シス・カンパニー『友達』(上演台本・演出:加藤拓也)が開幕~鈴木浩介 浅野和之 キムラ緑子 山崎一 有村架純 林遣都らが安部公房作品に挑む
シス・カンパニー『友達』 (写真撮影:宮川舞子)
シス・カンパニー『友達』(作:安部公房 上演台本・演出:加藤拓也)が2021年9月3日(金)東京・新国立劇場小劇場で開幕した。同公演は26日(日)まで上演の後、10月2日(土)~10日(日)には大阪・サンケイホールブリーゼでも上演される。また、東京公演はライブ配信もおこなわれる予定。配信日時、視聴方法、視聴券の販売方法等の詳細は、後日、シス・カンパニー・ホームページ、Twitter等で告知される。
シス・カンパニー『友達』 (写真撮影:宮川舞子)
原作は戦後日本を代表する作家の一人であり、「シュールで不条理」が代名詞の作家、安部公房の戯曲「友達」。その傑作に上演台本・演出という立場で挑んだのが、演劇、映像両分野で新世代を代表し、常に心をザワつかせる世界観を提示する加藤拓也だ。ここに、意表を突くヴァラエティ豊かな15名の役者陣が集結し、特異で不思議な劇世界の登場人物たちを演じる。
シス・カンパニー『友達』 (写真撮影:宮川舞子)
ひたすら不条理な状況に追い込まれていく「男」を演じる鈴木浩介。そんな彼に迫るのは、祖母:浅野和之(安部公房スタジオ出身!)を筆頭に、父母:山崎一、キムラ緑子、3人兄弟・3人姉妹(林遣都、岩男海史、大窪人衛、富山えり子、有村架純、伊原六花)の9人家族。そこに、内藤裕志、長友郁真、手塚祐介、西尾まり、鷲尾真知子が加わった盤石の布陣が劇空間の緊密度を高めていくのだった。
シス・カンパニー『友達』 (写真撮影:宮川舞子)
開幕にさいして役者4名のコメントが届いたので以下に紹介する。
■男:鈴木浩介 コメント
この戯曲は、僕がかつて所属していた劇団青年座で初演された伝説的な戯曲です。今、こうして「男」という役を演じる機会をいただけるなんて、不思議なご縁を感じています。安部公房作品は初めてですが、演出の加藤拓也さん、共演の皆さんと、とにかくいつ初日が来てもいいくらいの覚悟で、練りに練り、深めに深め、稽古を進めてきました。男の日常があっという間に侵食されていく物語は怖いけれど怖すぎて笑えます。是非笑いながら観ていただきたいですね。
■父:山崎一 コメント
もともと別役実さんが大好きで不条理劇には長く親しんできましたが、安部公房作品は僕にとっては全く質感が違うもの。そこに、初めてご一緒する加藤拓也さんの視点を通して作られたこの世界観です。加藤さんの稽古の進め方から言葉、指示に至るまで初めてのことばかりの稽古場でした。この新世代の”得体の知れなさ“に出会えたこと、探求できたことに、ずっとワクワクし続けている自分がいます!是非、お楽しみください!
■長男:林遣都 コメント
舞台は、僕にとっての鍛錬の場です。そして、稽古は自分の余計な部分を削ぎ落し、時間をかけて芝居を追究できる大好きな場所なんです。今回の作品は、自分の価値観とは違う次元で生きている役で、加藤さんは自分では到底到達できない視点を提示してくださいました。ずっと頭を働かせ、神経を張り詰めて稽古をしてきて、気が付くと1日が終わっている感覚でした。それが何よりも楽しくて、役にも戯曲にも発見がとても多く、それをきちんと自分の身に落とし込んで、毎日の本番に臨みたいと思っています。
■次女:有村架純 コメント
安部公房さんの戯曲が演出家の加藤さんの手によって文字に起こされ、何度台本を読んでも、私の頭だけでは到底理解には辿り着けないだろうと思いながらの稽古でしたが、そんな時間も心底楽しく、カンパニーの皆様と一緒に、無事に初日を迎えました。とても幸せです。男と9人の家族による、正義の分断、正義のぶつかり合い。お客様が観劇し終わったあと、心に残るものがどんなものなのかとても気になりますが、是非余韻に浸っていただけたら、と思います。カンパニーの皆様全員で完走します!
ある夜、ひとりの男(鈴木浩介)の日常に忍び寄る、見知らぬ「9人家族」の足音。祖母(浅野和之)、父母(山崎一・キムラ緑子)、3人兄弟(林遣都・岩男海史・大窪人衛)、3人姉妹(富山えり子・有村架純・伊原六花)から成る9人家族は、それぞれに親しげな笑みを浮かべ、口々に隣人愛を唱えながら、あっという間に男の部屋を占拠してしまう。何が何だかわからないまま、管理人(鷲尾真知子)、警官(長友郁真・手塚祐介)、婚約者(西尾まり)、弁護士(内藤裕志)と、次々に助けを求め、この不条理な状況説明を試みるが埒があかない。しかも、彼らは、どんどん「家族の論理」に加勢していく流れに……。一体、この「9人家族」の目的は何なのか? どこからが日常で、どこからが非日常なのか?この男を待ち受けるのは、悲劇なのか、はたまた救済なのか?