ぺぺぺの会が谷崎潤一郎の『春琴抄』を大胆にアレンジ 『春琴抄 -ホワイトアウトする静謐-』を上演
2021年3月12日(金)~14日(日)大阪・あべのハルカス近鉄本店ウイング館9階のSPACE9 において、劇団ぺぺぺの会が『春琴抄 -ホワイトアウトする静謐-』を上演する。
ぺぺぺの会は、2018年11月に発足した、令和時代のあたらしいアートを作ろうとする「ぺ」のヒトビトのあつまり。20代前半の若手メンバーから構成され、現在は、宮澤大和の詩を用いて、ポストドラマ性を強く打ち出しつつも、その潮流に収まりきらないような作品を主に作っている。
本公演はぺぺぺの会にとって新天地となる大阪での上演となり、日本が誇る文豪・谷崎潤一郎の『春琴抄』を大胆にアレンジした、暗闇が劇場内を包み込む「肌で感じる」演劇作品となる。
○演出家・ぺぺぺの会 宮澤大和コメント
フョードル・ドストエフスキー著『地下室の手記』。バンジャマン・コンスタン著『アドルフ』。これまでさまざまな古典小説を原案に、戯作をおこなってまいりました。今回は、日本を代表する世界的小説家でもあります、谷崎潤一郎著『春琴抄』をもとに、舞台芸術を創作します。
ぺぺぺの会では、2018年の発足以来、舞台芸術の枠に留まらない多くのアーティストと交流しながら、独自の「詩の演劇」に取り組みつづけてきました。殊に、『夢の旧作』(2018/07)では詩文が舞台上に黙然と照射される無言劇を、『 楽 園 迫 る 』(2020/12)では詩文を解体し生成した会話劇を、舞台上に描出しました。
今作は、古来より受け継がれる日本文学の口承性を多分に活かすため、『春琴抄』へ大胆に詩的アレンジを施していきます。〈読む文学〉から〈聴く文学〉へ。そして〈目で見る〉から〈肌で感じる〉へ。......これは谷崎文学のなかでも重んじられてきた感覚論です。
目にみえることだけがほんものであると刷りこまれる今日だからこそ、暗がりの演劇空間を創り出す意義が、かならずあるはずです。足下を照らすような暗闇をともに創りましょう。足下を照らすような暗闇をともに肌で感じましょう。
宮澤大和(みやざわ やまと)プロフィール
劇作家・演出家
1995年生まれ。千葉県出身。
早稲田大学入学時から演劇活動を始め、2018年11月にぺぺぺの会を結成。文学性の高い詩的なテキストを紡ぎ、その独創的な演出方法で学生時代から高い評価を獲得している。シアターグリーン学生芸術祭vol.13では、優秀賞を獲得。2020年には『呆然』戯曲賞自由部門を受賞。近年は、朝日新聞「あるきだす言葉たち」に自身の詩が掲載されるなど、活動の場を広げている。