小林亮太&島太星が織りなす新たな解釈 ミュージカル『フランケンシュタイン』 ゲネプロ&囲み取材レポート

レポート
舞台
2025.4.11

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ゴシックロマンの名著『フランケンシュタイン』を大胆なストーリー解釈で描き、流麗かつメロディアスな音楽をのせた韓国発のミュージカル『フランケンシュタイン』中川晃教/小林亮太(Wキャスト)、加藤和樹/島太星(Wキャスト)、花乃まりあ鈴木壮麻松村雄基朝夏まなとといった実力派が揃って作り上げる2025年版『フランケンシュタイン』が2025年4月10日(木)より開幕した。

中川晃教&加藤和樹ペアに続いて、小林亮太&島太星によるゲネプロが行われ、ビクター・フランケンシュタイン/ジャック役を務める中川晃教と小林亮太、アンリ・デュプレ/怪物役の加藤和樹、島太星による囲み取材も開催された。

ゲネプロレポート

共に初参加の小林亮太&島太星は、初々しさがありつつも安定した演技と歌唱を見せ、彼らならではのビクターとアンリの関係性を表現している。それぞれのアプローチを興味深く楽しめると同時に、中川・島ペア、小林・加藤ペアではどんな『フランケンシュタイン』が生まれるのかにも期待が高まった。

小林演じるビクターは、若さゆえの勢いや未熟さと人間味を感じさせる。過去の“呪い”や境遇に苦しみながらも無邪気に“生命創造”という夢を追いかける青年を好演。アンリを生き返らせると決めたビクターが歌う「偉大な生命創造の歴史が始まる」では、神に挑みかかるような強い意志が伝わってきた。闘技場のオーナー・ジャックを演じる場面では、軽薄な雰囲気と不敵な表情がハマっている。

対する島は、青臭いが紳士な雰囲気、明るいシーンでも寂しそうな瞳が印象深い。その一方で、死刑を前にして歌う「君の夢の中で」はどこか希望が感じられる。怪物になってからは、幼い子供のような純粋さと復讐を誓った後の冷徹さのギャップが見事。二人とも、若者らしさと大人びた雰囲気を両立させており、純粋ゆえの歪さが魅力的なペアという印象を受けた。

また、二人以外のキャストは共通だが、ビクターを支える執事のルンゲと姉のエレン、怪物とカトリーヌの交流など、キャラクター同士の関係や距離も少しずつ変わってくる。コミカルなシーンで見せるアドリブのようなやりとりにも個性が出ており、全パターンの組み合わせを見たくなった。

囲み取材レポート

――初日を前にした意気込みを教えてください。

中川:いよいよこの日がやってきたという気持ちです。昨日和樹さんとゲネプロをやって今日が初日。いいステップを確実に踏めています。カンパニー、クリエイターの皆さんというチームあってのことだと感じています。感謝を込めて挑みます。

小林:昨日のゲネプロを拝見し、僕らも今日ゲネプロをやりました。改めてとんでもない作品だなと(笑)。初演から続けてきたお二人に僕らが参加し、新たに丁寧に、2025年の風をもった『フランケンシュタイン』をお届けできたらと思っています。

加藤:ついに初日、楽しみしかありません。5年ぶりの再演でもあるし、新たなメンバーも加わって、生まれ変わった作品をお届けできるかと思います。私自身この作品のファンなので、二人(小林・島)のゲネを見て「最高!」と思いました。新たなアンリとビクターが生まれた感動を早くお客様にもお届けしたいです。

島:日本版に出演できるのがとても嬉しいですし、アッキーさんと和樹さんが作り上げてきた大切な作品をいい意味で新しくできたら。皆さんも楽しみに見にきてくださるでしょうね。

一同:(笑)。

島:楽しみにしていてください! 頑張ります!

――中川さんと加藤さんは3回目の出演です。

加藤:新たな組み合わせも見てほしいです。新鮮さがあって、また違う作品のような感覚になります。

中川:僕らもその違いにヒリヒリしながら挑めます。この作品はノンストップで見られますし、そこに日本のクリエイターの皆さんが参加している。高みを目指す準備は万全です。

加藤:3度目ということもあって、稽古では新たなものをと考えすぎたところもありました。原点に立ち戻って新鮮な気持ちで臨みたいと思います。

――小林さんと島さんから、お二人はどう見えましたか?

島:大好き! お芝居も歌唱もですが人間性も素晴らしくて。かっこいいですし、今日の初日を見たお客様もきっとすごく喜んでくれるんだろうなと思いました。

小林:稽古場ではいろいろなアドバイスをしてくださいました。お二人が初演から積み上げてきたものがあるので、僕と太星くんがいかに濃い時間を過ごしてバトンを繋いでいけるか。烏滸がましいですが、先輩たちと肩を組んでやらせていただけた時間だと感じています。

――皆様へのメッセージをお願いします。

島:本日、初日開幕となります。絶対に幸せと素晴らしいエンタメをお届けできると思います。皆さんぜひ見に来てください。

加藤:いよいよ開幕です。この作品を心待ちにしてくれているファンの方も多いですし、今回初めて見る方もいらっしゃると思います。見ている方も辛くなるシーンがたくさんありますが、何かを持って帰ってもらえるはず。素晴らしい楽曲たちを全身で感じていただけたらと思います。

小林:今の時代、手元で完結してしまうことも多いですが、劇場には僕らがいて生でお芝居を届けます。ぜひ皆さんに一歩踏み出していただいて、僕らの『フランケンシュタイン』をお届けできたらと思います。

中川:今でも忘れません、初演の時にお話をいただいたのは僕のデビュー15周年のタイミングでした。公演に先立って、怪物を生み出す瞬間のナンバーである「偉大なる生命創造の歴史が始まる」をコンサートで披露したんです。まだ脚本が完成する前で物語のことはわからなかったけど、この楽曲ひとつでビクターのこと、怪物の気持ちを想像できました。ミュージカルはお芝居、身体表現、音楽などの総合芸術です。ミュージカル界にさまざまな方が入ってきてより盛り上がっている今だからこそ、この作品がもつ素晴らしさを届けられるような公演にしたいと思います。

 

本作は2025年4月10日(木)より東京建物Brillia HALLで開幕。2025年5月5日(月)・6日(火)には愛知県芸術劇場大ホール、5月10日(土)。11日(日)には茨城県・水戸市民会館 グロービスホール、5月17日(土)~21日(水)は兵庫県・神戸国際会館 こくさいホールでも公演が行われる。

取材・文・撮影=吉田沙奈

公演情報

ミュージカル『フランケンシュタイン』
 
<キャスト>
ビクター・フランケンシュタイン/ジャック(Wキャスト):中川晃教/小林亮太
アンリ・デュプレ/怪物(Wキャスト):加藤和樹/島 太星
ジュリア/カトリーヌ:花乃まりあ
ルンゲ/イゴール:鈴木壮麻
ステファン/フェルナンド:松村雄基
エレン/エヴァ:朝夏まなと
 
笠原竜司 栗山絵美 石川新太
松村曜生 三木麻衣子 齋藤桐人 宇部洋之 山田裕美子
宮野怜雄奈 半澤 昇 荒木啓佑 りんたろう 伊宮理恵
吉田萌美 松田未莉亜 江見ひかる
杉山真梨佳 荒川湧太 田中真由

SWING
高木裕和 大川 永

リトル・ビクター 鈴木琉音 下永龍正
リトル・ジュリア 森田みなも 杉山穂乃果
 
【クリエイティブ&スタッフ】
音楽:ブランドン・リー
脚本/歌詞:ワン・ヨンボム

潤色/演出:板垣恭一
訳詞:森 雪之丞
音楽監督:島 健
音楽監督・歌唱指導:福井小百合
振付:黒田育世 当銀大輔
美術:乘峯雅寛
照明:高見和義
音響:佐藤日出夫
衣裳:十川ヒロコ
ヘアメイク:宮内宏明
擬闘:渥美 博
音楽監督補/歌唱指導:福井小百合
指揮:田邉賀一
稽古ピアノ:八木淳太 森 俊雄 久野飛鳥
オーケストラ・コーディネイト:東宝ミュージック
振付助手:政岡由衣子
演出助手:髙野 玲
舞台監督:松井啓悟
制作:荒川ちはる
プロデューサー:塚田淳一(東宝)/住田絵里紗(ホリプロ)
 
オリジナルプロダクション:ワン・ヨンボムプロダクション
製作:東宝/ホリプロ

【公演スケジュール】
【東京公演】 2025年4月10日(木)~4月30日(水)東京建物 Brillia HALL
【愛知公演】 2025年5月5日(月)~5月6日(火) 愛知県芸術劇場 大ホール
【茨城公演】 2025年5月10日(土)~5月11日(日) 水戸市民会館 グロービスホール
【兵庫公演】 2025年5月17日(土)~5月21日(水) 神戸国際会館 こくさいホール
公式X(旧Twitter)= https://x.com/musical_franken
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