講談師・神田松之丞が、あうるすぽっとで“新春連続読み『畔倉重四郎』完全通し公演2020”を開催
2020年1月4日(土)~15日(水)、講談師・神田松之丞が、あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター/東池袋)にて、“新春連続読み『畔倉重四郎』完全通し公演2020”を開催する。
“講談界の風雲児”“百年に一度の天才”など数多くの異名を持ち、独演会は満席続き、ラジオ、テレビ、映画の吹き替えやナレーションなどメディアに登場する機会もますます増え、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの松之丞は、2020年2月11日、真打に昇進すると同時に、神田派の大名跡・六代目 神田伯山(はくざん)を襲名する。
近年、松之丞は、毎年1月を講談の本流と信じる“連続物”を読む会に充てており、あうるすぽっとでは、2019年1月の通し公演『慶安太平記』に続く2作目となる。講談師として、最も伝えたいと願う芸の真髄が詰まった5日間は、“松之丞として最後の連続物”の通し公演となる。
『畔倉重四郎』は、松之丞が2017年1月に初めて連続読みに挑戦し、2019年5月に、 姉弟子の神田阿久鯉と二人で読んだ作品。博打で身を持ち崩し、恩人を惨殺したことを皮切りに「気に入らないヤツ、邪魔なヤツ」を次々と手にかけ、大岡越前守に「こいつらだけは許せない」と言わしめた大悪党三人のうちの一人の物語だ。
松之丞は、途切れることのない緩急自在な語り口と巧みな張り扇のリズムで物語を引っ張り、演劇的とも言える演技性の高い会話表現によって登場人物に息を吹き込む。客席は、情熱的でドラマチックな迫真の語りに息をのみ、ぐんぐんと引きつけられ、また、 マクラ(本題に入る前の語り)がエンターテインメント性も高くわかりやすいため、初心者を置き去りにすることがない。自らを講談界の“呼び屋”と位置付ける松之丞は、 「講談は絶滅に瀕している。“絶滅危惧職”である」と笑いをまじえて訴えながら、この日本の伝統話芸を後世に残すため、八面六臂の活躍で講談の魅力を伝えている。
講談師 神田松之丞 新春連続読み『慶安太平記』完全通し公演2019(会場:あうるすぽっと) より 撮影:橘 蓮二
講談師 神田松之丞 新春連続読み『慶安太平記』完全通し公演2019(会場:あうるすぽっと) より 撮影:橘 蓮二
講談師 神田松之丞 新春連続読み『慶安太平記』完全通し公演2019(会場:あうるすぽっと) より 撮影:橘 蓮二
豊島区出身で、あうるすぽっとに縁の深い松之丞が挑む、“松之丞として最後の連続物”の通し公演に注目したい。
神田 松之丞 メッセージ
(2019年1月『慶安太平記』公演時 挨拶文より一部抜粋)
正直、大変だと思います。五日連続で通う。
でも、 通ったお客様は納得して頂けると思います。 あぁ、 なるほど大変だったと。 (笑)
でも何かしらの達成感はあると思います。
そして大きな事に気付いて頂けると思います。【講談は連続物が面白い】のだと。
考えてみれば、【講談というのは連続物が柱である】と、うちの師匠の神田松鯉が言い続け実践したのは、 講談界にとって大きな光でした。
〈中略〉
私がこの会をする理由は、単純で。私自身も、講談は連続物が面白いと思っているからです。
一人でも多くの人に、 同じ思いがこの五日間を通じて共有できたら幸せです。
東京都豊島区生まれ。 2007年、 三代目神田松鯉に入門。 2012年、 二ツ目昇進。 持ちネタの数は140を超え、 若くして『寛永宮本武蔵伝』『慶安太平記』『天保水滸伝』『畔倉重四郎』などの“連続物”や、 “端物(一席物)”と言われる数々の読み物を異例の早さで継承した講談師。 著書「絶滅危惧職、 講談師を生きる!」(新潮社/聞き手・杉江松恋)「神田松之丞 講談入門」(河出書房新社)を発売し、 メディアに多数出演するなど講談普及の先頭に立つ活躍をしている。 2020年2月11日、 真打昇進と同時に神田派の大名跡・六代目 神田伯山を襲名予定。 日本講談協会、 落語芸術協会所属。
2017年「平成28年度 花形演芸大賞」銀賞、 2018年「第35回 浅草芸能大賞」新人賞、 2019年「平成30年度 花形演芸大賞」金賞など多数受賞。