THE BAWDIES 原点回帰でガレージパンクを鳴らす、『FREAKS IN THE GARAGE - EP』制作のバックグラウンドと4人のガレージパンク観とは?
『FREAKS IN THE GARAGE - EP』
――3曲目の「PINCH ME」は今回のEPの中では異色と言えるオールディーズなポップソングですね。
ROY:ドゥーワップをイメージして作りました。確かにガレージパンクではないんですけど、ガレージパンクにもいろいろあって。TAXMANもさっき言ってたように、それこそサイケなのか、ブリティッシュビートからの影響なのか、元々、サーフミュージックをやっていたのか、リズム&ブルースをやっていたのか、それによって違うんですけど。ソニックスとか、ウェイラーズとか、僕らが好きなアメリカのノースウエストコーストのバンドはリズム&ブルースもロックンロールもブリッティッシュビートも何でもごちゃ混ぜでやってるんですよ。その感覚が僕は好きなので、このEPに「PINCH ME」が入っていてもいいんじゃないかって。僕らはガレージパンクをそう捉えているので、こういう曲も入れてみました。
――こういうポップソングを書けるところもTHE BAWDIESの強みでもあると思います。そして、4曲目の「BIP BOP BOOM」は、50年代のロックンロールシンガー、ミッキー・ホークスのカバーなのですが、最初に聴いたとき、ミッキー・ホークスのことを知らなかった僕はTHE BAWDIESなりのリトル・リチャードのオマージュとして作った曲なのかなと思いました。その後、クレジットを見たら、ミッキー・ホークスとあって、調べてみたら、ガレージ界隈では有名な曲だそうですね。この曲をカバーしたのは、どんなきっかけから?
ROY:まずカバーを入れたかったんです。なぜかと言うと、今回のEP、ガレージパンクを知らない人たちにも衝撃を与えたいんですけど、同時にガレージシーンの人たちにもTHE BAWDIESが元々、ガレージ畑にいたんだってことと、そのTHE BAWDIESが本気を出すと、これだけできるんだっていうところも見せたいんです。それにはバンドの実力がはっきり表れるカバーがいいんじゃないか。カバーをしっかりできるバンドが少ない日本のガレージシーンで違いを見せるという意味で、カバーを入れたいと思ったんですけど。何をやるかってなった時にソニックスじゃ当たり前すぎるだろうってなって。
――そこで選んだのが、この曲だった、と。
ROY:この曲って、ロカビリーの人たちにもカバーされているんですよ。たぶん、ホークス自身はリトル・リチャードみたいにやりたかったんだと思うんですけど、ただ50年代の白人のミュージシャンなので、どうしてもカントリーの匂いが出てしまう。それでロカビリーの人たちが取り上げたと思うんですけど、ホークスはリズム&ブルースのつもりでやっていたはずなんですよ。ソニックスも同じように黒人のリズム&ブルースに憧れた白人のバンドでしたけど、黒人に憧れた日本人である僕のルーツの中にカントリーはほとんどない。その僕がこの曲をやると、曲が持っているリズム&ブルース色が際立って、ホークスが目指したリズム&ブルースの新しい形が見せられるんじゃないか。そう思って、白人がリトル・リチャードを真似たものを、僕がリトル・リチャードを意識してやるとこうなる! という気持ちでやってみたんです。だから、さっきリトル・リチャードと言ってもらってうれしかったです。
――なるほど。そこまで考えたカバーだったわけですね。ところで、この曲、歪みがエグすぎて、もしTHE BAWDIESのみなさんのことを知らずに聴いていたら、きっとこの人たち、イカれていると思っていたと思います(笑)。
全員:はははは。
ROY:参考にしたのが、バンカー・ヒルなんです。バンカー・ヒルというすごい喉を持った黒人シンガーと、ロックンロールギターのパイオニアであるリンク・レイが「リトル・リチャードを超えるものを作ろう」ってきっと言いながら60年代にレコーディングした音源があるんですけど、それがめちゃめちゃイカれている。僕はそれが当時のロックンロールの中で一番激しいものだと思っているんですけど、それを目指したので、この曲の音もかなり振りきれていると思います。
――そんなEPをひっさげた『FREAKS IN THE GARAGE TOUR』が6月3日から始まるのですが、「ガレージパンクの醍醐味を体感できるツアー!」と謳っているからには、ガレージパンクナンバー満載のライブになるわけですね?
ROY:はい。今までのオリジナル楽曲の中でもガレージ感の強い曲をひっぱり出してきて、やろうと思っています。なので、演奏も今までのツアーとは違って、よりラフというか、ガレージパンク精神あふれるものになると思います。
――今回、インタビューするにあたって、懐かしいと思いながら昔聴いていたガレージパンクの曲をいろいろ聴き返してみたんですけど、ガレージパンクの人たちって何かが圧倒的に欠けているにもかかわらず、過剰というか、トゥーマッチで、クレイジーだなと改めて思いました(笑)。
ROY:だから、当時、売れなかった(笑)。一般的に支持されなかったんですよ。さっきTAXMANも「メジャーでこれをやるからおもしろい」と言ってましたけど、メジャーなんだから、レコード会社もほんとは受け入れられやすいものを出したいと思うんですよ。
JIM:だからメジャーって言うんだと思う(笑)。
ROY:それなのに、世の中に受け入れられない可能性があるものを、実験しようとしているのか、僕らを信じてくれているのかわからないですけど、これだけ好き放題やらせてもらえるってすごいなと思います。
――そんなガレージパンクの本質を、今回の4曲から堪能させてもらいました。そして、決して物足りないわけじゃないんですけど、もっとこういう曲を聴いてみたいと思いました。
JIM:アルバム作ろう(笑)。
ROY:その言葉を待ってましたよ。そのうち、またアルバムを作ると思うんですけど、今回のEPの反応を見てからじゃないと、ゴーサイン出ないと思うので(笑)。でも、もうちょっとこの感じで作りたいなとは思ってます。
JIM:作りたいね。おもしろかったもん。
ROY:じゃあ、やりましょう!
JIM:たぶん、今だからできたっていうのもあるよね。サブスク時代で、逆に振りきれないと、目に止まらないってところがあるからこそできた作品だと思います。
取材・文=山口智男 撮影=大橋祐希
リリース情報
『FREAKS IN THE GARAGE – EP』
2022年5月25日(水)発売
【完全生産限定盤(CD+DVD)】
<CD収録内容>
1. ROCKIN' FROM THE GRAVE
2. STAND!
3. PINCH ME
4. BIP BOP BOOM
<DVD収録内容>
タイトル:FRANKEN MOVIE Ⅲ -THE BIRTH OF “FREAKS IN THE GARAGE”-
メンバーとも交流の深い、映像作家 渡部フランケン氏が、本作の制作スタートから完成までを完全密着。約2年振りの全国ツアーで得た刺激を元に、メンバーが新たな制作に臨む姿を余すことなく記録した計60分以上に渡るドキュメントムービー。
ライブ情報
6月5日(日) 札幌 PENNY LANE 24 OPEN 17:30 / START 18:00
6月11日(土) 心斎橋 BIGCAT OPEN 17:30 / START 18:00
6月12日(日) 心斎橋 BIGCAT OPEN 17:30 / START 18:00
6月18日(土) 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM OPEN 17:15 / START 18:00
6月19日(日) 福岡 DRUM LOGOS OPEN 17:15 / START 18:00
6月25日(土) 恵比寿 LIQUIDROOM OPEN 17:00 / START 18:00
6月26日(日) 恵比寿 LIQUIDROOM OPEN 17:00 / START 18:00
7月2日(土) 名古屋 BOTTOM LINE OPEN 17:30 / START 18:00
7月3日(日) 名古屋 BOTTOM LINE OPEN 17:30 / START 18:00
<一般発売中>
料金:¥5,800
詳細はこちら:https://thebawdies.com/contents/feature/freaksinthegarage
<ご来場者様への注意事項>
必ず下記の新型コロナウイルス感染症に対する取り組みにご同意の上、お申込みをお願いいたします。詳細はHPをご覧ください。https://thebawdies.com/