劇団「こまつ座」クラウドファンディングを公開 劇作家・井上ひさしの遺した言葉、演劇を次世代に繋ぐ
劇団「こまつ座」が、『READYFOR(レディーフォー)』にてクラウドファンディングを公開した。
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2020年3月から5月の短期間で、『イヌの仇討』、『きらめく星座』、『雪やこんこん』3つの公演が中止(一部中止、 延期を含む)となり、その損害額は7千万円以上に及んだ。
しかし多くの演劇人たちがそうしているように、こまつ座は次に来たる機会のために、座付作家・井上ひさしの「記憶せよ、抗議せよ、そして、生き延びよ」の言葉を日々反芻し、 これまで通り、淡々とぶれない意志を持ち、先行きが見えない未来に予定されている公演『人間合格』、『私はだれでしょう』の準備を進めている。この活動を継続させていくため、クラウドファンディグ公開に踏み切ったとのことだ。
『私はだれでしょう』前回公演(2017年)舞台写真より
『私はだれでしょう』前回公演(2017年)舞台写真より
こまつ座代表 井上麻矢メッセージ
井上麻矢
こまつ座は37年もの間、ずっと井上ひさしの作品を世に出し続けて参りました。
今年は井上ひさしの没後10年にあたります。「今、 もし生きていたらこの時代をなんと言ったでしょうか」とよく質問されます。質問をされることはとても嬉しいのですが、私たちはいつもこう答えます。「ぜひ劇場でその答えをお聞きください」と。なぜそう答えるのかと言えば、演劇は「記憶の再現装置」だからです。今では聞くことができない過去からの声なき声を再現して行くことは、未来の私たちにとって大切な事だと信じています。
戦後75年が経過して、この国が歩んだ歴史を、演劇を通して体感して頂く…。過去に生きた人たちの声を再現してそれを伝えていく、それが私たちの大きな使命です。言葉と人を大切にした井上ひさしの戯曲、それに関係する作品を上演し演劇空間に現れる時間のユートピアを出現させる事、それを全うして参ります。
今後も井上ひさしの声を届けるために皆さんのあたたかいご支援をお願い申し上げます。