内野聖陽、岡本圭人ら出演で『M.バタフライ』上演決定 演出は日澤雄介
『M.バタフライ』ビジュアル
2022年6月~7月東京・大阪・福岡・愛知にて、『M.バタフライ』の上演が決定した。
あるフランス人外交官が国家機密情報漏洩という大罪を犯すほど愛に溺れた相手は、性別を偽った中国のスパイだった――本作は、この驚愕のニュースに触れた劇作家・デイヴィット・ヘンリー・ファンがその事実をヒントに、オペラ『蝶々夫人』を劇中に取り入れながら創り上げた戯曲だ。ブロードウェイで上演されると、京劇のもつエキゾチシズムや興味深い登場人物たち、そして、重層的な戯曲の構成が絶賛され、1988年トニー賞最優秀演劇賞を受賞。世界30ヵ国以上で上演されてきた。日本では1990年に上演されて以来、32年ぶりの上演となる。
主人公、ルネ・ガリマールを演じるのは、徹底した役の掘り下げに裏付けされた演技力と圧倒的な存在感を放つ、内野聖陽。物語では、投獄されたルネが観客に、自身の「正しさ」を『蝶々夫人』と対比させながら観客に説いていくうちに、やがてその全貌が浮かび上がる。そして、毛沢東のスパイでありながら、京劇女優に身分を偽るソン・リリンは、岡本圭人が務める。アメリカ最古の名門演劇学校であるアメリカン・アカデミー・オブ・ドラマティック・アーツへ留学、帰国後に主演した舞台『Le Fils 息子』では、思春期の絶望と不安に苛まれながら必死でもがく青年を見事に演じ切り、称賛された。この度演じるソンは、性別も身分も、そして京劇女優の立ち振る舞いも表現することが求められ、また新たな挑戦に挑む。
そして、ルネの妻ヘルガは、凛とした佇まいが魅力の朝海ひかる、ソンの監視役の共産党員、チン同志に占部房子、ガリマールの浮気相手役に藤谷理子、ルネの駐在中の上司、トゥーロン役に三上市朗、ルネの幼馴染、マルクにみのすけといった、実力派が揃った。
演出を手がけるのは、劇団チョコレートケーキの座付き演出家、日澤雄介。歴史的・社会的なテーマを掲げた作品を手がけることを得意とする日澤は、会話を中心にていねいに人物を描き出す手腕が演劇界から高く評価されており、第49回紀伊國屋演劇賞 団体賞、第29回読売演劇大賞 優秀演出家賞など、受賞も多数。硬派なテーマを含みつつ、生々しい人間ドラマ、愛の物語をどのように展開させていくのか。
『M.バタフライ』は6月24日(金)~7月10日(日)新国立劇場 小劇場、7月13日(水)~7月15日(金)梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、7月23日(土)、24日(日)キャナルシティ劇場、7月30日(土)、31日(日)ウインクあいち 大ホールにて上演される。
日澤雄介(劇団チョコレートケーキ)コメント
あまりにも荒唐無稽な実話を、劇作のデイヴィット・ヘンリー・ファンは様々な事象を重層的に組み入れることによって、現在我々が拭い切れていない問題にまで昇華することに成功しました。
「蝶々夫人」が生きた国で『M.バタフライ』と向き合う事が我々の立ち位置を明確に照らし出してくれることを期待しています。
妥協を許さない内野聖陽さん、瑞々しい感性の岡本圭人さんをはじめ、個性豊かな職人肌の俳優が揃いました。
7名の俳優がどの様に化学反応を起こしていくか。俳優のぶつかり合いにご期待ください。
内野聖陽コメント
実際に起こったセンセーショナルな事件。それを元にした全くのファンタジー作品です。僕はガリマールの中にある、一見特殊なものの中にある普遍性みたいなものを、いかに表現できるかを大切にしたいと思っています。
彼のメンタリティーを生々しく掘り起こしていくこと。まずはそこからだと思っています。
現実と虚像、男と女、裏切りと誠実さ、愛と幻想、などなど様々なテーマを投げかけてくれるとても素晴らしいエンターテイメント作品です。
素敵な役者さんたちといっぱいお稽古して、お客様を幻想の世界に誘えたらと今からワクワクしています!どうぞご期待ください!
岡本圭人コメント
僕が「M.バタフライ」と出会ったのは、ニューヨークの演劇学校でした。「圭人は東洋と西洋の文化や演劇を肌で知っているから劇作家デイヴィット・ヘンリー・ファンの描くこの世界観を届ける力がある」と先生から勧められて勉強していたのが、ソン・リリンの役でした。今回、その役でオファーを頂けたことに驚いているのと同時に、ソン・リリンとの偶然の再会を心から嬉しく思っています。
とても挑戦的な役です。ですがその先に役者として、どう成長していけるのか?ソン・リリンとして彼の人生を舞台上で生き抜けた時にどのような景色が見えるのか?その答えを探るべく役作りに没頭していきます。
いつかご一緒したいと思っていた日澤さんが演出される舞台に参加できる喜び、そして尊敬する内野さんをはじめ素晴らしいキャストの皆様とご一緒できるご縁に感謝をして、この作品を皆様にお届けできる日まで、歩み続けていきたいと思います。
STORY
中国、北京に駐在経験のあるフランス人外交官ルネ・ガリマールは、国家機密情報漏洩により投獄されている。なぜ彼は、そんな大罪を犯すに至ったのか。オペラ『蝶々夫人』と対比させながら、彼が自らの物語として、その「正しさ」を説いていくうちに、ことの全貌が見えてくる。
時は1960年代、文化大革命前夜の中国・北京。駐在フランス人外交官のルネ・ガリマールは、社交の場でオペラ『蝶々夫人』を披露した京劇のスター女優ソン・リリンに出会う。「東洋人らしい」慎み深さと奥ゆかしい色香を湛えたソンに、瞬く間に魅了され恋に堕ちていくルネ。やがて男女の仲になり人目を忍びつつも20年に渡り関係が続くが……
その実、ソンは毛沢東のスパイであり、男だった―――。