遂に開幕、残酷歌劇『ライチ☆光クラブ』! 【ゲネプロ・レポート】
撮影:平田貴章 (C)古屋兎丸/ライチ☆光クラブ プロジェクト 2015
残酷な物語と凄すぎる演技&演出に驚愕! 残酷歌劇『ライチ☆光クラブ』に迫る
12月18日から12月27日まで東京・AiiA 2.5 Theater Tokyoにて開催される残酷歌劇『ライチ☆光クラブ』。まず会場に入ってまず目につくのは、☆が大きく描かれたカーテンの左右の横から覗く廃工場のような舞台のセットだった。そこからすでに物語に入り込むような感覚に陥る。
舞台は、24時間工場の煙が耐えない螢光町という町で、疲れきった身の回りの大人たちを目の当たりにしている少年たちが、あんな醜い大人になりたくない。あんな大人になるならこのままでいたいと望むゼラを中心とした中学生の少年たちによる秘密組織「光クラブ」の中で起こる物語を描く。主演のゼラには中村倫也。「光クラブ」の仲間たちに玉置玲央、吉川純広、尾上寛之、池岡亮介、赤澤燈、味方良介、加藤諒。その他に、東京ゲゲゲゲイのメンバーや皇希、七木奏音といった出演者が舞台を盛り上げている。
撮影:平田貴章 (C)古屋兎丸/ライチ☆光クラブ プロジェクト 2015
舞台が始まってすぐに、光クラブのメンバー全員で揃って歌ったり、踊ったりするシーンが見られる。全員がきっちりと揃った動きを見せて、光クラブの結束の固さを象徴しているかのように感じられる。だが、そんなゼラを中心にまとまりを見せる光クラブの中でも、徐々に綻びが生じて行く。裏切り、恐怖、疑心暗鬼……そんな負の感情が少年たちの心をバラバラにしていき、物語はどんどん残酷な方向へと向かっていく。
撮影:平田貴章 (C)古屋兎丸/ライチ☆光クラブ プロジェクト 2015
そんな残酷さをより際立たせるのは音楽と、役者陣と東京ゲゲゲイのダンスだ。音楽に合わせた激しくも洗練されたダンスには注目してほしい。
仲間たちとの悲しみの物語の中に、エロスを感じさせる艶かしいシーンも登場する。劇中に登場する少女に興奮する男子校の中学生男子のならではの生々しい性事情も、美男子同士の艶めかしさも、ドキドキするようなシーンが盛り込まれている。
撮影:平田貴章 (C)古屋兎丸/ライチ☆光クラブ プロジェクト 2015
撮影:平田貴章 (C)古屋兎丸/ライチ☆光クラブ プロジェクト 2015
そんな舞台にかける思いを主演・ゼラ役の中村さんが語ってくれた。「この1ヶ月、いや、稽古に入るずっと前から、この作品を面白いとか楽しいとかそういう既存の言葉の枠に囚われない“何か凄いもの”にしたいと考えていました。しかしそれは実に険しい道で、いくつもの挑戦と失敗を繰り返しながら、僕たちは今日、初日を迎えます。そしていま、“何か圧倒的な凄いもの”が出来上がりつつあります。原作ファンも、原作を知らない演劇ファンも、皆まとめて魅了できる力強い作品になりました。クリスマス色に染まる12月の渋谷で、是非僕たちの闘争を目撃してください。」
そして、この舞台の演出を手がけた演出の河原雅彦さんは「いろんな意味で『なにもそこまで…』な舞台を作りたいと思い、渾身の力で『なにもそこまで…』の先を行く歌劇を作りました。 全てのキャスト・スタッフがギリギリの状態でお送りするライチ光クラブ。今年最後にどうぞこれでもくらって新年をお迎え下さいませ。」とコメント。
本当に最後の最後まで役者陣の激しい歌、踊り、動き、台詞、そしてびっくりするような演出が続く。息抜きできる場所なんてあまりないような舞台だ。だが、見終わった後は本当に凄かったという気持ちにさせられる素晴らしい舞台になっている。これはぜひ生で舞台を見て、その凄さを感じてほしい。
(C)古屋兎丸/ライチ☆光クラブ プロジェクト 2015
■日時:2015年12月18日(金)~27日(日)
■会場:AiiA 2.5 Theater Tokyo
■原作:古屋兎丸(太田出版『ライチ☆光クラブ』)
■演出:河原雅彦
■パフォーマンス演出:牧 宗孝(東京ゲゲゲイ)
■脚本:丸尾丸一郎(劇団鹿殺し)
■出演:
中村倫也
玉置玲央 吉川純広 尾上寛之 池岡亮介
赤澤 燈 味方良介 加藤 諒
BOW(東京ゲゲゲイ) MARIE(東京ゲゲゲイ)
MIKU(東京ゲゲゲイ) YUYU(東京ゲゲゲイ) /
KUMI(KUCHIBILL)
皇希 七木奏音
■公式サイト:http://www.nelke.co.jp/stage/opera_litchi2015/