福田悠太(ふぉ~ゆ~)、越岡裕貴(ふぉ~ゆ~)、室龍太、高田翔出演 朗読劇『手紙』 開幕(コメントあり)
(左から)福田悠太(ふぉ~ゆ~)、高田翔、室龍太、越岡裕貴(ふぉ~ゆ~)
東野圭吾「手紙」(文春文庫刊)を原作に、横内謙介が脚本・演出を手掛け、“ふぉ~ゆ~”の福田悠太と越岡裕貴、室龍太、高田翔が出演する朗読劇『手紙』が、2021年9月16日(木)に紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAで開幕した。
本作は、弟・直貴がある相手に宛てて綴った手紙を軸に、強盗殺人を犯し刑務所に入ることとなった兄・剛志から届く手紙や、兄の罪によって直貴の人生に起こるさまざまな出来事を、2人が朗読で進めていく。
それぞれの“大切な人への手紙”を通じて、日常生活を送る直貴の環境や気持ちの変化と、獄中で変わることのない日々を送る剛志の様子が、時折直貴の主観を交えながら丁寧に描かれる。福田と高田、越岡と室の2組が4公演ずつ交互に作り上げる。
初日となる16日(木)は、福田悠太(ふぉ~ゆ~)と高田翔が出演。弟への熱い気持ちを秘めながら、不器用でぶっきらぼうな兄・剛志像を作り上げる福田、大切な人を守ろうとする強さのなかに寂しさを滲ませる弟・直貴役の高田の朗読は、各々が過ごした時間の違いがひしひしと伝わる内容で、観客から大きな拍手が寄せられた。
福田悠太(ふぉ~ゆ~)、 高田翔
続く17日(金)の昼公演には、越岡裕貴(ふぉ~ゆ~)と 室龍太が登場。弟思いで少し世間知らずな雰囲気を持つ兄・剛志役の越岡と、兄の罪によって事あるごとに何かを諦め続けてきた弟・直貴の優しさと切なさを感じさせる室、それぞれが発する言葉の数々は、福田・高田ペアとまた異なる印象を残し、こちらも客席から大きな拍手が送られた。
室龍太、越岡裕貴(ふぉ~ゆ~)
同じ原作・脚本ながら、演じる2人によって作られる別々の空気感や世界観もまた、今回の朗読劇『手紙』の大きな魅力となっている。
本公演は、20日(月・祝)まで同所で上演中。初回公演を迎えた4人からコメントが到着した。
福田悠太(ふぉ~ゆ~) コメント
コロナ禍の中で、無事に初日を迎えられたことは奇跡に近いことで、当たり前じゃないって常に思っていて、改めて大事にしなきゃいけないっていう思いが強いです。噂では聞いていたけど、朗読劇は稽古期間が本当に短い(笑)。横内さんは、役者に委ねてくれる方で、僕が思ったことをまずはやって、これはいいねってこともあるし、別の方向もやってみたらってアドバイスを頂いて、実践したら面白くなったりして。あと、横内さんご自身が楽しんでいらっしゃるのが印象的でした。今回、この朗読劇だからこそ味わえる「手紙」という作品の奥深さ、人間が持っている感情が見られますし、ストーリーは小説と一緒だけど、ここならではの「手紙」になっていると思います。もちろん、「手紙」を読んでいなくても、世界観が十分楽しめる作品です。劇場内は出演者、スタッフ一同感染症対策をしっかり行った上で皆さまをお迎えいたしますので、安心してご来場ください。
越岡裕貴(ふぉ~ゆ~) コメント
初めて朗読劇を観るという方もいらっしゃるので、朗読劇を知ってほしいし、動きが制限される分、声だけのお芝居や声色で心境を伝える難しさを感じながらも、どう届くかが楽しみです。僕は朗読劇が初めてなので、新しい自分を見せることができるんじゃないかなって思ってます。横内さんは懐の深い人で、否定されたことがないんです。つかこうへいさんが根本って伺って、ふぉ~ゆ~の初主演舞台を演出していただいた錦織一清さんもつかさんイズムをお持ちの方でしたので、割と横内さんと共通点があって、勝手に親近感を感じてて、朗読劇じゃない演出も受けてみたくなりました。「手紙」という作品自体、自分に起こりそうで、起こらなさそうな、凄くリアルな話なので、自分が生きてきた中のなにかに照らし合わせることができるのかなって思うんです。この朗読劇ならではの視点で「手紙」を描いているところも魅力的なので、その世界観を楽しんでほしいです。
室龍太 コメント
今回の見どころは、同じ作品なんですけど、それぞれのチームで雰囲気が別物になるところだと思います。こっしゃんさん(越岡)と僕のペアは、「ッぱち!」で培ってきた雰囲気が、「手紙」の兄と弟のときに、ちょっとした空気感みたいなものとして出ていて、楽しんで頂けるんじゃないかなって。横内さんは初めましてだったんですが、役者に寄り添ってくれる方で、ここをこうしたらいいと思うんだけどどう思う?って聞いてくれたりするところが印象的でした。まだ厳しい状況の中で、劇場に足を運んで見に来て頂けるということに心から感謝してますし、この作品から何かを感じ取って、自分の中でプラスになってもらえたらいいなって思ってます。いまは携帯で何でもできる時代ですけど、手紙って素晴らしいものだなって気づいて、手紙を書いてみようかなって思ってもらえると嬉しいです。
高田翔 コメント
朗読劇「手紙」の稽古中は、自分の中でどんどん内に入ってしまう感じがあって、それをどう脱却するかを考えながら取り組んでいました。演出の横内さんは優しい方だし、実際に稽古をしているときに福田くんのお芝居で普通に笑っていたりするんです。あと、声が良くて心地いいなって。だからダメ出しもスッと聞けます(笑)。「手紙」を朗読劇で届ける、という部分はもちろん見どころですし、舞台上は直貴の家の周りが鉄格子で囲われているという、今回ならではの考えさせられるセットになっています。いま、手紙を書く習慣があまりないですけど、“手紙”が大きなテーマになっている作品なので、見たお客さまはきっと誰かに手紙を書きたくなるんじゃないかなって。僕自身も手紙っていいなと思いましたし、ぜひ見に来ていただけたらと思います。
兄貴、元気ですか?これが最後の手紙です。
弟と2人暮らしの武島剛志は、弟の大学進学のための金欲しさに空き巣に入り、思いがけず強盗殺人まで犯してしまう。唯一の肉親が刑務所に入ってしまい、高校生の直貴は突然独りぼっちになり途方に暮れる。
しかし兄が人を殺した事実はあっという間に広がり、直貴は周りの人間の態度の変わりようを痛感しながら残りの高校生活を過ごすことになる。高校の卒業式を控えた直貴の元に、獄中の兄から初めての手紙が届く。それから月に一度、兄から欠かさず手紙が届くようになるのだった。
届く手紙から伺える獄中の兄の平穏な日々とは裏腹に、進学、将来の夢、恋愛、就職と、直貴がもう少しで幸せをつかもうとするたびに、彼の前には「強盗殺人犯の弟」というレッテルが立ちはだかる。「殺人犯の弟」を見る周囲の冷たい目、疎外しようとする態度。
年月が流れ、家族を持った直貴は、さらなる困難に直面し、ついにある決意をする。人の絆とは何か。いつか罪は償えるのだろうか。