演劇ユニット・ルサンチカの公演『GOOD WAR』、神奈川県立青少年センタースタジオ HIKARIにて開幕
『GOOD WAR』メインビジュアル
若手演出家、河井朗率いる演劇ユニット・ルサンチカが、2021年~2022年にかけて上演した『GOOD WAR』を2022年7月、神奈川県立青少年センタースタジオ HIKARIにて開幕する。
『GOOD WAR』フライヤー
河井の祖母が植物状態になったことをきっかけに「社会的に人を人たらしめているものは何か」を考えるべく、2019年~2022年の4年間にわたる継続事業として「理想の死に方」、「仕事について」、「あの日と争いについて」を不特定多数の人々に取材をし、作品制作を継続していた。
本作は既成戯曲、小説、インタヴュー、記事など多岐にわたる上演テキストを用いて各会場が争いの「跡地」となってしまったと想定し、2021年2月に京都府立文化芸術会館、12月に東京のこまばアゴラ劇場の2都市で上演し好評を博した。
2021年京都府立文化芸術会館公演より
2022年にも1月にクリエイティブセンター大阪、2月に東京の北千住BUOYで上演したが、2公演とも新型コロナウイルスの影響により出演者不在となる中、俳優の台詞を録音・編集し、モノローグとして会場に流す「演劇×現代美術」を標榜するインスタレーション作品として新たな上演形態となった。
2022年1月クリエイティブセンター大阪公演より
2022年2月北千住BUoY公演より
そして2022年7月、『GOOD WAR』という言葉の持つ意味は大きく変わる。過去の公演ではフィクションとしていずれくる「その日」を立ち上げてきたが、現実に認知しやすい「その日」が起こり、これまで以上に大きな影響を与えられ始めた。これまでの「争い」と語られていた言葉と、現在のこの社会状況で語られる「争い」について大きな違いがあるはずだと考え、新たな作品としてリクリエイションを行った。
『GOOD WAR』それは勝者の言葉か、それとも傍観者の言葉か。大半は闘いが終わった後に自分達を正当化、または自身を肯定するために、この言葉を使用する。人々によって語られた「争い」を記録し、そこに争いがあった事実を舞台に立ち上げ、GOODなWARなど存在しないことを明らかにするために上演する。
『GOOD WAR』では、私たちが「あの日」と聞いて想像する争いと日常に起こり得る争いの2つの意味が含まれている。私たちは生きている限り、これからも誰か、何か、環境などと闘い続かなければいけないが、現時点で戦っていなくても、生きている限りいずれ争いに巻き込まれることは現在の世界が物語っている。いずれくる「その日」と、過去にあった「あの日」との向き合い方を鑑賞者と共に考える。
公演情報
(作:スタッズ・ターケル 訳:中山容 他 1985年7月25日出版:晶文社)