければ新境地とは言えないんじゃないか、というようなお話をしていただいて。新しい自分を引き出すために時間を丁寧に使ってくださいました。今日まで一生懸命お稽古してまいりましたので、皆様に楽しかったなと思っていただける作品になっていたら嬉しいです。頑張ります。

田代:約1ヶ月半の稽古期間のなかで、稽古初日からマニキュアをして、ハイヒールにスカートを履いて臨んでいました。役柄が“変に優雅で気品のある女装男性”ということで、どんな役柄を生み出すことができるかなと思いましたが、いっぱい悩み、演出の小林香さんのもと、皆さんのお力をお借りしてこれだ!というものを見つけられたと思っています。個人的にはこれまで韓国ミュージカルに出演したことはありますが、脚本と音楽と、韓国人クリエイターだけで作られた作品に出演することは初めてなので楽しみにしております。小林さんの演出には凝ったシーンがたくさんありますので最後にお客様がどんな気持ちで劇場をあとにされるのかとても楽しみにしています! 劇場でお待ちしております。

エハラ:今回のキャストの皆さんは歌唱力も本当に素晴らしいですし、場の空気を作る力が凄くて緊張していました。僕が演じるジョンソンという役は、今までやってきたどのコントよりもクセがすごい役なので、ぜひ千鳥さんに観に来てほしいです(笑) この中では異質な存在で、かなりインパクトの強いキャラクターなんですが楽しんでいただけたらなと思っています。

中桐:1ヶ月半しっかり、作品と役に向き合ってきたので、ようやくお客様に観ていだたけるということで、すごくワクワクしてますし、稽古を通して本当に素晴らしい素敵なキャストさんに囲まれているんだなと改めて実感しました。幕が空くのがすごく楽しみです。頑張ります。

加藤:今作でグランドミュージカルに初挑戦しましたが、個性豊かなカンパニーの皆さまと一緒に初挑戦を踏めたことがすごく嬉しくて、心より幸せを感じています。こだわりを持ちながらお稽古してきたので、観に来てくださる皆様には色々な目線で観て楽しんでもらえたらと思います。濃密な稽古でしっかり培ってきたものを、初日からぶつけていきたいと思います!

小林:ミュージカルなんですけれども、これ以上ないというぐらいのお芝居の稽古をしてまいりました。 皆さんが本当にお芝居を真摯に作り上げてきたプロセスがあり、それは確実に実っていて、今日の舞台稽古を終えるまで一貫しております。もちろん歌もダンスも楽しんでいただきたいのですけれども、緻密なドラマ作りというのが日本版の見どころではないかなと思っておりますので、 ぜひそれをお客様に早く観ていただいきたいなという気持ちでいっぱいです。

その後、代表質問があり、咲妃と小関の舞台初共演のお互いの印象を訊かれ咲妃が「自分の方が年上だから、頑張って引っ張っていかなければという気持ちが稽古の最初の方でこそあったのですが、その意気込みで臨んだ結果、助けていただくことばかりで、感謝ばかりです」と語ると、小関も「本当に?心配していたんじゃない?」と笑いながら「咲妃さんと呼んでいたところから、対等に話せるよう『ゆうみ』と(咲妃の本名からの愛称)と呼んで欲しいと言っていただいて『ゆうみちゃん』と呼ばせていただくようになりました。背中を見せてくださる方で、1秒も無駄にせず突き進み、歩き続けている姿勢を見せていただいています。アンナという人物でやりたいことの芯が通っているので、自分も前に進みながら、初日を迎えてまた全然違う景色がたくさん見られるんじゃないかと、楽しみにしています」と自らも初日に期待を抱いていることを感じさせていた。

また咲妃と宝塚歌劇団で同期生だった花乃は「10代で出会った時から、彼女は40名いる同期の中で、必ずスターになると期待されていたエースだったので、同期でありながら、自分自身がいい緊張感を持てる、尊敬する女性でした。実際に今回がっつりお芝居をしてみて、その気持ちが増しました。本当に素晴らしい役者さんだなと思いますし、お芝居をしている時以外のカンパニーの中での居方、皆さんとのやり取りを見ていても、本当に素敵な女性だなと思っています。今回ご一緒できて本当に嬉しいです」と語ると、咲妃が泣く仕草を見せながら感謝を表していた。

田代は改めて女装している役柄について訊かれ、「まず説明が必要です」と語り始め「ローレライというのは自分の役柄の名前ではなく、劇中で花乃まりあさんが演じる役名です。僕が演じる名もなき青年がローレライと恋に落ちるのですが、悲しい結末を迎えてしまい、青年はローレライの思いを引き継いで、『ローレライの丘』という組織を設立し羽根ペンを髪飾りにしている。そういう人物なので、ローレライへの愛がすべての土台になっています」というジェンダーとはまた別の、愛による扮装を説明してくれた。 

ミュージカル俳優として普段から気をつけていることは?と問われたエハラは「ミュージカル俳優として、という質問からいじられている気がする」と笑わせ「今回のふてぶてしい役柄のために、体重を増やそうと思って計画的にもう限界の限界まで暴飲暴食をしましたね。いじめ抜いて作ったこの身体で、舞台を乗り切りたいと思います」と力を込めた。

この舞台に参加して気づいたことを問われた中桐は「お芝居に対しての探求心が皆さん本当にものすごくて。演出の香さんもひとり一人にお芝居がやりやすいように寄り添ってくださり、みんなでこの作品に向かって作り上げてくる。そんな楽しさや、面白さをまたひとつ得られたかなと思います」とホープらしい吸収力を。

ミュージカル初挑戦で、どこに注目してもらいたいですか?との質問に加藤は「小林さんのエネルギーとキャストのエネルギーがぶつかりあってこの『レッドブック』を創り上げてきました。そのひとつひとつが思い出の1ページとなり、作品を創っていく過程がすごく楽しかった」とすべてを注目して欲しいと気持ちを新たにしていた。

また、日本版演出へのこだわりを問われた小林は「ちゃんとお芝居をするということです。そこ間違いないよね?」と全員に確認、全員がうなづくのを受けて「間違いないです。やはり日本版が一番頑張っているところですので、濃密なドラマを見ていただきたいなと思います。また、タイトルの『レッドブック』がいったい何なのか、舞台を観ながらきっとお客様お一人おひとりの中で、『レッドブック』の捉え方が変化していくだろうと思いますので、自分にとっての『レッドブック』が何なのかを、思い出していただけるような作品になってたらいいなと思っています」と、重要な鍵となる言葉もあり、作品観劇への期待が高まる時間だった。

取材・文・撮影=橘涼香

公演情報

ミュージカル『レッドブック~私は私を語るひと~』
 
脚本 ハン・ジョンソク
作曲 イ・ソニョン
演出・上演台本・訳詞 小林 香
音楽監督 桑原まこ

出演
咲妃みゆ 小関裕太 花乃まりあ エハラマサヒロ
中桐聖弥 加藤大悟 伊東弘美 KENTARO 可知寛子 栗山絵美 高井泉名 井上花菜
伊藤広祥 感音 坂元宏旬 シュート・チェン 鈴木大菜 米良まさひろ  池田航汰(Swing) 石田彩夏(Swing)
/ 田代万里生

公式サイト https://redbookjp.com
X アカウント @redbook_jp
Instagramアカウント @musicalredbookjp

企画製作 AMUSE CREATIVE STUDIO
 
【東京公演】
日程 2026年5月16日(土)~5月31日(日)
会場 東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
◎アフタートーク 
①5/20(水)18:00:小関裕太、中桐聖弥、加藤大悟
②5/21(木)13:00:咲妃みゆ、花乃まりあ、エハラマサヒロ
③5/27(水)18:00:小関裕太、中桐聖弥、加藤大悟
④5/28(木)13:00:田代万里生、可知寛子、栗山絵美
 
料金
平日 S 席 14,000円 A 席 9,000円 B 席 6,000円(全席指定・税込)
休日 S 席 15,000円 A 席 9,500円 B 席 6,500円(全席指定・税込)
主催 AMUSE CREATIVE STUDIO、AMUSE ENTERTAINMENT INC.
お問合せ スペース 03-3234-9999(10:00~15:00※休業日は除く)
 
【大阪公演】
日程 2026年6月27日(土)~6月30日(火)
会場 森ノ宮ピロティホール
料金 平日 13,500円 休日 14,500円(全席指定・税込)
主催 関西テレビ放送 / DEAR FIELD / リバティ・コンサーツ / サンライズプロモーション
お問合せ キョードーインフォメーション 0570-200-888
(12:00~17:00/土日祝休業)
 
【愛知公演】
日程 2026年7月4日(土)13:00/17:30 公演 ・ 7月5日(日)12:30 公演
会場 御園座
料金 S 席 15,000円 A 席 10,000円 B 席 7,000円(全席指定・税込)
主催 御園座
お問合せ 御園座・営業部 052-222-8222(平日 10:00〜18:00)
 
シェア / 保存先を選択