劇団・ぺペペの会、新作『斗起夫ー2031年、東京、年についての物語ー』2022年12月に上演 

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舞台
2022.11.26


2022年12月28日(水)〜12月30日(金)北千住BUoY(東京都足立区)にて、ぺペペの会の新作『斗起夫 —2031年、東京、都市についての物語—』が上演される。

同劇団所属の作家・演出家の宮澤大和が書いた小説をもとに、俳優とのワークインプログレスを経て宮澤が戯曲を書き上げた。

東京という都市を舞台に、さまざまなコミュニケーションの不和や変わりきれない人間性、多くの加害者と被害者とを生んでしまう社会の構造を、東京から生まれ東京によって死んでゆく「斗起夫」を通して描いていく。

作・演出 宮澤⼤和 コメント

1年がかりでつくってきた作品がまもなく上演されます。

この作品は、最初私がひとりで⼩説の形式にして書いて起こし、8⽉のワークインプログレスで、8⼈の俳優に協⼒してもらいながら、⼩説は戯曲になりました。

戯曲をリーディングするのを同世代の劇作家・演出家である神保さん、中島さん、三橋さんにご鑑賞いただいて、その後の座談会では、『⽃起夫』に関することも、また創作⼀般にまつわるようなことも、さまざまな意⾒交換がおこなわれ、⼤変充実した時間を過ごすことができました。

私は、ワークインプログレスでのリーディングと座談会を経て、この作品をさらに良いも のにしていくための⼿がかりを確かに⼿に⼊れました。

ワークインプログレス後、9⽉〜10⽉にかけては、戯曲に対してラディカルな⼿⼊れをすることを厭わず、新バージョンの戯曲(上演台本)を作成しました。

⼿がかりがちゃんとした形になった瞬間でした。

私は、この『⽃起夫』という物語をつくるにあたって、いくつかの犯罪的事例についてをリサーチしました。

リサーチを重ねていくうちに奇妙な感情が⾃分のなかで湧き起こってくるのを感じました。⾃分も、なにかの拍⼦に、もしかしたら加害者と同じ⾏動をとってしまうことがあるのではないか、または、⾃分の家族や友⼈が加害者になってしまったとき、私にはなにができるだろうか、と多少ノイローゼ的な考えをめぐらせながら、私は⽃起夫のかわりに、 ⽃起夫の⾔葉を書き連ねていきました。

報道は、それがマスに向けられたものであればあるほど、被害者の被害を深刻に伝え、加害者を「悪」で塗り潰そうとします。

私が、この『⽃起夫』を通してやりたいことは、多くの加害者と被害者とを⽣んでしまう社会の構造を劇空間にそのまま引き出す、ということです。

そのまま引き出すために私は、過去→現在→未来というふうに流れていく直線的な時間軸とは別のかたちで、この物語を編んでいこうと決めました。社会に充填されている「空気」のようなものを表現するには別の時間軸、つまり⼈間の記憶に基づいてストーリーテリングしていく必要があると考えたからです。

⽃起夫は、どうしても引いた視点から物事を⾒てしまって、それが原因で⾃分は⼈⽣を愉しみきれないのだということを⾃覚します。そして主体的に、⾏動することを⼼掛けるのですが、引いた視点で物事を分析したり、⾃分⾃⾝を監視したりすることからはどうしても逃れることができません。

インターネット、SNS、AI時代の社会と個⼈のありかた。急速に変化を遂げていくテクノロジーと裏腹に、変わりきれない⼈間性。⼈間性を失われつつあるものとして描くのではなく、変わりきれないゆえに問題が⽣じるのだと、ある意味ポジティブに提⽰する強度が、『⽃起夫』という作品には具わっています。

今、この上演台本をつかって、俳優とスタッフと、12⽉の本番に向けて準備を進めているところです。そうやって多くの⼈の視点や⼒を結集していくなかで、この作品はどんどんと良いものになり続けています。

ぺぺぺの会の代表作といえるような作品=傑作をつくる、という闘志の炎はめらめらと燃やしつつも、このメンバーで創作していくこと⾃体のプロセスを噛み締めて、愉しもうと思う今⽇この頃です。

公演情報

ペぺペの会『斗起夫ー2031年、東京、年についての物語ー』
 
【作・演出】
宮澤大和(ぺぺぺの会)
 
【出演】
石塚晴日、佐藤鈴奈、熊野美幸、新堀隼弥(以上、ぺぺぺの会)
飯尾朋花(いいへんじ、山口綾子の居る砦)、宇田奈々絵、小澤南穂子(いいへんじ、山口綾子の居る砦)、小池舞、小林彩、瀧口さくら、中荄啾仁(劇団夜鐘と錦鯉)、はぎわら水雨子(食む派)、松浦みる(いいへんじ、青年団)
 
【スタッフ】
舞台監督:今泉馨 (P.P.P.)、児玉恒士(P.P.P.)
照  明:緒方稔記 (黒猿)
音  響:谷脇南美
作  曲:杉浦未来 (れとろみらい)
映  像:杉浦未来 (れとろみらい)
衣  装:目黒ほのか
宣伝美術:羽田朱音
 
【公演日時】
2022年2/28(水)〜30(金)
12/28(水) 12:00 / 18:00
12/29(木) 12:00 / 18:00
12/30(金) 12:00 ★
★:年越しトークイベントを開催いたします。
上演時間は3時間を予定しております。(途中休憩込み)
 
【場所】
北千住BUoY
所在地:〒120-0036 東京都足立区千住仲町49-11 
 
(前売・当日ともに)】
一般       3500円
U-30(30歳以下)3000円
学生       2000円
高校生以下    500円
 
【ぺぺぺの会HP】
 
【ぺぺぺの会Twitter】
 
『斗起夫 —2031年、東京、都市についての物語—』
世界を、広く、大きなものにしていく——
世界を主体的に生き抜くために、行動を起こし続けることを選択した斗起夫は、父が死んだ日に「運命の人」とめぐり逢う。ぎこちない不自然なコミュニケーションが、人間同士の溝を深め、やがて過去のトラウマを喚び起こす。そして、彼はあることを決意するだろう……。オリジナル小説から産み落とされた精確な筆致、言葉の数々。ぺぺぺの会、渾身の傑作長編。
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