『松竹新喜劇 錦秋特別公演』大阪松竹座で初日開幕 『大阪の 家族はつらいよ』でスピード感ある掛け合いに劇場が沸く
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大阪の家族はつらいよ
2019年11月13日(水)大阪松竹座で、『松竹新喜劇 錦秋特別公演』が初日を迎えた。令和となって初となる大阪松竹座での松竹新喜劇は『舞妓はんと若旦那』『大阪の 家族はつらいよ』の二本立てとなる。
『舞妓はんと若旦那』は、昭和初期の初演以来たびたび上演されてきた歴史ある作品で、想い合う若い二人とそれを取り巻く祇園の人々の騒動を、松竹新喜劇らしく笑いたっぷりで描いている。劇団の財産演目として二代目渋谷天外や藤山寛美などが演じてきた役に、若手劇団員が挑戦することでも話題の本作品。植栗芳樹演じる若旦那・要二郎と成瀬綾乃演じる舞妓・清香の微笑ましいやり取りから物語は始まる。清香に密かに想いを寄せる宮大工の新吉は、外部公演でも抜擢が続く渋谷天笑。かわいい息子と舞妓との結婚をそう簡単に認められない母・お甲は、二人に見せかけの心中をさせて清香の想いを図ろうと企む。そんなこととは露知らず、愛する要二郎に言われるがまま偽の毒薬を飲む清香の恋の行方を、観客も固唾をのんで見守った。一方、滑稽な場面では客席から大きな笑いがおこり、若手劇団員らの奮闘に惜しみない拍手が送られた。
舞妓はんと若旦那
舞妓はんと若旦那
舞妓はんと若旦那
舞妓はんと若旦那
舞妓はんと若旦那
また、『大阪の 家族はつらいよ』は、「男はつらいよ」を手掛けた山田洋次と、大阪松竹座を本拠地として人情喜劇を上演し続けてきた松竹新喜劇が初めて力を合わせて作る作品。脚本・演出助手に関西の演劇界を牽引するわかぎゑふが加わり、大阪色たっぷりで描き出された。長年連れ添った夫婦の旦那が突然、離婚届を突き付けられることから一家はてんやわんや。大阪弁で繰り広げられるスピード感ある掛け合いに、たびたび客席に笑い声が響く。見ている老若男女いずれもあてはまる、実体験と重なる部分や出来事が多く描かれ、身に染みる場面も多数。改めて家族について考えさせられる場面では客席から感嘆の声が漏れ聞こえた。また、離婚問題に頭を悩ませる渋谷天外演じる父の周造に対して、曽我廼家寛太郎演じる次男の泰蔵が愛嬌溢れるコミカルな言動を繰り広げるなど、くすりと笑ってしまう松竹新喜劇らしい場面もあり、映画、劇団新派の『家族はつらいよ』を観た人も新たな気持ちで観ることができる作品となっている。公演は11月24日(日) まで。
大阪の家族はつらいよ
大阪の家族はつらいよ
大阪の家族はつらいよ
大阪の家族はつらいよ