ペトロールズ×OKAMOTO'S、なんばHatch20周年企画で共演ーー「いろいろあったけど、続いてよかった」と至福の音に浸る夜

レポート
音楽
2022.8.22
『なんばHatch 20th Anniversary 〜Hey Music! Let’s Change the World!!〜』

『なんばHatch 20th Anniversary 〜Hey Music! Let’s Change the World!!〜』

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『なんばHatch 20th Anniversary ~Hey Music! Let's Change the World!!~』2022.7.19(TUE)大阪・なんばHatch

2002年7月に大阪市浪速区湊町にオープンしたライヴハウス「なんばHatch」の20周年企画として、「なんばHatch 20th Anniversary ~Hey Music! Let's Change the World!!~」が7月19日(火)に開催された。

なんばHatch 津田清人

なんばHatch 津田清人

出演は、約3年ぶりの対バンとなるペトロールズとOKAMOTO'S。なんばHatch運営会社代表の津田清人氏による開演前の挨拶では、「2組ともにツアーで多忙な中、奇跡のようなブッキングが実現しました」と想いも語られた。公演は、新型コロナウイルス感染症拡大予防ガイドラインを遵守、収容人数を制限した上でオールスタンディングにて実施され、ソールドアウトとなった会場は開演前からお祝いムードに。

■OKAMOTO'S

OKAMOTO'S

OKAMOTO'S

オカモトショウ(Vo)、オカモトコウキ(Gt)、ハマ・オカモト(Ba)、オカモトレイジ(Dr)にサポートメンバーのBRIAN SHINSEKAI(Key)を加えた5人がステージに姿を現し、シルエットが浮かびあがると会場からは拍手が鳴り響く。「新宿から来たOKAMOTO'Sです! よろしく!」と「Border Line」からブルースハープ片手に華麗に舞うショウ。コウキとのツインボーカルでオープニングからフロアを大きく揺らしていく。そして、イントロから重厚なビート、ファンキーなリズムとリフにシビれる「Young Japanese」へと続く前半2曲で、なんばHatchという箱の音響の良さと彼らの楽器の鳴りの素晴らしさに震える。とにかく音がいい! アメリカツアーを経て、ムキムキに鍛え上げられたバンドアンサンブルの凄まじさに圧倒され、ゆっくりと体の芯からアツくなっていくような感覚に。

OKAMOTO'S

OKAMOTO'S

「なんばHatch 20周年おめでとう! 短い時間ですが最後まで愉しんでいってください」(ショウ)

挨拶をはさみ、菅田将暉とのコラボで話題となったシングル「Keep On Running」では、コントラスト鮮やかなロックンロールにハンドクラップでリズムを合わせるオーディエンス。「Dance To Moonlight」の80'sサウンドにワクワクさせられ、さらに流麗なBRIAN SHINSEKAIの鍵盤がダンスサウンドを牽引する。変幻自在なグルーヴと確かな演奏力でどこまでも連れて行ってくれる彼らにもう身をゆだねるだけだ。

OKAMOTO'S

OKAMOTO'S

MCでは「本番前にペトロールズ兄さんたちに挨拶したら「せいぜい頑張ってね」と言われた(笑)」とハマ。「持てる力精一杯で臨ませていただいています!」と笑いを誘う。そして、なんばHatchには、ワンマンツアーで何度も出演しているが、いつもが数枚売れ残ると嘆きつつも、「今日はソールドアウトしてうれしい」と喜びをあらわに。めったに対バンをしないというペトロールズとの貴重な共演を楽しみにしていたという4人。前回対バン時は一緒に限定コラボTシャツを作った仲という、両バンドの関係性が垣間見えるエピソードも飛び出す。アメリカツアー後、久しぶりのライブということで息の合ったトークも絶好調だ。

OKAMOTO'S

OKAMOTO'S

OKAMOTO'S

OKAMOTO'S

気合を入れ直した後半は、「なんかホーリー」のコウキのスウィートな歌声に合わせ、この曲専用の星型・なんホリライトがキラキラと会場を彩る。ディスコファンクなベースをかきならしながら、「ちょっとペンライトやめてー?」と叫ぶハマのライブ中特有のドSモードにもめげることはないオーディエンス。後半は、「Picaso」「M」など最新作からのナンバーで、挑戦を続ける自分たちの立ち位置を明確に示していく。低音域がよく響くエモーショナルなショウのヴォーカルも風格を増している。

OKAMOTO'S

OKAMOTO'S

「ラストスパートかけるから、一回最大限のやつ(拍手)もらっといても良い?」とショウがハンドマイクで煽り、ひと仕切り。「BROTHER」でフロアはジャンプで応戦し、クライマックスへむけて熱量をあげていく。「俺たちの歌を歌います!」とライブをシメるのはやはりこの曲「90'S TOKYO BOYS」。彼らの極上のグルーヴを生で感じられる幸せを噛みしめているとメンバー紹介を経て、楽器隊を残し去るショウ、インプロ風にせめぎ合うアウトロの余韻、どれも文句なしにかっこいい。「次はペトロールズだ!」と最高の夜へとバトンをつないだ。

OKAMOTO'S

OKAMOTO'S

■ペトロールズ 

ペトロールズ

ペトロールズ

長岡亮介(Vo.Gt)、三浦淳悟(Ba)、河村俊秀(Dr)が静かにスタンバイし、河村のバスドラに導かれ音を鳴らしはじめた。ゆっくりと確かめ合うように音の輪郭を濃くしていくシンプルな佇まいに見惚れる。2005年結成以来、発表した全国流通版フルアルバムは2枚のみで、さらに会場限定販売の音源も多い彼ら。ペトロールズの最新の音を聴くことができるライブはファンにとって、音楽好きにとって貴重な機会と言える。会場からは、各楽器の一音一音、アンサンブルの機微、所作のひとつひとつまで逃したくないという緊張感も伝わってくるようだ。しかしすぐに柔らかな情感を携える長岡のヴォーカルや三浦と河村による美しいコーラスが観客の心と身体をリラックスモードに。

一曲目の「Reverb」からグルーヴを持続させたまま前半を終えた3人の第一声は、「オカモトコウキです」(長岡)、「オカモトレイジです」(河村)「ハマ・オカモトです」(三浦)。緊張と緩和が見事で、お客さんは笑い声を我慢できない。「めちゃめちゃいい雰囲気ですね。OKAMOTO'Sがいい雰囲気にしてくれました。僕たちが最初だったらこうはなってない。いっぱい奢ってあげないと。(音が)ぶっとくなってて素敵だった」とOKAMOTO'Sの演奏を絶賛する長岡。

ペトロールズ

ペトロールズ

「なんばHatch 20周年おめでとうございます」とお祝いし、三浦は「きょうたまたまハマ・オカモトとジャズベの色・年代・モデルが一緒だったんです。でも身長は4倍」と、OKAMOTO'SのMCでも触れられた長身エピソードで笑わせた。渋い音楽性とゆるいトークとのギャップがたまらない。

ペトロールズ

ペトロールズ

遊び心と緻密さを兼ね備えたコーラスが独特の浮遊感を生み出すミディアムチューン「SEKKINSEN」から、逆光の照明とともに幻想的に「KAMONE」でクール&メロウな世界に引き込んだかと思えば「Talassa」の甘美なサウンドで魅了。軽やかなカッティングから都会的なギターソロまで、長岡のフライングVから繰り出される音色の多彩さには驚くばかりだ。

ペトロールズ

ペトロールズ

MCでは、OKAMOTO'Sファンが曲中で振っていたペンライト(「なんかホーリー」のグッズ)をうらやましがるメンバー。しかしぺトロールズのライブではペンライトを振るような曲がないと気付き、「ファンの人もどうしたらいいかわからないじゃん(笑)」と河村。ペンライトが間接照明みたいになるだけ、という結論にいたるゆるトークで、充分に会場をあたためたあとは、ファンキーな「Not in service」で横揺れ。程よい脱力感と信頼のおけるグルーヴ感に圧倒的な演奏力、スリリングなセッションを経てシームレスに「ホロウェイ」へ続くライブアレンジは鳥肌もの。本編最後の「Fuel」では、「Hey!」のタイミングで星型ペンライトが振られるというレアな光景も。

ペトロールズ

ペトロールズ

アンコールの拍手が鳴りやまない中、再登場。ラストソングは、彼らの代表曲「雨」。「ハッピーバースデー♪」を織り交ぜ、雲間から射す光のような輝きを放つギターソロで爽やかに締めくった。

ペトロールズ

ペトロールズ

まさに「いろいろあったけどこの場所(ライブハウス)が続いてよかった」という長岡の言葉を体現した夜。いい音にどっぷり浸る贅沢な時間となった。

取材・文=岡田あさみ 撮影=河上良

イベント情報

なんばHatch 20th Anniversary 〜Hey Music! Let’s Change the World!!〜
日程:2022年7月19日(火)
会場:大阪 なんばHatch
出演:ペトロールズ、OKAMOTO’S
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