山本裕典らが男女完全入替で悲劇を描く! 舞台「夜の姉妹」ゲネプロ
舞台「夜の姉妹」
劇作家・演出家である、わかぎゑふが作り上げたゴシックホラーの名作「夜の姉妹」が12月11日(金)から、品川プリンスホテル クラブeXにて上演される。その前夜となる10日(木)同劇場でゲネプロが行われた。
本作は、劇団リリパットアーミーⅡ20周年記念の際に上演された作品で、舞台は19世紀初頭のドイツ、バーデン大公国。そこへフランスからオペラ「椿姫」を書いたアレクサンドル・デュマという女流作家がやってくる。
そこで、バーデン大公国の皇太子、ラインハルトに出会い、やがて親友になる。ラインハルトは恋人ローザとの結婚を両親、特に母王妃から反対されていた。さらにはラインハルトを跡取りにしたくないという動きもあり…。デュマはいやがおうにもこの騒動に巻き込まれていく。
バーデン大公国に起きた悲劇を、物語はそのままで、男優と女優の配役をそっくり入れ替えた男女完全入替劇となるのが本作の醍醐味。男性が女性を演じることでより繊細さが表現され、逆に女性が男性を演じることで大胆さが引き出され、その結果、悲劇がさらにクローズアップされていくのだ。
「夜の姉妹」
夜の森の中のような青白い光がこぼれる三方囲みの舞台。登場した二人の女性が子守り歌のように言葉をつむぐ。それはまるでこの物語の悲しい結末を暗示させるような…。
登場したのは山本裕典演じる“女流作家”デュマ。その高身長での女性姿はバーデン大公国の娘たちとは実に対照的。一人で自由気ままに生きている女丈夫といった風情だ。対する皇太子ラインハルト役の彩乃かなみは、その小柄で華奢な容姿だからこそ、守ってあげたくなるはかなげな王子様を十二分に体現している。
レディとしての教育を受ける女生徒たち。静止画ではこんな感じ(笑)だが、ナマで動いている様はまさに「女子」!実にチャーミングで、ある意味本当の女子より女子らしい。
「夜の姉妹」
そこに粟根まこと、黄川田将也といった何か秘密を胸に秘めた大人の「女性」たちが絡んでいき…王妃を演じる八代進一の妖しい美しさは一見の価値あり。
「夜の姉妹」
「夜の姉妹」
「夜の姉妹」
開演後、とても悲劇とは思えないくらい笑いが止まらない場面が次々と続く。ところが後半、逃げ場のない現実に皆叩き落される。気が付くと元の性別のことなどすっかり忘れ、物語世界にハマっていることに気が付く。皇太子そして大公国を揺るがす残酷な血の悲劇。まぎれもなくこれは悲劇だ。そして実に面白い作品だ。ぜひ一度ナマでこの面白さを体感してほしい。
「夜の姉妹」
■公演日程・会場:
2015年12月11日(金)~12月20日(日) 品川プリンスホテル クラブeX
2015年12月23日(水・祝)~12月27日(日) 近鉄アート館
■脚本・演出:わかぎゑふ
■出演:
山本裕典
彩乃かなみ 佐藤永典
平野良 宮下雄也 原嶋元久
菊地美香 黄川田将也 八代進一
近江谷太朗 粟根まこと 他
■公式サイト:http://www.nelke.co.jp/stage/yorushii/