DDT真夏の大一番! 8・21川崎「WRESTLE PETER PAN 2021」直前、秋山準インタビュー「プロレスに終わりはない。ピリオドは打たせない」
DDTプロレスリングとしては初の屋外でのビッグマッチとなる8月21日(土)富士通スタジアム川崎大会「WRESTLE PETER PAN 2021」。
大仁田厚とクロちゃんが激突する「電流爆破8人タッグデスマッチ」他好カードが並ぶ中、メインイベントは<KO-D無差別級選手権試合>秋山準vs.竹下幸之助が締める。今回、ビッグマッチへ向けて闘志を漲らせる両選手に意気込みを熱く語ってもらった。まず始めに迎え撃つ立場の王者・秋山準インタビューをお届けする。※なおインタビュアーはマスクを着用し、アクリル板越しに接するなど万全の感染症対策の元で行った。
(聞き手:SPICE編集部)
・秋山準(あきやま じゅん) 身長188cm、体重110kg 大阪府和泉市出身 Twitter@jun0917start
ジャイアント馬場のスカウトにより、1992年に全日本プロレスに入団。世界の巨人に直接指導を受けた最後の弟子となる。プロレスリング・ノア移籍後も三冠ヘビー、世界タッグ、GHCヘビー、GHCタッグなど多くのタイトルを戴冠した。2013年に全日本プロレスへ再入団。高木三四郎社長の要請で2020年5月よりDDTプロレスのゲストコーチに就任。7月1日付けでレンタル移籍となった。大石真翔、渡瀬瑞基、岡谷英樹と準烈を結成するなど活躍、2021年2月15日付でDDT所属選手となると共に、ヘッドコーチ就任が発表された。現・KO-D無差別級王者(第76代)。
――秋山選手は現在51歳です。世間的には50歳を超えると病気や怪我がなくても身体がキツくなってくると言われますが体調はいかがですか?
「確かに朝起きたらどこか痛い、みたいなのはありますが、まあ、こんなもんだ、と思ってます。起きてしばらく動いて血流が巡ってきたら普通になりますし、僕は42、3歳の頃より今の方が体調は良いですね。DDTに来て、コロナ禍で減ってはいますが、特に若い子達とコンスタントに試合ができてますし。練習方法とか、食べ物とかも変えたりというのもありますが、体調は良いです」
――ベテラン選手だとダメージが蓄積して、昔出せた技が出せなくなったり、同じ闘いが出来なくなる方も多いですが、秋山選手はそういうイメージがない様に見受けられます。
「昔から多彩な技は出してないというのはあるかもしれませんね(笑)まあ、膝も悪いですけれど、悪ければ悪いなりになんとかやってるので、そんなにファイトスタイルは変わっていないですね。体調管理もありますが、強く産んでくれたお母さん、お父さんに感謝です(笑)」
――8・21大会はDDT初の屋外でのビッグマッチとなります。ここ数日も豪雨が続いておりますが対策は考えてらっしゃいますか?
「対策と言っても天候が相手だと中々難しいですね。外での試合もやった事はありますけが、大きい大会ではやった事がないので。天候にもよると思うんですけれど、晴れててカラッとしてれば普段通りで良いと思うし。湿気とか…雨が降ってしまったら滑るというのもあるので、そこは頭に入れておかなくてはいけないと思いますね」
――2月にヘッドコーチに就任されたという事ですが、今までと特に変わった点、例えば大会全体の事を考える様になったりとか、変化はありますか?
「特に変わった点はないです。コーチとしての仕事は、各選手に僕なりにアドバイスしたり、若い子達の練習を見にいったり、という事ですね。僕も試合しているので、全部の試合を確認して、アドバイスするというのは中々無理ですけれど、僕と試合して当たった子達には試合を通して解ってもらえると思っています」
――先ほどの会見で「10代プロジェクト」が発表されましたが、秋山選手はコーチとして2選手を見てらっしゃるんでしょうか?
「僕が会ったのが1ヶ月ぐらい前で、何度か練習は見させてもらいました」
――特にエル・ユニコーン選手は13歳でデビューという事で、身体の細さに驚かされました。プロレスが出来る身体になっているかどうか心配になったんですが。
「そうですね、確かにまだ身体は細いので、心配は心配ですけれど首はとにかくしっかり鍛えなさいよ、とは伝えています。学業優先ですが受け身に始まって、可能な限りとにかく猛練習していますね。それでも線が細くて急に太くなるものでもないので、僕とか竹下君がやっているような、バチバチの試合に入るにはもっともっと身体を大きくしないといけないとは思います」
<オープニングマッチ スペシャル10人タッグマッチ~エル・ユニコーン&イルシオンデビュー戦 30分一本勝負>
HARASHIMA 吉村直巳 岡田佑介 今井礼夢 エル・ユニコーン
Vs.
岡林裕二 TAMURA 渡瀬瑞基 飯野雄貴 イルシオン
――では他の選手に気をつけてもらいながらのデビュー戦という事にはなりますか?
「当然、他の選手も解ってると思います。相手は13歳、18歳ですから。幅のあるDDTならではの、文化系プロレスのエキシビションマッチみたいな感じで、周りの人間がしっかりサポートしてあげないといけないでしょうね。そこはやっぱり、僕はプロとしての技術だと思うんですよ。2人をしっかり目立たせて、怪我なくリングから下ろすのがプロフェッショナルだと。昔、僕が馬場さんから良く言われていたのが、怪我をするのは三流、怪我をさせるのは二流、っていう事なんですね。だから、その子達が入ってる試合でも、彼らを良い状態でリングを下ろすのがプロの仕事だと思います」
――では怪我をさせてしまったら…
「それはもう、周りのレスラーが二流三流だという事ですよ(笑)」
――今回第0試合で、大仁田厚選手に「クロちゃん」という芸人さんが当たる訳ですが…秋山選手を昔から応援してきた様な古参のプロレスファンの中には気にされる方もいらっしゃると思います。そこはヘッドコーチとしてはどういう風に考えてらっしゃいますか?
<第0試合 電流爆破8人タッグデスマッチ 30分一本勝負>
大仁田厚 高木三四郎 彰人 伊藤麻希
Vs.
クロちゃん スーパー・ササダンゴ・マシン 黒田哲広 乃蒼ヒカリ
「DDTプロレス自体は、前から幅があって文化系プロレスも標榜してやってきてる訳で、従来のプロレスファンとは違う分野の方を引き混むという部分では悪い事ではないと思っています」
――では秋山選手としては楽しんで見たい、という感じですか?
「はい、僕としてはプロレスの技術云々じゃなくて、1つのエンタテインメントとして楽しんで見ようと思ってます」
――馬場さんが全日本プロレスを旗揚げした時の最初のお弟子さんが大仁田選手で、最後の弟子が秋山選手ですが、第0試合とメインイベントに出場するという巡り合わせに感慨はお有りですか?
「感慨っていうものはないですけれども…大仁田さんの電流爆破も、最初に始めた頃と、何十年も経って芸人さんとかを相手にしてる今とでは、全然違うものになっていると思いますし、僕もデビューした最初の頃よりは少しづつ変わってきてますし。源流は馬場さんの王道プロレスなので、興味深く見たいと思います」
――ビッグマッチでお互い頑張りたいという感じですね。では、試合の方ですが、昨年、竹下選手と最初に当たられた時に、3カウントを取れる状態からあえて起こしてギブアップを取られてますね。どん底まで落としてやろう! という意識がおありだったんですか?
■ DDTプロレスリング Ultimate Party 2020
日時:11月3日
会場:東京・大田区総合体育館
<セミファイナル スペシャルシングルマッチ 30分一本勝負>
○秋山準
25分48秒 フロント・ネックロック
●竹下幸之介
「力の差を見せた方が、本人に伝わりやすいと思ったんですね。身体も大きいですし、DDTでは頭1つ抜けた存在だったと思うんです。本人の鼻が伸びていた、とは思いませんが、そこでやはり、DDTだけじゃないんだよ、こういうレスラーもいるんだよ、というのを教えたかったというのはあります。DDTで頑張るのは良いと思うんですけど、外も見てほしかったんですね」
――では今年、竹下選手が海外に出て活躍してきたのは、秋山選手としては思いが伝わった、という感じですか?
「外を見ること、自分と何かを比較する事は凄く良い事だと思いますね。海外もそうですし、外の団体の選手と自分を比較するっていうのは良い事だと思います」
――先ほど会見で、竹下選手の「絶好調」という発言に関して思うところがあったようですが?
「絶好調と言っても良いけど、調子が悪いっていうのは言っちゃいけないって事ですね。それは僕が教えるちょっと前の事なんですけれど。プロレスの技術は教えられてますけど、精神論とか、そういう部分まではまだ伝えてないので。気構えの部分は、彼には初めて言ったかもしれないです。僕はずっと、タイトルマッチに臨む人間が、どこか悪い、どこか痛い、気持ちが落ちてる…そんな事は言っちゃいけないと思ってやってきてます。仮に体調やメンタルが落ちてたとして、それを言ってしまったら応援してるファンの方、見に来るお客さんのテンションも下がってしまうんですよ。怪我をするのは仕方ないと思います。しかしそこは黙って、テーピングでも巻いておけ、と(笑)タイトルマッチに向けて見てる人のテンションを最高潮に持っていく様に、チャンピオンも挑戦者もしないといけないんです」
――そこは今度のタイトルマッチで伝えたい部分ですか?
「いえ、もう伝わってると思いますよ」
――では以前と違って、最近の竹下選手は、自覚が出てきてる。と思われてると?
「はい。これからもっともっと自覚を持っていってほしいですね」
――以前、秋山選手はインタビューで、「DDTというと男色ディーノ選手の名前が出てくる人が多い。そこを竹下選手と言われる様になってほしい」といった趣旨の発言をされていたんですが、準烈としての活動とか、タイトルマッチでディーノ選手を下したり、プロレスファンにはDDTと言えば秋山選手というイメージが拡がっていると思います。そこで今は竹下選手に超えてもらいたいというお気持ちでしょうか?
「そこは竹下君だけじゃなくて、一所懸命やってる若い選手には超えていってもらいたいと思ってます。僕が若かった頃も、僕らの上に、三沢さん、小橋さん、川田さん…皆さん、いらっしゃったんで。だから上にいる人間の技術どうこうっていう部分を超えるという意味ではなく、存在として大きくなってくれば、僕の名前も霞んでくると思うんですよ。竹下君がもっと発信して活躍していけば、いずれ僕の名前が小さくなって、DDTと言えば竹下。っていうのが出てくると思いますね。僕がDDTに来て、最初はディーノ選手達の名前が先に出ていたのを、今は仰る様に僕の名前がひっくり返せてると思ってるんですよ。そのひっくり返したところで、竹下君達が受け継いでくれれば良いと思っています」
――ではやはり、竹下選手には期待してらっしゃる部分は大きいと?
「竹下君はもちろん、遠藤君、樋口君、上野君…みんなに期待しています」
――竹下選手が、「勝って秋山選手との大河ドラマにピリオドを打ちたい」と発言してましたが、秋山選手としてはどうですか。竹下選手の成長を認めたら、別の選手とドラマを考えようというお気持ちはおありですか?
「ピリオドオ打ちたいっていう彼の考えが、別の相手を求めるっていう意味であればそれはそれで尊重しますけれど。ただ、プロレスにゴールは無いんですよ。僕も未だに解らない事もあるし。やってて、いやこれは違う、っていう事もあるし。僕のプロレスにはピリオドが無いんですよ。他の選手に対しても。彼がピリオドを打つていうんであれば、どういう部分に打つのか、それは僕には解らないですけれど。まだまだ…仮に彼が僕に勝ってチャンピオンになる事でトップに立ったとしても、まだまだ、伝えられる事があるだろうし、彼が覚える事、やるべき事も沢山あるだろうし。まあ、試合をやってみれば、どうなるかは解るんじゃないですか。彼が僕とのプロレスにピリオドは打てるのか、打てないのかは。今まで2戦やった僕とは違う僕が川崎のリング上にいると思うんですけれど。ピリオドを打つ、打たないは彼の自由ですが、僕自身はプロレスは終わりのないマラソンみたいなものだと思っていますし、これからも変わらずやっていきます。止める時が、あるいはピリオドなのかもしれないですね」
――では最後にファンの方へメッセージをお願いします。
「絶好調で当日を迎えたいと思うので、体調だけ気を付けてやっています。野外で、見てる方も暑くて大変かもしれませんが、最高の試合をお見せして、なおかつ勝ちたいと思います。是非、会場においでください。時節柄、どうしてもおいで頂けない方は、レッスルユニバース(https://www.ddtpro.com/universe)での配信もありますので、是非ご覧下さい」
――ありがとうございました。
「ありがとうございました」
<メインイベント BLACKOUT presents KO-D無差別級選手権試合 60分一本勝負>
[王者]秋山準
Vs.
竹下幸之介
[挑戦者]
※第76代王者4度目の防衛戦。
※勝者にはDDT公式エナジードリンク「BLACKOUT」販売元の株式会社キャスティングドットジェイピー様より勝利者賞が贈呈されます。
※特別立会人として小橋建太さんが来場。
【対戦カード】
<メインイベント BLACKOUT presents KO-D無差別級選手権試合 60分1本勝負>
[王者]秋山準 vs 竹下幸之介[挑戦者]
※第76代王者4度目の防衛戦。※特別立会人:小橋建太
<セミファイナル DDT UNIVERSAL選手権試合 60分1本勝負>
[王者]上野勇希 vs 佐々木大輔[挑戦者]
※第4代王者7度目の防衛戦
<第4試合 KO-D6人タッグ選手権試合 60分1本勝負>
[王者組]遠藤哲哉&高尾蒼馬&火野裕士 vs 樋口和貞&坂口征夫&赤井沙希[挑戦者組]
※第43代王者組3度目の防衛戦。
<第3試合 スペシャルハードコアタッグマッチ 30分1本勝負>
葛西純&クリス・ブルックス vs 勝俣瞬馬&MAO
<第2試合 ダブルリング・ダブルシングルマッチ 各30分1本勝負>
大鷲透 vs アントーニオ本多/平田一喜 vs 男色ディーノ
※2つのリングで同時に試合を実施。
<オープニングマッチ スペシャル10人タッグマッチ~エル・ユニコーン&イルシオンデビュー戦 30分1本勝負>
HARASHIMA&吉村直巳&岡田佑介&今井礼夢&エル・ユニコーン vs 岡林裕二&TAMURA&渡瀬瑞基&飯野雄貴&イルシオン
<第0試合 電流爆破8人タッグデスマッチ 30分1本勝負>
大仁田厚&高木三四郎&彰人&伊藤麻希 vs クロちゃん&スーパー・ササダンゴ・マシン&黒田哲広&乃蒼ヒカリ
<アンダーマッチ 15分1本勝負>
納谷幸男&中村圭吾 vs 岡谷英樹&高鹿佑也
※アンダーマッチは16:30頃開始予定。