COMBO12・20新宿FACE大会直前!山本SUN&荒川GMインタビュー 新人・佐藤将太の奮闘に期待 コロナ禍での開催も「不安よりも楽しみ大きい」
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移り変わりが早いプロレス界において、小規模ながらも12年間興行を続けてきたCOMBOが、2020年の総決算として12・20新宿FACE大会を開催する。メインイベントでは、山本が矢口壹琅、佐藤将太と組んで、長井満也&TAKAみちのく&大和ヒロシの強力トリオを迎え撃つ。大会に向けて、団体代表でもあるレスラーの山本SANと、荒川公光ゼネラルマネジャーにこれまでのCOMBOの歩みと大会の見所を語っていただいた。
COMBO=集合体 プロレスの間口を広げるのがコンセプト
――COMBOを知らない方もいらっしゃると思うので、改めて団体のコンセプトを教えてください。
荒川:COMBOという名前は“集合体”という意味なんです。プロレスや格闘技に“暴力的”とか、“血が出る”とか、そういうイメージを持って、食わず嫌いの方も多いですよね。そんな中で、間口を広げて、老若男女いろんな人たちに見てもらいたいというのがコンセプトです。
――具体的にはどんな試合を行っているのでしょうか?
荒川:例えば、第1試合は毎回『COMBO笑激情』という“正義の味方vs悪者”のヒーローショーのようなストーリー仕立てになっていて。他にキックルールの試合もあります。「プロレスには行ったことがない」「友達に無理矢理誘われてきた」という方たちにも「今まで思っていたプロレスの概念とは違う」と感じてもらうことが必要だと昔から考えているんです。そういうスタイルは邪道だって考える方もいるかもしれませんが、プロレスを食わす嫌いのままでいてほしくないと。もちろん後半にはプロレスファンの方たちにも満足いただける通常の試合も組んでいます。そうやって間口を広げたプロレス団体を目指してずっとやってきました。
――それが“集合体”という言葉に繋がるわけですね。
山本:僕たちが昔見ていたプロレスには、タイガーマスクというスーパースターがいたじゃないですか。あの頃は子供から大人まで幅広い層の観客が集まっていました。うちの団体としても、その頃のように、子供が来ても楽しんでいただけるような興行を目指しています。
――今年で旗揚げ12周年となりましたが、これまでの手応えはいかがですか?
荒川:200~300人規模の小さい会場でずっとやってきているんですが、団体のファンがしっかりと定着してくれていて。自分たちのコンセプトを貫いてきたことによって間口が広がり、様々なところからお声がかかって、お台場や羽田空港でも大会を行うことができました。今やいくつあるのかわからないぐらいプロレス団体がある中で、ひとつの名前でずっとやってこれたのは嬉しい限りです。応援してくださるお客様や関係者の方たちには感謝しかないですね。
――今年は新型コロナウイルスの影響で、各団体難しい舵取りを迫られています。COMBOとしてはどうでしょう?
荒川:会場側に規制が入り、やむを得ず5月の大会は中止になってしまいました。ゴールデンウィークには去年に続いて羽田空港で試合をという話もあったんですが、それもコロナの影響で見送りになったんです。エンタメ業界がちょっとずつ動き出した段階で、8月にようやく大会を開催しましたが、その時は物凄くいろいろなことを考えました。今回は新宿FACEということで、規模も少し大きくなるので、新宿区とも感染予防に関してお話をさせていただいて、「この条件であればやってもらっても構わない」ということになり、今年の集大成となる大会が開けることになりました。
――選手の立場としては?
山本:対策は尽くしているんですが、試合になると、どうしても接触することになるものですから。試合前の体調管理はみんな気をつけていますね。
――現状、お客さんは声援を送れず拍手中心の応援スタイルで、興行全体の雰囲気も変わっていますよね。
山本:今までにない状況に不安はありますけど、お客さんに喜んでもらうという意味では逆に楽しみでもあります。それぞれの団体がいろんな楽しみ方を考えている状況ですけど、「うちでは何ができるのか?」と。選手はみんなやる気が高まっています。あとは、会場でどれだけお客さんにその気持ちを伝えるかだと思いますんで。
【第1試合】COMBO 笑激情「直しちゃった!の巻」
<AGGREGATIONvs極黒惨>
Angee&MlHOんだ☆ラウジー&スペルアルコン&ザ・フライトマン&オリンピア2021vsクレーン・ユウ&サンダーG&ブラック3&怪人ピエロん&怪人カルボンガーZ
――ここから各試合の見所を話していただければと思います。第1試合は先ほどお聞きしたように、AGGREGATION(アグゲーション)と極黒惨(ぶっこくざん)の抗争というエンタメ系のカードになるわけですね。
荒川:そうです。ある意味、裏メインとも言われていて。
山本:クレーン・ユウさんがリーダーとなり、怪人を作り出して立ち上げたのが極黒惨というチームなんです。
荒川:クレーン・ユウさんが作り出した怪人ピエロんという選手がいたんですが、昨年9月の新宿FACE大会でAGGREGATIONに壊れてしまい……。それがようやく1年かけて直して復活するという物語があるんです。
――それで「直しちゃった!の巻」というタイトルになると。クレーン・ユウさんの暴れっぷりはいかがですか?
山本:4年前に復帰された時よりも体調がよくなって、今ははるかにパワーアップしてますね。
荒川:チェーンは使いますし、一斗缶も使いますし、往年の極悪同盟の頃とほとんど動きは変わりません。観に来た方は本当にビックリしてますよ。
【第2試合】COMBOキックルールマッチ/10分1本勝負
<COMBO ちょい悪おやじ軍団vsレッドドランカーズ>
シゲKING&丹波麟&RIKIYAvsセダーTAKUYA&赤羽秀一&DAI
――キックルールによる6人タッグマッチというのも珍しいですよね。
荒川:他にはないと思います。空手ベース、キックボクシングベース、ムエタイベースとそれぞれ選手によって違うんですが、3~4年前に軍団が確立して、ちょい悪おやじ軍団とライバルであるレッドドランカーズの抗争がずっと続いています。今回はその集大成になるんじゃないかと。
山本:ちょい悪おやじ軍団はCOMBOを守ると言いつつ、団体の中で好き勝手にやっているような連中なんです。そこに「そういう状況じゃダメだ」と外から入ってきたのがレッドドランカーズで。
――特に注目の選手は?
山本:ちょい悪おやじ軍団と特に激しくやり合っているのがセダーTAKUYA。前回はKO勝ちしているので、集大成となる今大会でも勝利してやろうと意気込んでますね。元プロボクサーの寺尾新の弟子なんですよ。
荒川:もともとケージボクシングのチャンピオンなんです。
山本:レッドドランカーズがちょい悪おやじ軍を倒すのか。それともちょい悪おやじ軍が外敵を返り討ちにするのか。それが今回の見所ですね。
【第3試合】
4WAYマッチ/30分1本勝負
筋王vs男盛vs唯我様vsASUKAMA
――この4WAYマッチもなかなかの面子ですね。
荒川:今回はタッグマッチでもいいかなと考えたんですが、あまりにもひとりひとりのキャラが濃いので、だったら4WAYにしてしまおうということになりました。
山本:唯我は今年でデビュー20周年なんですが、男盛も15周年なんです。
荒川:実は記念試合なんです。
――筋王選手はどんなレスラーなんですか?
山本:もともと第1試合のAGGREGATIONに守護神として出ていた選手なんですが、それが今回は色物揃いの第3試合に名乗りを挙げた形なんです。
荒川:ギリシャから来たレスラーということで、ヘラクレスのようなマッチョな体なんですよ。
――それで「筋王」という名前だと。そこに、WWEのASUKA選手をオマージュしたASUKAMA選手が加わるわけですね。
荒川:ASUKAMA選手はもともとプロレスラーとして実力のある選手なので。試合内容は本当に想像つかないです(笑)。うちらとしてもどうなるかわからないですね。
【第4試合】タッグマッチ/60分1本勝負
舞牙&スーパー・タイガーvsデッドフランティック&X
――天龍プロジェクトなどで活躍していた舞牙選手は、COMBO所属として復帰してからちょうど1年になります。
山本:この1年、自分自身で様子を見ている感じなんです。復帰した直後は不安が残るような感じだったんですが、体調も良くなっていて、8月大会はいい試合をしてました。その8月大会でスーパー・タイガーとデッドフランティックが一騎打ちをしているんですが、タイガーの反則勝ちだったんです。デッドフランティックはCOMBOにおけるスーパー・タイガーにとってのブラックタイガー的存在なんですよ。
――スーパー・タイガー選手をライバル視していると。
山本:そうです。その試合を見て、舞牙が「こんな試合するんじゃねえ。だったらスーパーと組んで俺がやってやる」と意思表示したので組んだカードなんですね。ただ、対戦相手のデッドフランティックが「俺がパートナーを選んで連れてくる」と言ってまして、発表が「X」になっているんです。
――舞牙選手とすると、このタイミングでスーパー・タイガー選手とタッグを組むのは大きなチャンスとなりますね。
山本:舞牙としてはいつまでもコンディションに不安がある部分を見せたくないでしょうから。本人は「体調は完全に直った」と言っているので、セミファイナルで今の状況を全て見せてほしいですね。
【第5試合】6メンタッグマッチ/60分1本勝負
<COMBO軍vsスポンサーズ>
山本SAN&雷神矢口&佐藤将太vs長井満也&TAKAみちのく&大和ヒロシ
――メインイベントは豪華な顔合わせになりました。COMBOのスポンサーが立ち上げた第三勢力・スポンサーズを正規軍が迎え撃つという形になります。
山本:ストロングスタイルプロレスの中でできたんですが、矢口さんとゴールデンロッカーズというタッグチームを組んでまして。そこにうちの若手で、今一番頑張っている佐藤将太が加わる形になります。8月大会では佐藤と自分と組んで、長井満也&大和ヒロシと戦ったんですが、佐藤が自分の実力を出し切れない状態でした。ただ、気持ちは高ぶっていて、前回も試合後に大和選手にシングル戦を要求したぐらいなんですよ。でも、大和選手としても「そういう時期ではないだろう」ということだったので、今回はゴールデンロッカーズとして佐藤をフォローする形になりました。
――TAKAみちのく選手の存在も気になるところですね。
山本:TAKA選手もCOMBOに参戦していただいたことがあるんですが、最近はなかなか呼ぶ機会がなかったところでスポンサーズのほうが「そっちが呼ばないなら、こっちが呼ぶよ」と直接声をかけて。まさか相手選手になるとはこっちも思っていませんでした。
荒川:この3人が組むというのは、他の団体でもまずないですよね。
山本:チームワークはうちのほうがいいと思うんですよ。そこで、若い佐藤を僕たちが上手く使えるかどうかが試合のキーになるんじゃないかと考えています。
――山本選手は2月大会で佐藤選手と直接対戦もしています。成長具合はどう感じていますか?
山本:対戦したのはあの時が初めてで、組んだのも前回が初めてなんです。2月の時点では思ったより上達が早いなと。それもあってタッグを組んだんですが、長井&大和組に押されることは多かったですけど、新人の枠にはもう入らないんじゃないかと感じる成長を見せてくれました。今回の試合は佐藤にとっても今後の試金石になると思います。
――単純なチャレンジマッチで終わってほしくないところです。
山本:そうなんです。僕らから見るとかなり強力な相手になってしまったんで、ここで佐藤がどれだけ力を発揮できるか。勝ち負けじゃないと思うんで。
荒川:どれだけ食らいついて、自分の存在感を出せるかというのが見所だと思います。
山本:もちろん負ける気はないですから。コンビネーションでは自分と矢口さんが勝っているんで、そこで佐藤をフォローして、勝利を掴み取りたいと思います。
――ゴールデンロッカーズとしては、コロナ禍の影響で組む機会がない状況が続いています。
山本:実際に組むのも久々で。でも、チームワークの部分での不安は正直ないです。すぐでもたくさん試合をやりたいぐらいなんで。やれる場所が限られてしまっているので、チーム力を発揮できないんですけど、それだけのコミュニケーションは取ってきていますから。
来年は所属選手の飛躍に期待 折原vs力も激化気配
――対戦カードを解説していただきましたが、特に見所になるのはどの部分でしょうか?
荒川:団体としてはビッグマッチになるんですが、この1年間の集大成になるので、本当に全試合観ていただきたいです。全てがまるっきり色が違うので、第1試合からメインイベントまで全て注目してもらいたいなと。個人的には男盛15周年、唯我20周年が重なった第3試合がどうなるのかわからないという部分。見所かどうかはわかりませんが(笑)、楽しみではあります。
山本:コロナ禍のこういう状況でのビッグマッチは初めてなんです。各選手、各試合が今のこの世の中の状況にどれだけリンクできるのか。興行を行う立場からすると、そこが一番の楽しみですね。不安よりも楽しみのほうが大きいです。
――来年の展望を聞かせてください。
荒川:今大会に出場していない折原昌夫選手率いるシャドウ軍団というのがいるんです。5月大会が中止になった影響もあって、折原選手は8月、12月と試合に出ていないんですが、「会場にあいさつしに行く」という話が回ってきたんで。本当に来場するかはわかりませんが、来年はCOMBO軍とシャドウ軍、スポンサーズの三つ巴が激化すると思います。そのシャドウ軍に力道山三世の力選手が絡んで来ているんで、2021年はその辺も入り乱れていくんじゃないかと。物凄い楽しみですね。
山本:力選手は折原昌夫と師弟関係にあって、2月大会でも対戦しているんですが、自分の力を全然発揮できず、一方的に潰されちゃったんです。でも、8月大会ではシャドウ軍から勝利していて。2月に負けた不甲斐なさが忘れられず、折原と再び対戦したいとアピールしていて。配信動画でもその思いを語っているんで、それを見たら折原も動くんじゃないかと思いますね。
――三軍の抗争に所属選手がもっと食い込んでいければ面白いですね。
山本:うちには浦野裕太という選手もいるんですが、腕の怪我で欠場していて。でも、すでにトレーニングは再開していて来年は復帰できそうなんです。代表である自分の考えとしては、佐藤将太の頑張り、舞牙の完全復活、そして浦野の復帰。来年に向けて、その3つに期待しています。