猪野広樹&伊崎龍次郎|守るもののために剣と計略が衝突する、舞台『双牙~ソウガ~』新炎ゲネプロレポート

レポート
舞台
2021.3.6
舞台『双牙~ソウガ~新炎』

舞台『双牙~ソウガ~新炎』

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2021年3月5日(金)シアター1010にて舞台『双牙~ソウガ~』新炎が開幕した。初日に先駆けて行われたゲネプロの模様をレポートする。

舞台『双牙』は2009年10月の初演を皮切りに数回の再演やスピンオフ作品の上演にまでなった、トライフルエンターテインメントが制作する舞台作品だ。約7年ぶりの公演となる今作は過去公演で主演を務めた町田慎吾が演出を担い、猪野広樹伊崎龍次郎による若手俳優の主演で令和の時代に蘇る。

若武者オウカと軍師ツムギ

椎名という小国は、日本の3分の1を手中に治めたゲンシュウ(笠原紳司)軍の勢いに飲み込まれた。「椎名の矛」と呼ばれる若武者・オウカ(猪野広樹)や「椎名の盾」と呼ばれる軍師・ツムギ(伊崎龍次郎)らは新たな支配者の下で生きることになるはずだった。ところが突然怒りを顕わにしたゲンシュウ軍に襲われ、椎名は領主、家老ともども滅ぼされてしまう。

ツムギはシュリノスケ(杉江大志)とやっとのことで椎名の城から脱出するが、その先にもツムギの姉・シズク(小泉萌香)やオウカはおらず、デンベイ(萩野崇)と椎名の姫の姿があった。ツムギは姫から託されたお家再興の想いを背負って、シズクやオウカの捜索に向かうのであった。

舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

猪野の演じるオウカは、ツムギやシュリノスケ、シズクらと居るときの自然な笑顔と、敵方に向ける煌々と揺らめく怒りと闘志を静かに胸に燃やし続けながら振る舞うさまとの差が激しく、非常に印象強い。そんなオウカが敵陣で自分のやるべきことを見つけ、突き進むごとに周りに波紋を呼んでいく。ゲンシュウ軍の将兵であるコウエイやシンパチは、オウカのその輝きに良くも悪くも心を動かされていく。

舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

伊崎の演じるツムギは姉想いで、椎名への恩を忘れない優しい若き軍師である。その才能は敵の軍師・シュゼン(櫻井圭登)にも一目置かれる存在である。のちにオウカと対立することになるが、ひたむきに姉やオウカ、国を想う姿に意志や信念の強さが表情にもあふれている。心を決めてからのツムギはその真っ直ぐさに恐ろしささえ感じるようになる。

舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

ツムギを慕い、常に行動を共にするシュリノスケは明るく陽気なムードメーカー。弱弱しくも見える容姿や言動をするときもあるが、実は強い。彼が守ってきたものが揺らぐとき、ツムギとの関係性やその変化は見もの。シュリノスケの二面性や繊細な心の変化を奇才・杉江が表現する。

舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

殺陣とパルクール

高度なアクションも本作のみどころのひとつだ。そこには演劇界では目新しい“パルクール”の要素が取り入れられており、舞台『プリンス・オブ・ストライド THE LIVE STAGE』でも指導に当たったHAYATEがパルクール演出を担当している。高低差、幅のある足場を飛び越え、舞台を縦横無尽に駆け回り、思わず難しい技であることを忘れてしまうくらい鮮やかで自然な動作である。戦国の世、敵味方入り乱れる殺陣も見逃せない。パルクール同様、一挙手一投足が鮮やかでかっこいい。

舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

もうひとつしっかりと見てほしいのが、キャラ同士の関係性だ。オウカ、ツムギ、シュリノスケ、シズクという椎名の国の4人のみならず、ツムギとデンベイ、オウカとコウエイ、シュゼンとシンパチにも、それぞれが向けるお互いへの想いに気付いたとき、『双牙~ソウガ~』という物語がより一層深く見えてくる。

舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

小国の若者オウカとツムギを中心にそれぞれの守りたいものは何なのか、真摯に心をぶつけ合う。同じ思いを持っていても手段がすれ違えば未来も変わる。王道戦国ストーリーながら、ツムギの計略とオウカが迎える結末は考えさせられるものがある。ぜひ細かいところまで注目してほしい。

舞台『双牙~ソウガ~新炎』は2021年3月14日(日)までシアター1010で上演予定だ。

舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

取材・文・写真:松本裕美

公演情報

『双牙~ソウガ~』新炎
 
【日程】2021年3月5日(金)~14日(日)
【場所】シアター1010(東京都)

【キャスト】
オウカ:猪野広樹
ツムギ:伊崎龍次郎
シュリノスケ:杉江大志
シュゼン:櫻井圭登
シンパチ:中村太郎
コウエイ:田中尚輝
ヒャクタカ:小玉久仁子
 
殺陣衆:
宮川康裕
菅原健志
寒川祥吾
前田りょうが
相田真滉
川島翔太郎
深澤悠斗
古川貴大
遠藤拓海
 
シズク:小泉萌香
デンベイ:萩野崇
ゲンシュウ:笠原紳司
 
【スタッフ】
演出:町田慎吾
脚本:羽仁修
殺陣:六本木康弘
パルクール演出:HAYATE
音楽:TAKA
メインビジュアルイラスト:ワカマツカオリ
主催・制作:トライフルエンターテインメント
 

・電子:8,500円 (全席指定・税込)
※クレジット決済のみ/チケプラ(公式トレード)あり/分配不可
:8,800円 (全席指定・税込)
チケトレ(公式トレード)あり

 
※この度、舞台「双牙~ソウガ~」新炎は、政府および都道府県庁など自治体の新型コロナウイルス感染拡大防止ガイドラインや公益社団法人 全国公立文化施設協会「劇場、音楽堂等における新型コロナウイルス感染 拡大予防ガイドライン」、緊急事態舞台芸術ネットワーク「舞台芸術公演に おける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」に従い、感染予防対策 を講じたうえで公演を実施することを決定いたしました。
感染予防対策の詳細 につきましては改めて公式サイト等にてご案内させて頂きます。
観客の皆さまにおかれましては、ご不便をおかけし申し訳ございませんが、 何卒ご理解のほどお願い申し上げます。
※本公演は客席の50%を使用して上演いたします。
そのため前後左右のお席が空席となります。予めご了承ください。
※座席の振り分けは電子・紙に平等に振り分けます。
 
■お問い合わせ先
に関するお問い合わせ】イープラス http://eplus.jp/qa/
【公演に関するお問い合わせ】トライフルエンターテインメント info@trifle-stage.com
(C)Trifle Entertainment.
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