世界最高峰・メトロポリタン歌劇場の『トゥーランドット』は一生モノの観劇となるはず~METライブビューイング オフィシャル・レポート
『トゥーランドット』 (C)Marty Sohl/Metropolitan Opera
2019年11月15日(金)~21日(木)、ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場(MET)の世界最高峰の最新オペラ公演を大スクリーンで楽しむMETライブビューイング2019-20シーズン第1作目となるプッチーニ『トゥーランドット』が全国公開となる。(※東劇のみ11月28日(金)まで2週上映)
フィギュアスケートやオリンピックの開会式でもおなじみの名アリア「誰も寝てはならぬ」で有名なオペラの大人気演目を、映画・演劇界の名匠フランコ・ゼフィレッリの絢爛豪華な演出と若き天才指揮者ヤニック・ネゼ=セガンの渾身の指揮で創り上げたこのオペラ。METライブビューイング公開を記念して、コンサートソムリエ・朝岡聡氏のオフィシャル・レポートが到着した。
「世界で一番贅沢なオペラハウス」を映画館で堪能
ニューヨークは、19世紀後半以降に豊かな経済力を背景として文化芸術・芸能の拠点として発展してきた「富と芸術の幸せな結婚」の街である。中でもメトロポリタン歌劇場(MET=メト)は「世界で一番贅沢なオペラハウス」といっても過言ではない。
オペラハウス (C)Jonathan Tichler/Metropolitan Opera
約4000名収容のスケールの大きい劇場には、人気と実力を誇る世界中の歌手が集結し、話題作や人気作がシーズン中ほぼ毎晩上演される。2006年からは、そのオペラ公演を高画質・高音質の映像で世界中の国々へライブ配信を開始した。それがMETライブビューイング。映画館の客席がそのままオペラの特等席になるのだ。
舞台裏のドラマも楽しめるライブビューイング
10台以上のカメラを駆使して収録される舞台は、歌手の細やかな表情や動き、衣装やセットの美しさまで余すところなく伝えてくれる。さらに幕間には、主演歌手やスタッフのインタビューもあって、興味深いスターの素顔や本音、知られざる舞台裏事情も知ることが出来る。これがまためっぽう面白い!もちろん全て日本語字幕付きだ。
舞台裏インタビューの様子 (C)Marty Sohl/Metropolitan Opera
劇場芸術に興味はあっても、まだ実際のオペラを観たことがなければ、まずはライブビューイングへ行くことをお薦めする。心ときめく本物のエンタテインメントがあなたを待っている。しかも今シーズンの開幕第1作はプッチーニ『トゥーランドット』。METの魅力を味わうには最高の演目ではないか。
巨匠ゼフィレッリの絢爛豪華な舞台で聴く「誰も寝てはならぬ」
絶世の美女にして冷酷無比なトゥーランドット姫と王子カラフの物語は、緊張感をはらんだ壮大な愛のドラマでありファンタジー。プッチーニの音楽は、大編成のオーケストラを駆使した宇宙的広がりを持っていて、聴く人の魂を揺さぶる。トリノ・オリンピックで荒川静香選手の金メダル獲得の音楽となり、いまやテノールのアリアで知らない人はいないほど有名な「誰も寝てはならぬ」も実際のオペラの中で歌われる時の感動は格別だ。
今回の演出は、今年亡くなったイタリアの巨匠ゼフィレッリが手掛けた豪華絢爛なプロダクションなのも見どころ。台本に描かれた世界を美しく調和のとれた舞台に仕立てるのみならず、スペクタクルの要素も取り入れて観る者を圧倒する。スペクタクルの要素も取り入れて観る者を圧倒する。
『トゥーランドット』 (C)Marty Sohl/Metropolitan Opera
オペラは音楽だけでなく、物語としての文学、芝居をする意味での演劇、衣装やセットなどの美術、照明…様々な芸術が重なり合う「総合芸術」ゆえに他の追随を許さぬ濃密な美を体感できる。世界最高峰のMETの『トゥーランドット』を観ればそれが納得できるし、何より一生モノの感激となるはずだ。
さぁ、開幕は近い!
METライブビューイング2019-20 プッチーニ《トゥーランドット》予告映像
(コンサートソムリエ 朝岡聡)