相島一之が語るミュージカル『フランケンシュタイン』ーー「役者の持つエネルギーが充満している」
相島一之
2017年に日本で初演され、大反響を呼んだミュージカル『フランケンシュタイン』。メアリー・シェリーの同名小説に大胆な解釈を加え、叙情豊かな音楽でミュージカル化。メインキャストは全員1人2役で、全く正反対の人物を演じることも話題になった。正義と悪、愛と憎しみ、表と裏など、人間の内側に潜む二面性をむき出しにした傑作で、年明け早々に再演される。
ミュージカル『フランケンシュタイン』
ビクター・フランケンシュタイン博士と固い友情で結ばれるも、のちに博士の手によって「怪物」となるアンリ。主演のビクター博士/ジャックは中川晃教・柿澤勇人、アンリ/怪物は加藤和樹・小西遼生と、それぞれWキャスト。1幕でビクターを慕う婚約者ジュリアの厳格な父ステファンを、2幕で闘技場に出入りする守銭奴フェルナンドを演じた相島一之は、再演も同役で登場。相島にとって初のグランドミュージカル出演となった大切な作品は、長い役者人生において確実に好影響を与えたと話す。
初演で東京・日生劇場に初めて立った相島。「ミュージカルの聖地に立たせていただいて、本当に素敵な劇場でびっくりしました。何と言えばいいのか、神様がいるような劇場でしたね。尚且つ、ミュージカルは全く初めてだったのに、共演者の皆が僕を受け入れてくれて。受け入れてもらえなかったら僕は今、ここにいません。その後、ミュージカル『マイ・フェア・レディ』にも出演させていただくのですが、おそらくこの経験がなければやっていないと思います。とても素敵な仲間に出会えて、一緒にできたことは本当に大きな経験です」
相島一之
ミュージカル以外の舞台が主軸の相島は、初演の閉幕後、共演者と顔を合わせる機会が少なかったという。「この3年で、共演者の皆さんも様々な経験を培われていると思うので、そういう姿は本当に刺激になります。私も『マイ・フェア・レディ』にピッカリング大佐という重要な役で出させていただいて、ミュージカルの経験値を増やすことができました。30年、演劇をやってきましたが、そのキャリアの中で「ミュージカルもやらせてもらっています」と言ってもいいぐらいにはなったかなと思います」
本公演での特徴の一つである2役については「現実にはないぶっ飛んだお話だから、存分に遊べるんです」と楽しそうに語る。「抜群に楽曲が良い。かっこいいミュージカルナンバーを生オーケストラでパーン! と歌い上げる中での2役は、演じ分けるしんどさよりも演じる喜びがあります。私の役は、厳格な父親と、金と女のことしか考えていない高利貸し。しかも、高利貸しのフェルナンドはコスチュームも派手で。衣装合わせで初めて着たときはテンションが上がりました(笑)。再演でも、キャストそれぞれが与えられた2役をどう演じるか、そしてどう遊ぶかということがテーマになっていくと思います」
突き抜けた悪を描いた2幕は、1幕で描かれるストイックな世界からの解放感に満ちていると言う。「救いようもない、本当に悲惨な物語ですが、役者が持っているエネルギーが楽曲に乗って、劇場に満ちあふれている。正反対な2役を当てはめることで、意図せずキャストが弾けている。その弾けたエネルギーがこの物語の暗さを凌駕していると思います」
ビクターとアンリを演じるキャストの組み合わせで、作品の質感が変わるのも見どころだ。「不思議なもので変わるんですよね。演出は同じなのに、キャストが持つ何かが匂い立ってくるんでしょうね。役へのアプローチの仕方、捉え方も人それぞれ異なりすごく面白いです。なかなか不思議な作品なので、ぜひ劇場でご覧になってください。すごく満足されると思います!」
ミュージカル『フランケンシュタイン』は1月8日(水)より東京・日生劇場で幕を開け2月14日(金)からの愛知公演を経て、2月20日(木)から24日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールで上演される。
公演情報
■日時:
■脚本/歌詞:ワン・ヨンボム
■潤色/演出:板垣恭一
■訳詞:森雪之丞
■音楽監督:島健
ビクター・フランケンシュタイン/ジャック:中川晃教 柿澤勇人 ※Wキャスト
アンリ・デュプレ/怪物:加藤和樹 小西遼生 ※Wキャスト
ジュリア/カトリーヌ:音月 桂
ルンゲ/イゴール:鈴木壮麻
ステファン/フェルナンド:相島一之
エレン/エヴァ:露崎春女
朝隈濯朗 新井俊一 岩橋 大 宇部洋之 後藤晋彦
白石拓也 当銀大輔 丸山泰右 安福 毅
江見ひかる 門田奈菜 木村晶子 栗山絵美 水野貴以
宮田佳奈 望月ちほ 山田裕美子 吉井乃歌
■公式ホームページ:https://www.tohostage.com/frankenstein/index.html