巨人戦東京ドームグルメ2019ベスト5!
photograph by Yasutaka Nakamizo
「野球は間を楽しむ」スポーツである。
いきなりなんだかよく分からない一文から始まっているが、“間”とは言い換えれば非効率な無駄な時間である。様式美と言ってもいい。我々は皆、日常ではスマホの通信速度とか電車の移動時間とか効率性を求めながら、球場では無駄を受け入れるのだ。
安くてお手頃なコンビニ飯じゃなくわざわざ並んで球場グルメを食ったり、800円もする生ビールを売り子から買う。だいたいテレビならタダ同然で見れるのに、数千円のを購入する。無駄をいかに楽しむか? それがプロ野球観戦の醍醐味だと思う。だって、選手の防御率とか打率とか覚えること自体が人生において無駄な行為だからね。
「それじゃあ坂本勇人の今季打点数が明日の国語のテストに出ますよ」って出ないよそんなの。マジ偉大なる無駄。でも楽しい。海の向こうじゃ申告敬遠に続いてワンポイントリリーフ禁止とか危うい雰囲気が漂ってきたけど、いつまでもそんな心の中のザ・グレート・ムダを大事にしていきたい。
というわけで、今回のコラムでは2019年に東京ドームで食べた球場グルメの勝手にベスト5を発表しようと思う。選手は猛スピードで入れ替わり5年もすればほとんど別のチームだが、球場飯の選手プロデュース弁当も毎年激しい生存競争が繰り広げられている。いつかじゃなく、今。食いたいと思ったときに食わないと泣きを見る。あ、下ネタじゃなくてね。
では、早速ランキング発表といこう。まず第5位は亀井善行プロデュース弁当『亀ちゃんのスペシャルおつまみ弁当 Part2!!』(1550円)。基本的に球場の選手弁当はボリュームがエグい。まるで部活動でひと汗かいたあとの男子高校生向けみたいな脂っこさだ。だが、この亀ちゃん弁当はご飯少なめでおかずが多め。鶏天には「子どもが食べれんかったら嫌やしな」と抹茶塩をチョイスする優しさも亀井らしい。酒のツマミにも合い、子どもから大人まで食べられる全体的にバランスがいい味だ。まさに背番号9のプレーさながらの安定の弁当である。
ご飯が少なめで豊富なオカズを楽しめる亀井弁当
続いて第4位は岡本和真の『TAPIOKAMOTO~いちごミルク ver.~』(650円)。自分のような中年男にとって日常でタピオカは遠い。どう考えてもレッドブルと王将の餃子の方が身近だ。でも、ちょっと飲んでみてぇなあ。けど、軟弱なタピ野郎と思われないか……。そんな時に「俺はタピオカじゃなく岡本に興味があってこいつをチョイスした」なんてエクスキューズが効く一品だ。いちご味を「ムッチャうまいっすよコレ!」と絶賛する2年連続30本塁打を達成した若き4番に乾杯。
いちごミルクとタピオカのアベックアーチ級の美味さ
さて、第3位は毎度おなじみ『東京ドームモナカアイス』(300円)。小学生の頃、東京ドームに初めて来て食べた時と同じくモナカが歯にくっつく懐かしの仕様と味。時の流れとともにプロ野球も俺も変わっちまった。でも、モナカアイスは変わらない(パッケージデザインは変わったけど)。サイフにも優しい値段で、なんか買っちゃうこの感じ。バニラとチョコがあるが、個人的にはバニラ味がオススメだ。席に座ったままで、売り子から買えるというのもポイントが高い。デートでおネエちゃんにさりげなく奢ったらモテる(本当かよ)。昭和、平成、令和と生き抜いた東京ドーム伝統の味をぜひお試しあれ。
座席で野球を見ながら売り子から買えるのも高ポイント
ここで一息ついて、番外編を。今季限りで引退したレジェンドたち。阿部慎之助プロデュース弁当『最高です!!あべんとう~豪快漢飯 ver.~』(1550円)は肉、揚げ物、ガーリックライスとまさに男飯。なんだけど、満腹になりすぎて試合中に眠気が襲うこともあるので要注意。このボリュームを継承するのは、やはりビッグベイビー仕様の特大ウインナーが話題の『岡本和真のスラッガー弁当!!』だろう。
肉と揚げ物が豊富なザ・男飯!
もうひとり、シーズン中の突然の引退でファンを驚かせた『上原浩治 魂のアボカドチーズドッグ』(650円)は……正直に書くと、東京ドームは昔からホットドッグが絶望的に不味い。買った瞬間からソーセージが冷えてたり、パンもヘナヘナだ。調理方法に制約があるのは分かるが、先発ローテだけでなくホットドッグの戦力補強もジャイアンツの課題のひとつである。
いつかまた上原投手コーチとして巨人復帰を…
ランキングに戻り第2位は原辰徳監督プロデュース『原監督のヘルシー和懐石重』(2000円)。値段も強気だが、それよりこの弁当紹介動画をみてほしい。「うん、日本の食が凝縮してる感じがあるね。その中でヘルシーさが出てるしね。ここにもち麦がプラスされると画期的なお弁当になるね。むっふっふっふ。おいしいもの食べる時って笑うんですね。おいしい。ホントおいしい! 完璧」なんつって若大将が球界最強の食レポを披露する。さすが選手時代に7社掛け持ちでCMに出まくっていただけある。顔芸も含めポテンシャルが桁違い。あのタツノリスマイルで「もち麦」を連呼されると、本当に美味しく感じるから不思議だ。ちょっと贅沢気分を味わいたい日にぜひ、むっふっふっふっ。
豪華さでは独走のタツノリ弁当
さあ、ついに独断と偏見で選ぶ東京ドームグルメも第1位の発表! ハイ、ドン!『丸佳浩×ピザーラ 丸の“丸型”ホームランミートピザ』(1100円)。今年最も球場で食べたスタジアムグルメ。いつ買ってもほっかほっかのアツアツで座席で食べるのに大きさもちょうどいい。付属の特製アイオリソースがパンチが効いていてまたデラ絶品だ。冷えたコーラと組み合わせるとスガコバコンビのように相性抜群。クセになる美味しさ。思わず心の中でかます丸ポーズ。
特製アイオリソースもMVP級の仕事だ!
広島からやって来た背番号8は40本塁打の2番坂本を助け、序盤は打撃不振の4番岡本を救っただけじゃなく、東京ドームグルメの戦力アップにも大きく貢献したのである。
ありがとう、丸佳浩。おめでとう、ホームランミートピザ。
See you baseball freak……
コーラとの相性の良さもたまらん!