英国の美しい物語の世界ー英国の夢 ラファエル前派展

レポート
アート
2016.1.5
ジョン・エヴァレット・ミレイ『春(林檎の花咲く頃)』1859年 油彩・カンヴァス ©Courtesy National Museums Liverpool, Lady Lever Art Gallery

ジョン・エヴァレット・ミレイ『春(林檎の花咲く頃)』1859年 油彩・カンヴァス ©Courtesy National Museums Liverpool, Lady Lever Art Gallery

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英国と聞いたときに、どんなことを想像するだろうか。もし、紳士的なお国柄や、数々の物語の舞台を思い浮かべたなら、この展覧会をぜひおすすめしたい。12月22日(火)~2016年3月6日(日)の間、渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで開催される「英国の夢 ラファエル前派展」だ。

物語が聞こえるような理想の世界

開催日前日の報道内覧会にて、本展担当 上席学芸員の宮澤政男氏によるギャラリートークが行われ、「一枚の絵の中で演劇の深いところまで描いている」というラファエル前派の絵画の魅力を語った。

ギャラリートークで解説をする上席学芸員・宮澤政男氏

ギャラリートークで解説をする上席学芸員・宮澤政男氏

19世紀・産業革命の時代に夢とロマンを抱いた若者7人によって生み出されたラファエル前派の芸術。それまでのアカデミックな誇張や気取りを嫌い、素朴な美しさに返ろうとした。その作品群は単なる肖像画としての人物画とは一線を画し、象徴的なモチーフ使いやドラマチックな人物の表情やポーズで、想像力を掻き立てる表現が特徴的だ。同時期のフランスの写実主義とは異なる独特の世界観は「シェイクスピアの存在が大きいミュージカルの国・英国ならでは」と宮澤氏は語る。

「英国らしさ」が散りばめられた作品たち

饒舌な作品群から聞こえる物語に耳を澄ますうち、まさに夢心地になってしまう本展。タイトルの「英国の夢」はぴったりのキーワードであると同時に、そこには「英国らしさ」という意味も込められているようだ。

まず、絵画の中には理想の男性像が多く登場する。老いてなお輝かしい姿で馬にまたがる老騎士、囚われの姫君を救いに現れる神話の神々ー道徳的で女性を守る騎士道の精神を感じさせる登場人物たちは、紳士の国のヒーローにふさわしい。

ジョン・エヴァレット・ミレイ『いにしえの夢ー浅瀬を渡るイサンブラス卿』1856-7年 油彩・カンヴァス ©Courtesy National Museums Liverpool, Lady Lever Art Gallery

ジョン・エヴァレット・ミレイ『いにしえの夢ー浅瀬を渡るイサンブラス卿』1856-7年 油彩・カンヴァス ©Courtesy National Museums Liverpool, Lady Lever Art Gallery

また、象徴的に描かれたモチーフとして植物が重要な役割を果たしている。いずれも非常に精緻なタッチで丁寧に描かれ、ボタニカルアートのような美しさだ。そこには花言葉の意味や、登場人物の内面が託されていて、ガーデニングの国らしい自然への細やかなまなざしが見受けられる。

チャールズ・エドワード・ペルジーニ『ドルチェ・ファール・ニエンテ(甘美なる無為)』1882年に最初の出品 油彩・カンヴァス ©Courtesy National Museums Liverpool, Lady Lever Art Gallery

チャールズ・エドワード・ペルジーニ『ドルチェ・ファール・ニエンテ(甘美なる無為)』1882年に最初の出品 油彩・カンヴァス ©Courtesy National Museums Liverpool, Lady Lever Art Gallery

3m超えの水彩画など、日本初公開の大作も

本展では、リバプール国立美術館の傑作が日本初公開となる。ラファエル前派としてはじめてまとまった数の作品を見られる絶好の機会だ。中でも、エドワード・コーリー・バーン=ジョーンズの3mを超える水彩画の大作『スポンサ・デ・リバノ(レバノンの花嫁)』や、フレデリック・レイトンの『ペルセウスとアンドロメダ』は門外不出とされてきた大作なので見逃さないでほしい。

エドワード・コーリー・バーン=ジョーンズ『スポンサ・デ・リバノ(レバノンの花嫁)』1891年 水彩、グワッシュ・紙 ©Courtesy National Museums Liverpool, Walker Art Gallery

エドワード・コーリー・バーン=ジョーンズ『スポンサ・デ・リバノ(レバノンの花嫁)』1891年 水彩、グワッシュ・紙 ©Courtesy National Museums Liverpool, Walker Art Gallery

フレデリック・レイトン『ペルセウスとアンドロメダ』1891年 油彩・カンヴァス ©Courtesy National Museums Liverpool, Walker Art Gallery

フレデリック・レイトン『ペルセウスとアンドロメダ』1891年 油彩・カンヴァス ©Courtesy National Museums Liverpool, Walker Art Gallery

展覧会場内はピンクや紫の美しい色調でまとめられ、ウィリアム・モリス柄のソファも英国らしい上品な雰囲気を引き立てている。また、名画を縁取る額も見事なものが多く、ぜひその優美な世界観をたのしんでいただきたい。

展示会場の様子

展示会場の様子

 
イベント情報
英国の夢 ラファエル前派展

開催期間:2015/12/22(火)-2016/3/6(日) *1/1(金・祝)・1/25(月)休館
開館時間:10:00-19:00(入館は18:30まで) 毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)*1/2(土)を除く
開催場所:Bunkamura ザ・ミュージアム
入館料:(当日)[一般]1,500円 [大学・高校生]1,000円 [中学・小学生]700円
主催:Bunkamura、東京新聞
協賛・協力:[特別協賛]みずほ銀行 [後援]ブリティッシュ・カウンシル [協力]KLMオランダ航空、日本航空、ユニリーバ・ジャパン
ホームページ:http://www.bunkamura.co.jp

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