宮崎駿監督の漫画を舞台化した『最貧前線』 オーディオドラマ版として配信決定
「オーディオドラマ版 『最貧前線』-宮崎駿の雑想ノート-より」
2020年6月26日(金)より水戸芸術館HPにて、「オーディオドラマ版『最貧前線』-宮崎駿の雑想ノートより」を配信することが発表された。
『最貧前線』とは、2019年に水戸芸術館ACM劇場のプロデュースにより、内野聖陽、風間俊介、溝端淳平ら出演で上演された舞台。宮崎駿監督が描いた『宮崎駿の雑想ノート』(模型雑誌「月刊モデルグラフィックス」に1980~90年代に不定期に連載)を原作とし、水戸芸術館ACM劇場芸術監督の井上桂が脚本、一色隆司が演出を務めた。
今回の企画は、新型コロナウィルス感染症の蔓延で多くの公演がキャンセルとなり、現在もかつてのように作品を上演することができない状況が続いているが、このまま事態を傍観していいのか、と水戸芸術館のスタッフたちが立ち上げたもの。演劇制作の経験と人脈と人材を繋げれば、オーディオドラマが作れるのではと思い至り、さまざまなアイデアを元に、昨年取り組んだ舞台版『最貧前線』のオーディオドラマ化をスタジオジブリや宮崎監督に相談したところ、賛同を得ることができ、今回の制作がスタートしたそう。
オーディオドラマ版は、舞台版とは異なり、新しい視点の物語となる。今回は、舞台版の制作過程で書かれた「トライアル台本」をベースに、舞台版でも登場した「見習い」(原作でも少し描かれている)の視点で、物語を描く。舞台版のテイストも活かしつつ、舞台を観た方にも、初めて本作品に触れる方にも、楽しく聞けるようになっているそうだ。
配信日程は、第1話が6月26日(金)15時よりスタートとなり、全7話まで順次届けられる。企画・脚本は舞台版と同じく井上が、そして演出は壤晴彦が務める。また出演は前田旺志郎、山本龍二、鳥山昌克、春海四方、安達勇人、福本伸一、山口森広、杉木隆幸、柳家花緑、近藤芳正ら。水戸芸術館HP内の「おうちで水戸芸術館」特設ページより、全話無料で視聴可能だ(7月26日(日)までの期間限定)。
昭和19年、太平洋戦争下の鄙びた小さな漁村。若者はすべて徴兵され、村に残ったのは中高年と女子供ばかりだが、戦時下ながら日本近海で漁にいそしみ、大漁という喜びもまだ噛みしめられる日々だった。14歳の見習いは、吉祥丸に乗り込んで、日々先輩漁師たちから一人前になるべく仕事を学んでいた。しかし、そんな小さい船にも徴用の電報が飛び込んできた。明後日までに全乗組員ごと横須賀軍港に来いというのだ。一体どんな仕事をさせられるのか、吉祥丸は不安を抱えたまま、家族との別れもそこそこに、急ぎ指定された横須賀に向かうことになった。
そこで知らされたのは、吉祥丸は特設監視艇という軍艦となり、海の見張り役として海の最前線でアメリカ軍の動向を監視する任務につくということだった。軍艦として改装された吉祥丸は、新たに乗り込んできた艇長と二人の水兵を加え、指定の海域に向かうことになる。航海経験に乏しい軍人たちは、鯨を潜水艦と間違えたり、天候を読み違えたりして、海の達人である漁師たちとことある毎に対立する。しかし漁師たちの知識や行動力に、軍人たちは一目置くようになり、次第に信頼感を芽生えさせていく。
しかし戦況は厳しく、日本のはるか南方面に配置された監視艇部隊は全滅し、吉祥丸はその穴埋めに同郷の漁船・三鷹丸とともに激戦地の南方に派遣されることになってしまう。そこに現れたのは、日本本土を空襲に向かうB29の大編隊。そして吉祥丸のような監視艇すら根こそぎ沈めようとる別動する攻撃部隊だった。
果たして吉祥丸は帰ってこられるのだろうか。
配信情報
「おうちで楽しむ水戸芸術館」
https://www.arttowermito.or.jp/entry/ouchi
第1話 2020年6月26日(金) 15時配信開始
第2話 2020年7月3日(金)
第3話 2020年7月4日(土)
第4話 順次配信 *詳細は水戸芸術館HPで決定次第お知らせします
第5話 順次配信 *詳細は水戸芸術館HPで決定次第お知らせします
第6話 順次配信 *詳細は水戸芸術館HPで決定次第お知らせします
第7話 順次配信 *詳細は水戸芸術館HPで決定次第お知らせします
※7月26日までの期間限定の無料配信です。
企画・脚本:井上 桂 (水戸芸術館ACM劇場芸術監督)
演出:壤 晴彦
音楽:久米大作 (舞台版『最貧前線』より)
Special Thanks:スタジオジブリ、東京三光
出演:
前田旺志郎、山本龍二、鳥山昌克
春海四方、安達勇人、福本伸一、山口森広、杉木隆幸/
柳家花緑・近藤芳正
COVID-19 対策 公共劇場緊急共同企画:
水戸芸術館ACM劇場・神奈川県立青少年センター・KAAT神奈川芸術劇場・穂の国とよはし芸術劇場PLAT・サントミューゼ(上田市交流文化芸術センター)・りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・兵庫県立芸術文化センター・大和市文化創造拠点シリウス
企画・製作:公益財団法人水戸市芸術振興財団