安西慎太郎、鈴木勝大、川原一馬、加治将樹が4人の文士を熱演!舞台『絢爛とか爛漫とか』ゲネプロレポート
舞台『絢爛とか爛漫とか』のゲネプロの様子。鈴木勝大、安西慎太郎、川原一馬、加治将樹(右から)。 (オフィシャル提供、撮影=神ノ川智早)
昭和のはじめ、4人の若き文士たちの生き様を描いた舞台『絢爛とか爛漫とか』が、2019年8月20日(火)からDDD青山クロスシアターで開幕した。鈴木裕美が演出を手掛け、安西慎太郎、鈴木勝大、川原一馬、加治将樹による4人芝居だ。初日を前に行われた公開ゲネプロ(総舞台通し稽古)の様子を、オフィシャル提供の写真とともにお伝えする。
※以下、十分に配慮はしておりますが、若干のネタバレが含まれます※
舞台『絢爛とか爛漫とか』のゲネプロの様子 (オフィシャル提供、撮影=神ノ川智早)
初演は1993年。その初演以来、演出を手掛ける鈴木裕美は「この度、21年ぶりにこの戯曲を演出するという機会を得、まず感じたことは『ああ、またあの4人に会えるんだな』という喜びでした。演劇と小説で住む世界は多少違いますが、同じく創作に携わる同志として、掛け替えのない友人として、彼らは常に私の中に居ました」と、初日を前にコメントしている。
その上で、「現代の青年たちを通して、まだ会ったことのない古賀、師岡、泉、加藤(※劇中の登場人物)に出会えたことは望外の喜びです。彼らの息遣いや体温まで感じていただけるような親密な劇場です。私の古くて新しい友人たちにどうぞ会いに来てください」と呼びかけた。
舞台『絢爛とか爛漫とか』のゲネプロの様子 (オフィシャル提供、撮影=神ノ川智早)
舞台セットは、昭和の香りがする日本家屋。障子に、畳に、蓄音機に、本棚にと隅々まで作り込まれている。この舞台は、構成上、春・夏・秋・冬と四季に分かれて物語が進む。舞台セットを見ているだけで、その季節を感じられるのがまたいい(例えば春ならサクラ、夏ならヒマワリといった具合に)。
舞台『絢爛とか爛漫とか』のゲネプロの様子 (オフィシャル提供、撮影=神ノ川智早)
新人小説家の古賀大介役を演じる安西慎太郎。おそらく4人の中で一番起伏が激しく、独白が多い役回りで、ほぼ舞台に出突っ張り。思うように小説が書けないというフラストレーション、情緒不安定な様子...。安西は、古賀が背負っているさまざまな思いを全身で表現していた。舞台上でも思わず目で追ってしまう、独特な魅力があった。
そんな安西は初日を前に「ついに幕が開きます。正直、胸の高鳴りが凄いです。ドキドキ、ワクワクしています。カンパニー全員で過ごしてきた時間を信じ、手を取り合い、とにかく楽しんでやっていきたいと思っています。ご観劇頂けるお客様楽しみにしていて下さいませ」とコメントをしている。
舞台『絢爛とか爛漫とか』のゲネプロの様子 (オフィシャル提供、撮影=神ノ川智早)
鈴木勝大が演じる批評家志望の泉謙一郎。文学とオンナのことをインテリっぽく熱く語る泉は、批評家志望ということもあり、4人の中で一番、冷静さがあるが、茶目っ気を感じる場面も。鈴木は、そんな泉のことをよく立体的に表現していたと思う。
初日を前に、鈴木は「今回の作品では、1ヶ月稽古を経た今でも芝居中に新たに見つけることが多くあります。なので、これから始まる本番の期間の中でも、舞台上の古賀・諸岡・加藤を見て想定していなかったような感情を抱くのかもしれないなとワクワクしております」と語り、「観劇にいらしてくださる皆様にも舞台上の四人と過去の自分が結び付くような素敵な瞬間がきっとあると思います。是非、楽しみにいらしてください」。
舞台『絢爛とか爛漫とか』のゲネプロの様子 (オフィシャル提供、撮影=神ノ川智早)
自称耽美派小説家・加藤常吉役を演じるのは、川原一馬。いやらしくない、自然と、気品と女らしさを醸し出すのがうまい。川原は、加藤常吉が本来持つ温かみや母性を十二分に表現していた。
川原は「いよいよ初日です。ドキドキします。この作品は、上質な芝居というものを意識して稽古させてもらってきた作品なので、部屋に置いてあるものから細かい動作、4人の中で繰り広げられる会話一つ一つを楽しんでいただけたらと思います。作品の中で4人それぞれが、その時に起こったことを受けているよう、ギリギリまで僕たち4人も挑戦したいと思います」と話している。
舞台『絢爛とか爛漫とか』のゲネプロの様子 (オフィシャル提供、撮影=神ノ川智早)
そして、非凡な才能を持ち、破天荒な諸岡一馬役を演じる加治将樹。同世代の役者で、加治以上のキャスティングが思い浮かばないぐらい、ハマっていたと思う。貫禄があり、堂々としていて、清々しい演技だった。
そんな加治は「いよいよ本日より『絢爛とか爛漫とか』幕が上がります。今日までキャスト・スタッフ一丸となり、濃密な稽古をしてまいりました。昭和初期の日本、四季折々の音や匂いと共に今を懸命に生きる若者の姿をご覧いただき、今作が皆様の明日への活力となれば、この上ない幸せでございます。これを書いているのは初日の幾日か前。きっと我々初日は心臓バックバクのドッキドキの事と存じます。皆様の笑顔がそれを救う唯一の方法です。ぜひお楽しみくだサイ。そしてご来場心よりお待ち申し上げます」と語る。
上演時間は約2時間10分。どうぞお見逃しなく!
取材・文=五月女菜穂 写真=神ノ川智早(オフィシャル提供)
公演情報
作:飯島早苗
演出:鈴木裕美
出演:安西慎太郎、鈴木勝大、川原一馬、加治将樹
公演日程:2019年8月20日(火)〜9月13日(金)
会場:DDD青山クロスシアター